車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家がまとめた、2021年春「東北桜前線追っかけ旅」の足跡を、2024年10月に一部情報をアップデートしてお届けしています。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊旅行記
この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、これまでの中で特に印象に残った旅の足跡をまとめた旅行記です。
~ここから本編が始まります。~
長旅の始まりは、発光する生ホタルイカとの出会い。
車中泊で行く、”東北桜前線追っかけ”旅行記(1)/2021年富山編
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往路・富山で狙うは、今が旬の生ホタルイカ
10年前の「東北桜前線追っかけ旅」では、最初に能登半島の「千里浜なぎさドライブウェイ」に立ち寄っていた。
この写真は著書でも使っているのだが、その「千里浜なぎさドライブウェイ」は、懸念されていた砂浜の侵食が限界まで進んでしまい、2020年にとうとう途中で途切れてしまった。
地球温暖化が顕著化する中で、同じ異変が富山湾でも起きないうちに、「生きたホタルイカ」の発光シーンを見ておきたいと、今回は富山県の滑川に最初に足を運ぶことにした。
ただし、金曜日は日付が変わるとETC割引が適用されるため、北陸道の小矢部SAで車中泊する。
2週間を超える長丁場では、こういう「節約意識」がないと、経費はどんどん膨らんでいく。大事なお金は高速代やガソリン代よりも、自分にとって「おいしいもの」に回すほうが絶対いい(笑)。
翌朝。いつのように夜明け前に目覚めたため、ふっと欲が湧いてきた。
そうだ、この時期は富山湾の蜃気楼が見えたはず…
そこで10キロほど余分に走り、魚津まで足を伸ばしてみることにした。
春先の富山は立山連峰が綺麗に見える。
写真左の一際高い山が、映画「点の記」の舞台となった「剱岳」。
山頂付近のギザギザが、高速道路上からでもよく見えるのだが、筆者のカメラは瞬きに反応してシャッターが切れるため、一瞬のチャンスを逃さない。
もちろん、それは嘘(爆)。
でも運転中に「離れ業」でこのくらいは撮れないと、プロが務まらないのはホントかもしれない。
そして目的地の「海の駅 蜃気楼」に到着。
まさにドピーカンなのだが、今朝は放射冷却が入ったために気温が低く、蜃気楼日和ではなかった。
これではせっかく持参してきた、超望遠カメラのニコンP-900も出番なしだが、既に蜃気楼の写真は手中にある。
蜃気楼が発生した日は、海越しにある工場地帯の煙突が長く伸び、肉眼だとバーコードのように見える。
「海の駅 蜃気楼」はトイレがあって車中泊に適しているため、キャンピングカーも多かったが、堂々とテントを張る人の姿も見られた。
道の駅では大騒ぎになりそうだが、おおらか、おおらか。
満車じゃないのだから、釣り人たちはそんなことを気には止めない(笑)。
この時期は、ホタルイカミュージアムがお勧め!
さて。ホタルイカといえば、春先にスーパーなどの店頭に並ぶ、この茹でた酒の肴をイメージする人が多いと思うが、生で食するには傷みが早く、大坂でもほとんど流通していない。
しかも養殖はできず、生きたその姿を観るには、産卵で富山湾の浅瀬に集まってくる春の「滑川」に足を運ぶしかない。
その生きたホタルイカを見せてくれるのが、「道の駅 滑川」に隣接しているこの「ホタルイカミュージアム」だ。
前述どおりホタルイカは養殖ができないため、「ホタルイカミュージアム」でも、生きた姿が見られるのは5月まで。
館内に用意されたプールでは、ご覧のように手にとって観ることも可能だが、簡単には光ってくれない。
この微かに手の先が青く光った写真を撮るために、ずいぶん手のひらを噛まれてしまった(笑)。
そしてこの時期には、期間限定の「発光ショー」が行われる。筆者はこれが目当てで訪れたのだが、残念ながら撮影は禁止。
かわりに展示されていた写真を載せておこう。「発光ショー」ではこのくらい光る様子が見学できる。
なお、ホタルイカの発光は観光漁船からも見られる。
テレビでも時々取り上げられているのだが、行われるのは筆者が苦手にしている深夜で、映像を観る限りコストに見合うものが得られるようには思えなかった。
ちなみに「ホタルイカミュージアム」の入館料は、おとな820円。普段は高いと思うが、この時期はお勧めだろう。
また観光船はおとな5000円。ただお土産に捕れたホタルイカがもらえるようだ。
絶品!「生ホタルイカのしゃぶしゃぶ」
さて。
ここまできたら、富山県人のソウルフードとも云われる、生のホタルイカを味わわない手はない。
生のホタルイカは「道の駅 滑川」でも売っているが、想像通り観光地価格だ。
しかし近くのスーパーに行けば、こんな値段で手に入る。
特に、地元で人気のしゃぶしゃぶにはワカメが合うので合わせて手に入れよう。
ひとりでは多すぎるので、半分は刺し身でいただく。
富山のホタルイカは大きいし、先が長いので念のためワタは抜いた。
しゃぶしゃぶは、昆布でダシをとったプールでささっと泳がし、ポン酢で食べる。「やめられない・とまらない」にならないよう、間にワカメを挟む。
大事なのは食後。
キャンピングカーとはいえ、汚れたダシ汁をグレータンクには入れたくない。
そこで、こうしてペットボトルに移し、廃棄できるところまで運ぶといい。
具材がないので、捨てるのはさして難しくはない。
キリがないので、車中泊情報も含めて詳しい話は、また後日「富山」の観光ガイドで紹介するとしよう。
PS
2023年春。
今度は天然のホタルイカを網で捕獲すべく、筆者は再び滑川へと足を運んだ。
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