「クルマ旅専門家」・稲垣朝則が、10年以上かけてめぐってきた全国の温泉地を、「車中泊旅行者の目線」から再評価。車中泊事情や温泉情緒、さらに観光・グルメにいたる「各温泉地の魅力」を、主観を交えてご紹介します。
「泡付き」が確実なのは、源泉に近い家族風呂
一昔前は「筌の口(うけのくち)温泉」と云えば、黄土色のにごり湯でお馴染みの「共同浴場」を指していたと思うが、近頃はこの「炭酸温泉 山里の湯」のほうが有名かもしれない。
聞くところによると、かつて山里の湯は源泉が詰まり、2年間の休業を強いられていたが、修理したら以前とは違う炭酸泉が湧き出し、営業を再開したという。
大分県の「炭酸温泉」といえば、長湯温泉にある「ラムネ温泉館」と、七里田温泉の「下ん湯」の2つが有名で、温泉ファンの中には両湯との違いを肌で感じるために、この「山里の湯」訪れる人も少なくない。
かく云う筆者も、そのひとり(笑)。
湯船の大きさが違うので、泡付きを単純比較するのは難しいが、「山里の湯」が両湯に比べて明らかに優れているのは「温泉の温度」だ。
泡の元の二酸化炭素は、泉温が高くなると気化するため、泡付きが悪くなる。
にもかかわらず、「ラムネ温泉館」は32.3℃、「下ん湯」は36.3℃と、ぬる湯で入湯できることから名を馳せたのだが、「山里の湯」は38.3℃と、ぬる湯の域を越えている。
それでこの泡付き。しかも保湿成分のメタケイ酸が221mgも含まれた「美肌の湯」とくれば、「奇跡の湯」と称したくもなるわけだ(笑)。
あわせて泡の効能についても記載しておこう。 バブなどの入浴剤でお馴染みの炭酸泉は、炭酸成分が皮膚から吸収されると、血管が拡張し、血流が飛躍的によくなるという。
そのためヨーロッパでは、炭酸泉は古来から“心臓の湯”と呼ばれ、入浴療法に使われてきた。もちろん日本でも医療機関などで研究が進められ、その効果が注目されている。
ただ残念なのは、泡付きのいい浴槽が2~3人で一杯になってしまうこと。タイミングが悪いと、せっかくの楽しみが得られないことになりかねない。
そこでお勧めなのが家族風呂。
ひとつしかないのは残念だが、ここなら吹き出し口のそばを独占しても、誰も文句はいわない(笑)。しかも源泉に近く、男湯・女湯より泡付きもいいそうだ。
【営業時間】9:00~18:00(受付17:00まで) 火曜定休
【料金】 おとな500円 貸切湯は50分・2000円
【泉質】 二酸化炭素泉 ※pH6.3
【問い合わせ】0973-79-2516
公式ホームページは見当たらない。