【2022年11月更新】
車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家がまとめた、呼子の観光・グルメ・車中泊に関する記述です。
この記事は車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の中のひとつです。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
呼子(よぶこ)は「食べてよし・観てよし・泊まってよし」の三拍子が揃う、お勧め車中泊旅行スポット
「呼子」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2014.01.16
2018.01.01
2021.12.30
※「呼子」での現地調査は2021年12月が最終で、この記事は友人知人から得た情報及び、ネット上で確認できた情報を加筆し、2022年10月に更新しています。
呼子の観光・グルメ・車中泊ガイド
呼子のロケーションと魅力
玄界灘に面した佐賀県の東松浦半島・先端に位置する呼子は、福岡県の糸島や長崎県の平戸島らともに、古代からひとつの「文化圏」を形成してきた。
朝鮮半島と中国大陸、しいては東シナ海に対する日本側の「ゲートウェイ」であったこの地域には、歴史をそれほど覚えていなくても、日本人なら「あ~そうそう、確かにそういうことがあったよね」と云える史実の舞台が、今でも数多く残されている。
そのうち呼子には、天下人となった豊臣秀吉の野望とともに、瞬くうちに幻と化した名護屋城、さらに鷹島肥前大橋で結ばれた鷹島には、鎌倉時代に襲来した元寇の4000艘とも呼ばれる軍船が、「神風」を食らって海の藻屑と消えた海底遺跡がある。
それを思うと、呼子はまるで九州に残された「兵どもが夢の跡」のようだ。
それも含めて…
時間が止まったままの呼子の魅力は、玄界灘で昔から漁業を営む人々の、素朴な暮らしと触れ合える「旅情」にあるとも云えるだろう。
そのいちばんの場所がここになる。
約200メートルあるという「朝市通り」には、毎日30~50軒の露店や店舗が店を開くが、その規模から勝浦朝市(千葉県)、輪島朝市(石川県)、そして高山朝市(陣屋前朝市・宮川朝市)らと肩を並べると称されてきた。
そのルーツは江戸時代に漁師と農家が、新鮮な魚介類と農産物を物々交換していたことにあるというが、路上に並ぶサザエにナマコ・ウニ・アワビ、そして分厚いワカメは、コンクリート・ジャングルに住む我々にとっても実に魅力的だ。
それを浜焼きにされたら、もうオコチャマだって止まらない(笑)。
いっぽうこちらは、「よしや食堂」のアラカブの味噌汁定食。
特に車中泊旅行者は、朝からいいご馳走にありつけるとあって人気が高い。
アラカブとは釣り用語でいうロックフィッシュのカサゴこと。
九州ではそう呼ばれるが、近畿ではガシラの名前で親しまれており、ワームでも狙える穴釣りの対象魚として人気が高い。
小さいものは唐揚げで食べるのがポピュラーだが、いいダシが出るので味噌汁との相性は抜群だ。
庶民的な「よしや食堂」の店内では、気さくな女将さんとの会話も弾む。
ただ筆者が訪ねたのは2014年で、当時のアラカブの味噌汁定食は980円。今は100円ほど値段があがっている。
なお朝市通りには無料の駐車場がある。
収容台数 29台
営業時間 8時~19時
「朝市通り駐車場」満車の時は、有料にはなるが近くに128台が収容できる「呼子臨港駐車場」がある。
ただしこちらは2.5メートルの高さ制限があるため、大型のキャブコンとマイクロバスは利用できない。
1時間以内100円
1時間~3時間以内200円
3時間~12時間以内500円
12時間~24時間以内1,000円
呼子のイカはなぜうまい?
呼子の代名詞といえばイカ。
対馬海流の恩恵を受ける玄界灘は、海水に豊富な栄養分が含まれていることから、美味しいイカが獲れる漁場として古くから知られてきた。
ただ呼子のイカが高級なのは、他にも理由がある。
呼子には水揚げした上質のイカを海上から店内まで生簀で活かし、注文を受けてから調理したてを配膳するシステムが確立されている。
イカは釣り上げた瞬間からすぐに鮮度が落ちていってしまうため、「活け造り」で提供することは想像以上に難しい。
そのため呼子では、イカは漁港でセリにかけられることなく、契約している料理店の生簀に直接運ばれるという。
さて。
呼子では一年中イカを味わえるが、食べられるイカの種類は季節によって変わる。
テレビや雑誌でよく紹介される、このコリコリしていて透明感のある「いかの活け造り」は、春から初夏に水揚げされる「剣先イカ」。
そして秋から春までは、身が厚くてもっちりしたこのアオリイカがメインになる。
アオリイカの刺身は食感がイマイチだが、釜飯や天ぷらにもできるので、ご飯として頂くにはお勧めだ。
ただし休日は、どこのイカ屋もこのような行列ができることを覚えておこう(笑)。
穴場は「呼子台場みなとプラザ」
呼子で「いかの活け造り」を食べさせてくれる店は、朝市通りの近くに集まっているが、クルマで自由に動ける車中泊の旅行者には、上のマップの「現在地」にある「呼子台場みなとプラザ」がお勧めだ。
ここには地元の漁協が運営する、鮮魚直売所「大漁鮮華」があり、そこでも生簀で泳ぐ名物の活イカをその場で捌いてくれる。
漁協直営なので余計な飾り物はないが、周辺のイカ専門店よりは安く食べられるのでお勧めだ。またここでは地魚の握り寿司も販売している。
そのうえ隣には、料理の持込みができる日帰り温泉施設の「呼子台場の湯」と、24時間利用できる公衆トイレがある。
ただし、残念ながら「呼子台場みなとプラザ」の駐車場は夜間閉鎖されるため、車中泊はできない。
しかし、その周りにある呼子漁港の駐車場なら可能だ。
イチオシの観光スポットは「名護屋城跡」
冒頭でも少し触れたが、呼子には桃山時代に、その縄張りが大坂城に匹敵するともと云われた巨城があった。
「名護屋城」は豊臣秀吉が画策した朝鮮出兵に向けて築かれた城で、現在は石垣が残るだけだが、その周りに「元祖サムライジャパン」が陣を構えたことで有名だ。
2023年に開催されるWBCに例えると、徳川家康は最強の助っ人といえる大谷翔平、脂がのった働き盛りの加藤清正はライオンズの森友哉、当時20代前半だった真田幸村はヤクルトの村上宗隆のような存在だったかもしれない(笑)。
ただ筆者のお勧めは、その敷地の一画にある無料の「佐賀県立名護屋城博物館」だ。
呼子の車中泊事情&車中泊スポット
呼子の市街地には「道の駅 桃山天下市」があるが、メインの第一駐車場の大半が傾斜しており、車中泊に適した場所は限られている。
そのため道の駅での車中泊を希望するなら、「道の駅 桃山天下市」から約23キロ・30分ほど離れた、鷹島にある「道の駅 鷹ら島」のほうがお勧めだと思う。
また道の駅以外でも、車中泊ができる漁港や橋の袂に無料の駐車場が点在している。
その中で温泉が隣接していて便利なのが、前述した「呼子台場みなとプラザ」だ。
またその他の車中泊スポットとしては、呼子大橋の両方の袂にトイレ付きの無料駐車駐車場がある。
こちらは「弁天駐車場」のトイレ。
いっぽうこちらは対岸にある「片島駐車場」だ。