【2022年12月更新】
車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家がまとめた、佐賀県を車中泊で旅した時に思い浮かんだお話です。
このコーナーには、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、原稿作成のためのメモ代わりに書き残してきた「忘備録」と、旅でのエピソードを綴ったエッセイを収録しています。
肥前では、陶器と磁器が一度にサガせる。
「ぐい呑」アラカルト
「ぐい呑」とは、日本酒を楽しむために造られた酒器のこと。
「お猪口(ちょこ)」と似たようなものだが、「お猪口」は小ぶりで大抵は「徳利(とっくり)」とセットで売っている。
ちなみにオフ会では、こういうものを仕込んでおくと、いつでも安酒で「樽酒もどき」が用意できる。
高級な地酒は他人に任せ、「変化球」で勝負するのも立派な作戦だ(笑)。
ただし、この技は熱燗がおいしい時期にしか使えない。
さて。
筆者の場合は、旅の記念品というより「自分へのお土産」的意味合いが強いのだが、「ぐい呑」のいい点は、単品で買えることと、かさばらないこと、そして種類が豊富なことにある。
その意味からすると「コレクション」するには最適だ。
子供の頃に「ペナント」を集めていた、そこのアナタは、もしかすると「どっぷりハマる」素質大かも(笑)。
「ぐい呑」の中には変わりモノもある。
写真は「可杯(べくはい)」と呼ばれる穴開きの盃で、お酒を注いでもらう時は、穴を指で押さえて塞ぐ。
もちろん、飲み干すまでは手放すことができないわけで、坂本龍馬が愛用したかどうかはわからないが、酒好きの土佐人が考えた遊び心のあるアイテムらしい。
こちらは「キリコ」。
日本酒なら冷だが、本来は芋焼酎のロックに使いたいガラスの工芸品で、本家本元の鹿児島で作られるグラスは、筆者には手の届かないお殿様御用達の高級品だ。
しかし北海道の小樽や、福島県の猪苗代、あるいは滋賀県の長浜などにある「ガラス館」に行けば、こなれた値段で手に入る。
というわけで、「ぐい呑」は必ずしも焼物の名産地で手に入れるのがいい、とは限らない。
ただある程度の歳になれば、せめて超有名な焼物の産地の品くらいはコレクションしてみたいし、できれば見ただけで「ああ、これは○○焼きですな」みたいな、「なんちゃってセリフ」をさらりと口にできるロマンスグレイになりたいものだ(笑)。
陶器と磁器
何だかんだ云っても、「ぐい呑」の基本はやはり「陶磁器」だ。
ちなみに「陶磁器」とは、陶器・磁器を合わせた、いわゆる焼き物器の総称で、関東でいう「セトモノ」のこと。
それぞれの違いを大まかにいうと、陶器は土器に近いイメージで、唐津焼が有名、磁器はガラスに近いイメージで、有田焼が有名だ。
ということは… そう、佐賀県を旅すれば両方揃う(笑)。
唐津と有田はクルマで30分ほどの距離にあるが、それぞれが伝統ある焼き物文化を維持している。
詳しくは以下の記事を参考に。