「クルマ旅専門家」・稲垣朝則が、10年以上かけてめぐってきた全国の温泉地を、「車中泊旅行者の目線」から再評価。車中泊事情や温泉情緒、さらに観光・グルメにいたる「各温泉地の魅力」を、主観を交えてご紹介します。

「温泉療養文化館 御前湯」は、長湯温泉のシンボル的存在。
長湯温泉の歴史に触れる機会がなかったので、ここで少し盛り込んでおこう。
古文書によると、長湯温泉は8世紀までその歴史を遡ることができる古い湯治場だが、入湯施設が整い始めたのは江戸時代になってからだという。
宝永3年(1706年)に、この地を治めていた岡藩主・中川候の入湯宿泊の便宜を図るため、温泉を取り込んだ御茶屋が建設された。それが初めての藩による湯屋で、御前湯はそれから約75年後に「新湯」として作られた。
御前湯の名前はその当時の名残で、現在の芹川河畔にせり出す形の洋館が建てられたのは昭和10年。戦前からのモダンな姿が、現在もなお受け継がれている。
さて。長湯温泉のシンボルともなっている御前湯は日帰りの温泉施設で、大浴場・露天風呂・サウナ・家族風呂がある。
3つの源泉は全てかけ流しで、加温も加水もしていないため、外気温によって温度に変動がある。
析出物がびっしりこびりついた露天風呂の浴槽。
なお、御前湯のお湯は泡が付かない。しかし炭酸ガスを多く含んだ泉質であることは折紙付きで、効能に変わりはないそうだ。
筆者の体験では、天然の熱いにごり湯はどこでも泡が付かない。シュワシュワ感が味わえるのは、透明のぬるいお湯だ。
最後に、「飲んで効き 長湯して利く長湯のお湯は 心臓胃腸に血の薬」と詠われる自慢の炭酸泉は、玄関脇にある飲泉場のほか、館内すべての湯口で飲むことができる。あまり「いい味」とはいえないけどね(笑)。
ちなみに炭酸ガスは胃腸の働きを活発にし、水分の吸収をよくする。
ここでの飲泉は胃腸病、肝臓病や便秘に効果があるのはもちろん、利尿効果により痛風、尿管結石、膀胱炎、糖尿病、慢性胃腸炎に効果があるという。
ただし飲みすぎると下痢をすることがあり、1回100~200cc、1日でも200~1000ccが適量といわれている。
なお、下のホームページはよくわかる内容で、とても素晴らしい。筆者の説明など要らないくらいだ(笑)。
温泉療養文化館 御前湯
〒878-0402 大分県竹田市直入町大字長湯7962-1
電話:0974-64-1400
●入浴料:500円
●営業時間:6:00~21:00・ 第3水曜定休
●泉質:炭酸水素塩泉
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「アラ還」からの車中泊


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