「クルマ旅専門家」・稲垣朝則が、20年以上かけて味わってきた全国のソウルフード&ドリンクを、そのレシピと老舗・行列店を交えてご紹介。

「馬刺し」は、調理不要で滋養豊かな「食肉のチャンピオン」。
熊本県の食肉といえば「あか牛」が有名だが、阿蘇の山麓をドライブしていると、たまに「馬」を見かけることがある。
関東在住の人は、東北なら青森県・福島県、甲信越では長野県・山梨県に行かれた際に、「馬刺し」を食べた経験のある人が多いと思うが、関西ではほとんど見かけない。
実は熊本県は、その「馬刺し」を日本でもっとも多く生産・消費している県で、スーパーの中には牛肉や豚肉とともに、店頭に並んでいる店もある。
熊本の「馬刺し」のルーツは、加藤清正にあり
熊本で「馬刺し」を食べる文化が広まったのは、熊本藩初代藩主の加藤清正が、400年前の豊臣秀吉による朝鮮出兵で大陸に渡った際に、食糧が底をつき、やむを得ず軍馬を食したことが発端というのが定説だ。
清正は帰国後も好んで「馬刺し」を食べたことから、領地の熊本では低カロリーで高タンパクな薬膳料理として、領民の間に広まっていったという。
馬刺しの食べ方と滋養
「馬刺し」は、豊富なビタミン(A・B12・E)に加え、 牛肉・豚肉の3倍量のカルシウム、ほうれん草やひじきより豊富な鉄分(生肉100g中4・3mg)を含んでいることから、「食肉のチャンピオン」と云われている。
食べ方は、おろしショウガやおろしニンニクなどを薬味に、専用の醤油をつけるのが一般的で、肉自体は柔らかく、脂肪にほんのりとした甘味を感じる。
現在の熊本で流通しているのは、カナダ産の馬の肉
現在の熊本で流通している「馬刺し」の多くは、カナダからの輸入物、あるいはカナダで生まれ、熊本県で2年ほど肥育した馬(カナダ産熊本肥育)の肉がほとんどらしい。中国でなくてよかった(笑)。
阿蘇周辺でリーズナブルな「馬刺し」が買える店
筆者がよく利用するのは、「道の駅阿蘇」から国道57号を1キロほど阿蘇神社方面に走ったところにある、スーパーマーケットの「えびすぱーな 阿蘇店」だ。
運が良ければ、100グラムあたり1000円以下で手に入ることもある。
阿蘇周辺で高級な「馬刺し」が買える店
こちらは「馬刺し」専門店の「岩永本店」。年末にはまさに行列ができるほどの人気ぶりで、ついつい誘われて入店した。
陳列されていたのは100グラム1400円から1900円と、和牛も驚く高級品だが、100グラムで上のスーパーのパックと同じくらいの量になるので、おかずではなく、酒の肴にするなら手が出る範囲だと思う。
もちろん1900円の最上肉は「霜降り」。これは牛より本当に「馬勝った」(爆)。
ただし岩永本店があるのは「小国郷」で、道の駅は「阿蘇」ではなく「小国」のほうが遥かに近い。
ただ、以前に阿蘇市内で立ち寄った専門店は、ブロックでしか販売してくれなかったのだが、「岩永本店」ではグラム売りでスライスまでしてくれる。岩永本店にはホームページがないので、かわりにチラシを掲載しておく。
