熊本市内から、この3つの温泉地を段取り良く周って天草方面に下るには、最初に菊池温泉に入り、それから山鹿、平山と移動するのがベターだが、この日はそれが許されない事情があった。
[ad#ad-1]山鹿温泉には「八千代座」という芝居小屋がある。
1910年に建設されたこのレトロな劇場は、1988年に国の重要文化財に指定された後、復元修理が行われ、2001年に竣工した。
公演のない日は有料開放され、中を見学することができる。
ここは舞台だけでなく、「舞台裏」まで見せてくれる。写真は回り舞台の床下で、劇場では「奈落」と呼ばれる場所だ。
ただし年末はこの日が八千代座の最終営業日だった…
実は、兵庫県の出石にある芝居小屋「永楽館」でも同様の体験ができるらしいのだが、過去2度訪ねた時は、いずれもそのチャンスに恵まれなかった。それもあって、今回は同じ轍を踏まずに済むよう、入念な下調べをして来た。
年末年始に地方の観光地に行く際には、「営業日・営業時間」までよく調べておくことが肝要だ。
話が逸れたが、こちらは山鹿温泉のシンボルとして蘇った「さくら湯」。規模では劣るが、雰囲気は松山の道後温泉によく似ている。
と思ったら、それもそのはず。明治31年に建てられたこのさくら湯の原型は、道後温泉を建てた棟梁達が手がけたそうだ。詳しいことは後日「車中泊スポット見聞録」に記載するが、さくら湯は泉質、浴室ともに道後温泉よりも格段にいい。
なお山鹿温泉付近には、いい車中泊スポットが見当たらない。RVパーク山鹿が、さくら湯の隣にあるのだが、電源が必要でないのなら、10キロほど走れば道の駅・七城メロンドームがある。だが、この日はそこにも泊まらなかった。
七城メロンドームからクルマで3分ほどのところにある、日帰り温泉施設「水辺プラザかもと」には、野外トイレとゴミ箱があって車中泊ができる。
それにしても… そういうことを、九州のキャンピングカーに乗る人達は本当によく知っている(笑)。
この日、道の駅・七城メロンドームで寝ていたクルマは2台、それに対し、水辺プラザには10台以上のキャンピングカーがいた。その大半は九州ナンバーで、昨年以上に県外ナンバーは少ない感じだ。
PS 2017.4
2年経つと、「水辺プラザかもと」は道の駅になっていた! なんだ、そうなると「穴場」というのは過去の話になる(笑)。
さて、翌朝一番に筆者が向かった先は鞠智(きくち)城。
飛鳥時代に築かれたというこの城は、大宰府と深い関わりを持っており、その歴史は実に興味深い。
意外と思う人があるかもしれないが、山鹿・平山・菊池の3つの温泉地で、筆者がもっとも「居心地が良い」と判断したのはこの菊池温泉だった。
写真の観光案内所や物産館と同じ場所にある駐車場は、無料で野外トイレと足湯がある。もちろん車中泊も可能で、隣のグランドや広場の横にも駐車スペースが広がっているため、車内でのんびり過ごすこともできるだろう。
共同温泉はないが、この3枚1000円の周湯券を利用すれば、駐車場から徒歩で行ける温泉宿に入浴できる。
このクラスの温泉が、333円で利用できるというのはかなりのお値打ち。お湯は弱アルカリ性の美肌の湯で、山鹿温泉や平山温泉とさほど大差はないように思う。写真の笹乃家のお湯はとりわけ泉質がいいと評判だ。
[ad#ad-1]最後に訪ねたのは平山温泉。聞くところによると、福岡の若いOLたちの隠れ宿として人気があるらしい。
しかし、この日の共同浴場の元湯は、なんと露天風呂にお湯が張られていなかった。年末ゆえか?と思ったら、どうやらそうではないらしい。平山温泉の魅力はどうやら別のところにありそうだ。
そこで、「まっとうな温泉」に雰囲気抜群の「やまと旅館」の無料クーポン券がついていたため、改めて入湯し直すことにする。
ちなみにこの本をフロントで見せると、無料になるのに嫌な顔どころか、むしろ喜んでくれるから面白い(笑)。
北海道のHoや温泉博士とは違い、温泉好きな利用者が多いということなのだろう。ただし、2012年に出版された本なので、既に完売しているみたいだ。
サクッとまわった感じでは、平山温泉には車中泊ができるようなところもなく、中高年にはさほど適したところとは思えなかった(笑)。
そんなわけで、この日は菊水の道の駅を取材したあと、一気に天草に近い道の駅不知火まで移動して寝ることに。明日は天草を目指す。
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