「クルマ旅専門家」・稲垣朝則が、10年以上かけてめぐってきた全国の温泉地を、「車中泊旅行者の目線」から再評価。車中泊事情や温泉情緒、さらに観光・グルメにいたる「各温泉地の魅力」を、主観を交えてご紹介します。
キャンピングカーなら、電源サイトで充電しながら「まったり」するのも可能。
昭和50年代前半に、九重町の新しい温泉地として開発された「竜門温泉」は、「九重”夢”温泉郷」の中では、ちょっと毛色が違うアウトドア色の濃い場所だ。
そのランドマークが、松木川沿いの竜門寺境内にある「龍門の滝」。
高さ約26メートル、幅約40メートルの1段目の滝は深い滝壺を持ち、その滝壺から流れ落ちる2段目の滝は、安山岩の岩床を70メートルにわたって滑るように流れ落ちる。
その組み合わせが、見た目に美しいのだが、夏はガラリと景色が変わる。
筆者が訪ねたのは10月下旬だったため、この景観を生で見られなかったのは残念だが、夏に天然のウォータースライダーが楽しめる「滝すべりスポット」として、県下ではよく知られた存在らしい。
個性的な滝が多い九州だが、こういうのは初めて見た。都会ではあったとしても、肝心の「滝すべり」を禁止しそうだ(笑)。
さて。筆者が入湯した「滝之湯」は、「龍門の滝」に通じる無料公共駐車場に面した一等地にある。
駐車場側のシャッターを閉めているため休みかと思ったら、玄関は通りに面した裏側だった(笑)。
年季を感じる湯船に注がれているのは、48℃の弱アルカリ性単純泉。pH8.1のいわゆる「美肌の湯」が100%かけ流しにされている。
浴場は館内にある男女別内湯のほかに、道路を隔てた向かいに露天風呂があるが、ホームページには書かれておらず、気をつけていないと見落とすので注意が必要。
入浴料: 300円
営業時間 :10:00~20:00 不定休
シャンプー、ボディソープあり
値段とお湯からすれば、悪いとは思わない。ただ、ここには違う選択肢もある。
それは「龍門の滝」の上流にある、貸し切り温泉施設の「良仲湯(いなかゆ)」だ。残念ながら筆者は入湯できていないが、公式サイトや温泉レポートを見るかぎり、4つの貸し切り風呂は、すべて趣が異なり、景観も素晴らしい。
50分で2000円と多少値は張るものの、その値段に見合う寛ぎが得られそうだ。
いっぽうこちらは、「良仲湯」に隣接する高規格オートサイトの「オートキャンプ竜門」。
区画サイト料3500円。それにひとり500円の入場料が加わり、夫婦なら1泊4500円。電源を使えば別途1000円かかるが、設備からすれば今は安いほうだ。もちろんトイレはウォシュレット。そのうえ場内には無料の露天風呂まで揃っている。
キャンピングカーの場合、長旅ではサブバッテリーの充電がどこかで必要になると思うが、ここはその候補地のひとつにしてもいいと思う。