この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の中のひとつです。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
駐車場から徒歩で往復約1時間。「雄川(おがわ)の滝」を見るには、しっかり歩ける服装が必要。
「西郷どん(せごどん)」は、2018年に放送された第57作目にあたるNHK大河ドラマで、明治維新の立役者である西郷隆盛を、原作・林真理子と脚本・中園ミホの「女の視点」で描いたことで話題を呼んだ。
だが視聴者の記憶に残ったのは、ストーリーだけではなかったようだ。
これは、「西郷どん」のイントロに流れるテーマ曲と一緒に映し出された美しい滝の映像だが、この滝に興味をいだいた人が多くいた。
筆者はもう、かれこれ10年近く「大河ドラマのロケ地」をめぐってきたが、その集客力には毎回驚かされる。しかもかれらは、どんなマニアックなところにも足を運んでくれる(笑)。
この「雄川の滝」もそのひとつ。
「雄川の滝」は、南大隅町の根占地区を流れる、雄川上流にある落差46メートル幅60メートルの滝で、数年前まではガイドブックにも載っていなかった秘境だ。
西郷隆盛とはまったく関連性はないのだが、『大河ドラマ「西郷どん」ゆかりの地』として、今なお県外から多くのファンが訪れる。
正しい「雄川の滝」へのマイカーアクセス
さて、本題に進もう。
今や有名となった「雄川の滝」には、道路に道案内がちゃんとつけてあるのだが、現在は喋ればスマホがカーナビに代わる時代(笑)。誰だってナビを信用して走るのは当然だ。
だが、もうあと1キロを切った目的地の手前に、こんな表示が!
Oh my God! マジかよ~!
ここに来る途中に、「雄川の滝入口」と書かれた真新しい表示が、いかにも不自然に立っていたのはそのせいだった。
「雄川の滝」に間違いなく行き着くには、スマホに「雄川渓谷駐車場」と指示しよう。下のグーグルマップが、その正しい場所を示している。
なお、この看板から先の道は細くなり、対向できないところが多くなる。
道は舗装されているし、幅はジルクラスのキャブコンでも通れると思うが、山側にはブッシュ、上には梢が張り出しているので要注意。できれば経験者に確認するほうがいいと思うが、ハイエースは悠々と通れた。
駐車場から「雄川の滝」までの道
30台ほどが収容できる無料の「雄川渓谷駐車場」は、最近改修工事がなされたらしく、場内にカフェと綺麗な男女別の野外トイレがあった。

駐車場から「雄川の滝」までは、約1.2キロの遊歩道が整備されている。
途中にアップダウンはあるが、息切れして休みたくなるほどの難所はない。
滝の前に設けられた真新しい展望台は2階建てで、どちらからでも滝がよく見える。
ただ、筆者が訪れた時は冬場で水が少なく、メインの滝が枯れていたのは残念だった。ただ、こればかりはしょうがない。
Ps
「雄川の滝」には、あの渓流の宝石がいた!
この情報を事前に知っていれば、自慢の超望遠カメラを持参して行ったのに!
家内と「雄川の滝」で見つけたのは、清流の宝石と呼ばれるカワセミだ。
意外かもしれないが、カワセミはどちらかと云えば、人里に近い池や川の中流域でよく見かける鳥で、水の澄んだ川の上流域で見かけることは少ない。
それゆえまったくノーマークで、愚かにもクルマに中に機材を置いたまま出発してしまった。
家内はピピピピッと自転車のブレーキ音に近い鳴き声をあげながら飛ぶ、カワセミの飛来を見逃さなかった。
その恐るべき視力には、ただただ驚くしかない(笑)。
筆者はもう、カワセミの写真をたくさんストックできているのだが、こういう美しい景色の中に佇む、リアルな野生のカワセミが撮れるのなら、重たい三脚をたとえ1時間でも持ち歩こうという気になれるものだ。
しかし「カメラがない時」ほど、シャッターチャンスは訪れる(笑)。カワセミの野郎は、こともあろうか目の前で見事なホバリングを披露し、獲物を射止めやがった!
たった150ミリしか焦点距離のない中間レンズで、よくこれだけ撮れたもの。もちろんトリミングしているが、カワセミと認識できただけよかった。
必ず見られる保証はないが、野鳥が好きな人はぜひ双眼鏡のご持参を。
「西郷どん」ゆかりの地をめぐる旅