「クルマ旅専門家」・稲垣朝則が、20年以上かけて味わってきた全国のソウルフード&ドリンクを、そのレシピと老舗・行列店を交えてご紹介します。
これぞまさしく、長崎市民のソウルフードと呼ぶにふさわしいトルコライス
筆者はグルメの記事で、こんな話を書いたことがある。
いわゆる「ご当地ラーメン」には2種類の有名店があると思っている。ひとつは「喜多方ラーメンのおいしい店」、そしてもうひとつは「喜多方でラーメンのおいしい店」になるのだが、地元の人に聞くと後者の店を教えてくれることが多い。
しかし旅人が知りたいのは前者で、はるばる喜多方まで来た以上、「The 喜多方ラーメン」と呼べる店に行きたいと思っているわけだ。
実は筆者は、以前に長崎の「トルコライス」で、この話と同じ経験をしている。
それは長崎市民に人気のトルコライスがおいしい店、「ニッキーアースティン」でのことだった。
確かに味は良かったが、運ばれてきた料理はイメージしているオーソドックスなトルコライスとは少し違った。
「ニッキーアースティン」は「カフェ・ド・シェル」と同じく、「秘密のケンミンショー」で紹介されていた店だったが、愚かにも筆者は「その店のセールスポイント」を見逃していた。
それから3年… 再び長崎を訪ねるチャンスがやってきた。
今度はその年の上半期に放送された、NHKの朝ドラ「エール」に登場した「長崎の鐘」を取材に訪れたのだが、その近くで前回の教訓を活かすべく選んだ店が「カフェ・ド・シェル」だ。
これが「カフェ・ド・シェル」のトルコライス。ビジュアルは所望していたトルコライスそのものだ。
もともと冷や飯を活用するために考案されたといわれるトルコライスは、おかずもトンカツとスパゲティという庶民的な料理の組み合わせだけに、特筆する点がさほどあるわけではなく、むしろ「めっちゃうまい!」と書かれるほど懐疑的になる(笑)。
どちらかといえば、「喫茶店で食べるほのぼのとしたランチ」という表現のほうがしっくりくる。
そのうえワンプレートなので、テーブルで場所を取るわけでもなく、気取ることなくスポーツ新聞でも読みながら、黙々と食べるのにちょうどいい(笑)。
850円という値段を含めて、それが庶民のソウルフード・トルコライスの本来の姿なんじゃないのかな。
ふと目があった大将の「どうや、うまいか?」と問うアイコンタクトもなかなか粋で、久々に昭和な気分を堪能した。
「カフェ・ド・シェル」は、平和記念像の前の道を「長崎市永井隆記念館(如己堂)」の方へ少し進んだところにある。
ただ珍しく店名の「カフェ・ド・シェル」では、Google Mapが表示されないので、行かれる場合は以下のマップをご利用いただくほうがいい。
店の前に1階店舗と共用の駐車場が2台分あるが、満車の場合は近くにある指定のコインパーキングを利用すると、30分の無料サービス券がもらえる。