この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊旅行における宿泊場所としての好適性」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
「道の駅ゆすはら」は、坂本龍馬ゆかりの梼原町にある、温泉併設の道の駅
「道の駅ゆすはら」は、2021年9月から全面リニューアル工事が始まっており、すべてが完了するのは2027年の予定とのこと。
その間も閉鎖はされないようですが、記事に書かれた内容と異なる状況になっていますことをご了承願います。
「道の駅ゆすはら」の施設
道の駅のガイドブックやホームページに記載の通り、「道の駅ゆすはら」はホテルのレストランと温泉施設が隣接する利便性の高い施設だ。
だが、我々が見慣れた道の駅とはレイアウトがかなり違っているため、いったいどこまでが「道の駅の駐車場」なのかが分かりづらい。
まず最初に驚くのは駐車場の傾斜。写真ではわかりにくいが、手前から奥へ向かってかなり下っているため、実際にここで寝るのは厳しい。ゲレンデの駐車場も顔負けだもの!(笑)。
しかし「雲の上のホテル」を挟んだところに、フラットな広い駐車場がある。
ただ常識からすると、ここは「温泉施設専用の駐車場」に思えるため、普通は利用を躊躇する。
だが、心配には及ばない。
レイアウトマップを見る限り、どちらも「道の駅の駐車場」と判断できる。筆者は実際に3度ここで車中泊をしているが、一度も咎められたことはない。
とはいえ、明るい時間帯からシェードで窓を塞ぎ、「完全なる車中泊体制」を取るのはどうかと思う(笑)。デリケートな環境だけに、いつもよりは多少マナーに気を配る必要はありそうだ。
なお、トイレは「敷地内」にはなく、少し離れたレストランの横にある。
こちらは、傾斜した駐車場の途中にある道の駅の売店。
その「あばら家チック」な外観は、日本中の道の駅を見てきた筆者を唖然とさせた(大笑)。ただ、店番のおばちゃんの愛想だけは、すこぶる良かった。
「道の駅ゆすはら」の車中泊好適度
「道の駅ゆすはら」の温泉
こちらが駐車場の奥にある温泉施設の「雲の上の温泉」。地元産の木をふんだんに使い、太い丸太を組み合わせた美しい木造建築で、大浴場には大きな風呂のほかに気泡・寝湯、打たせ湯、サウナがあり、戸外には岩風呂風の露天風呂もある。
☎0889-65-1100
11時30分(毎週火曜のみ15時)~22時(受付最終21時30分)・不定休
料金:おとな500円
「道の駅ゆすはら」周辺の買い物施設
スーパーはクルマで3分ほどのところに、サニーマートのFC「スーパー丸味」がある。ただし規模は、ちょっと大きなコンビニといった程度だ。
「道の駅ゆすはら」のアクセスマップ
梼原は坂本龍馬・脱藩の地
さて。以下は2011年に「共同通信社」から依頼を受けて執筆した、「道の駅ゆすはら」に関する寄稿だ。
高知県の梼原町は、日本最後の清流、四万十川の源流域にある山村だ。ここにある観光資源は、「ある歴史的事実」を除けば、おいしい空気と水と自然…
道の駅は1985年に自然体験施設として開園された太郎川公園を拡張するかたちで、1993年に開駅している。つまり当初の利用者は野遊びを楽しむファミリー層だった。
しかし2010年、その静かな町に異変が生じる。
町の中をいきなり観光バスが走り、道の駅は平日でも利用者が絶えなくなった。
「梼原に残る歴史的事実」とは、坂本龍馬の脱藩である。
NHKの大河ドラマ「龍馬伝」の中で、梼原はその舞台としてクローズアップされ、多くの人が知る町となった。また高知県ではドラマに合わせてイベントを組み、梼原をサテライト会場の1つに選んでいる。
龍馬伝を見て梼原にやって来た人の大半は、中高年だと思う。
だがツアー客の多くは、見どころの多い梼原に長居をしなかった。というより、宿泊施設が足りず、できなかったのだ。
しかし、マイカーの旅行客は必ずしもそうではない。
賛否両論がある車中泊だが、道の駅は使い方次第で双方の救世主になり得る。
以降、温泉のある道の駅・ゆすはらは、関係者が思いもよらなかった客層から熱い支持を受け続けている。
驚いたことに… この記事が地元の新聞に掲載された翌日、北海道を取材中の筆者に、梼原町長から直々にお礼の電話がかかってきた。
ということは、梼原町は車中泊旅行者に好意的ということなのでは(笑)。