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九州取材旅 2018.1/日本一周の旅24 福岡・宗像編

1.福岡県

2015年以降、九州には立て続けに世界遺産が誕生しており、北九州にはその中の「明治日本の産業革命遺産」の構成要素が多数存在しているのだが、この世界遺産については後日、改めて詳しく説明する時が来ると思う。なので、あえてここでは触れない。

これから話す「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」は、2017年7月に世界文化遺産に登録されたばかりのニュー・カマーで、「明治日本の産業革命遺産」とは全く異質のものだ。

宗像 世界遺産

少し余談になるが、当初の日本の世界文化遺産は、法隆寺や金閣寺、あるいは白川郷といった「日本人なら誰もが知るメジャーなところ」が大半で、「観光地としての素地」が既に出来上がっていた。

だが、島根県の「石見銀山遺跡」以降、日本の世界文化遺産は「ひとめ見ただけで、なるほど!」と思えるものばかりではなくなり、同時に観光地とは限らなくなっている。

この『神宿る島』もその類で、「世界遺産に指定されるほどの価値が、いったいどこにあるのか」を知らなければ、「何ひとつ面白くないところ」になる可能性が高い(笑)。

ゆえに、まず現地では最初に宗像大社辺津宮の隣に建つ「海の道むなかた館」に足を運ぶか、できれば行く前に2017年11月3日に放送された「歴史秘話ヒストリア 沖ノ島~日本 はじまりの物語~」を見ておくことを強く勧めたい。

さて、本論に進もう。
この世界遺産を簡潔に要約すると、
キーワードは「祭祀」だ。

孤島である沖ノ島には、ヤマト政権(我々の世代は大和朝廷)があった畿内から朝鮮半島まで、海上航海の無事と安全を祈願する儀式の「500年間にわたる変遷の跡」が残されていた。

そして、その際に使われた品々から、いま古代日本と東アジアの交流の歴史が解明されつつある。

宗像大社

つまり、最大の見どころは「神社の本殿」とか「祀られてる女神様」よりも、もっと以前のもの

そうなると、この世界遺産を理解するには、小学校で習った「ヤマト政権」なるものを今一度「復習」してみる必要がある。

ウィキペディアによれば、「ヤマト政権」とは大和および河内(かわち)を中心とする諸豪族の連合政権。大王(おおきみ)とよばれる首長を盟主に、畿内地方から4世紀中ごろには西日本を統一し、4世紀末には朝鮮半島にまで進出した。

種々の技術を持つ渡来人を登用し、5世紀末から6世紀ごろには部民制・氏姓制度による支配機構が成立し、国・県(あがた)による地方統治組織が整えられ、大化の改新を経て律令国家へとつながっていった。

そして、そのヤマト政権が信奉した神様が、我らの「アマテラス様」だ。

宗像大社は実はここからが面白い。

現在、この世界遺産には、宗像三女神<田心姫神(たごりひめのかみ)、たぎ津姫神(たぎつひめかみ)、市杵島姫神(いちきしまひめ)が祀られているのだが、元来の沖ノ島が自然を崇拝していたのは、祭祀の痕跡からも明らかだ。

伝承に依れば、宗像地方と響灘西部から玄界灘全域に至る、膨大な海域を支配していたのは海洋豪族(海人族)の宗像氏で、彼らが危険の伴う航海や漁労の安全、さらには生活の安定を祈って、沖ノ島に神が降臨する磐座を設け、今日まで守り続けてきた。

しかし、なぜそこに・そしてどのような理由から女神様が登場してきたのか… 

その経緯を紐解く鍵は、三女神の「生い立ち」にある。

国家創世記の神話によれば、彼女らはアマテラスとスサノヲの誓約(うけい)から生まれ、「海北道中(宗像より朝鮮半島に通じる道)」に降臨するのだが、この時にアマテラスは宗像三女神に「神勅」を与えている。

宗像大社

その証がこの扁額だ。直訳すれば「(筑紫に降臨し)天孫を助け、よく祭祀を受けよ」。この「神勅」は現在も宗像大社に掲げられているのだが、まさにこれがヤマト政権と宗像氏の関係を示す手がかりといえる。

アマテラスを皇祖神とする「神様の体系」ができるのは、古事記と日本書紀が編纂される8世紀であることを考えれば、謎は蝶結びをほどくがごとく簡単に解ける。

つまり、宗像三女神はヤマト政権によって創世・後付けされた存在で、宗像氏はそれを受け入れることで、アマテラスの威光とヤマト王権の権威をまとい、国家祭祀を執り行う氏族としての地位を確立したということだろう。

なにより面白いのは、女人禁制の沖ノ島に、女神様が祀られていること(笑)。

いちばん最初に掟(おきて)が破られているのだから、普通じゃないとは思わないか…

ただ、強力なバックがついたことで、500年間に及ぶ貴重な記録が現代に伝えられたことを思えば、それは悪いことではなかったはずだ。

ちなみに、世界遺産に認定されるほどの大きな功績を遺した宗像氏は、朝廷の権力が衰えた戦国時代になると滅亡、その後九州は豊臣秀吉による平定を迎える。

なお、沖ノ島は大島の陰に隠れて本土からは見えない。

宗像大社中津宮と、通常渡島が禁止されている沖ノ島を遥か遠くから拝むことができる宗像大社沖津宮遙拝所のある「大島」には、宗像大社辺津宮からクルマで5分ほどの新湊港渡船ターミナルから船で渡る。

この日は曇天で沖ノ島が見えないため、筆者は大島には渡らなかった。

道の駅むなかた

宗像大社辺津宮からクルマで5分ほどのところにある道の駅むなかた。駐車場はフラットで車中泊環境はいい。

道の駅むなかた

売店には鮮魚コーナーもあり、見るだけでも楽しい。

天然くえ

筆者をときめかせてくれたのは、このクエ。値段は白浜並みだが天然モノだ。明日帰るなら間違いなく買うところだが、この日は来たばかり… 次回は宗像を最後にまわそう(大笑)。

 

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