「クルマ旅専門家」・稲垣朝則が、20年以上かけて味わってきた全国のソウルフード&ドリンクを、そのレシピと老舗・行列店を交えてご紹介します。
トルコライスのメニューは186種類以上。初めての人は、自分で選べないかも?!
鎖国中でもオランダやポルトガル、さらに中国などの貿易船が入港し、様々な文化が上陸してきた長崎は、「食」においても、ちょっと他とは違っている。
その最たるものが、日本の「和」・中国の「華」・オランダの「蘭」が融合する「卓袱(しっぽく)料理」だ。漢字のゴロから「和華蘭(わからん)料理」とも呼ばれている(笑)。
そんな「卓袱料理」とは量も値段も違うものの、やはり「コンビネーション」を特徴にした、よく解らん長崎のソウルフードが「トルコライス」。
一見すると、それは根室のソウルフードの「エスカロップ」とよく似ている。
こちらが長崎の一般的なトルコライス。
Wikipediaには、「一皿に多種のおかずが盛りつけられた洋風料理で、最も一般的なのはピラフ(ドライカレー風も有)、ナポリタンスパゲティ、そしてドミグラスソースのかかったポークカツとの組み合わせ」とある。
おお!、それはまさに「アラ還」世代が学食で日々食べてきた定食メニューの「ええとこどり」じゃ~ないですか(笑)。
そのうえフーディーの間では、長崎発祥の食べ物として「ちゃんぽん」に次ぐ地位を誇っているというのだから、興味が湧くのは当然だ。
だが問題は、トルコライスを食べさせてくれる店の数。
少ないと混雑するのでそれも困るが、市内だけでも200軒を超えるとなれば、「食べログ」を頼るにしても、店選びからして大変だ。
さて。
この時は軍艦島の取材で長崎を訪ねていたのだが、午前中のツアーを予約していたので、長崎港に戻ったその足で、近くにあるトルコライスで有名なレストラン「ニッキーアースティン」の浜町店へと向かった。
ただ現在は浜町から万屋町(よろずやまち)に移転しており、ここにはない。
「ニッキーアースティン」は100種類を超えるトルコライスのメニューが自慢の老舗で、「秘密のケンミンショー」や「いい旅夢気分」などのメジャーなテレビ番組でも紹介された行列店のひとつだ。
なるほど。テーブルには、店主のトルコライスに関するこだわりとメッセージが記された紙が、プラスチックのボードに挟んで置いてある。
それなりの自負と自信がなければ、こういうものは書けない。
よし、期待大だ。
ただ一見客は、まず自分で注文が決められない…(笑)。
そんなわけで、筆者と家内は店のスタッフにおまかせして、人気のメニューを選んでもらった。
運ばれてきたのは、オムレツとコロッケのトルコライス。
見た目が「こってり」しているだけに、完食できるか心配したが、量は少なめで家内も残さず食べ切った。しかも思っているより「あっさり」している。
「食べログ」では、若い男の子とおぼしき投稿者が、物足りない節のコメントをあげていたが、中高年の筆者とは真逆の評価。
これがあるから「食べログ」は鵜呑みにできない。
さて。
残念なことに、「ニッキーアースティン」にはオフィシャルサイトがなく、その自慢のメニューを紹介できないと思っていたのだが、いい動画が見つかった。
興味があれば、このNBC長崎放送の番組をご覧いただくといい。素人のYoutubeと違い、映像も構成もしっかりしていて参考になる。
最後に結論として。
「ニッキーアースティン」は、トルコライスの経験者が、好みの組み合わせを味わいに来るところのようだ。
筆者のように、初めてトルコライスを食べようと思う人は、オーソドックスなトルコライスが簡単に注文できる店のほうがいいかもしれない。
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