この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。

「さすがはプロ!」とリスペクトしたくなる野球選手の真実を、舞台裏のキャンプで知る。
1960年代の日本を評した「巨人・大鵬・卵焼き」世代の筆者は、類にもれず野球が好きで、気がつけばプロ野球を見続けて50年と余年… 年数だけで云うと、赤星や高橋由伸のような若い野球解説者よりもはるかに長い(笑)。
もちろん王・長嶋の時代から、落合、清原、松井、阿部ときて、今は若き主砲・岡本様の君臨する読売巨人軍一筋なわけで、これまで何度かスタジアムにも足を運んでいるが、「公式戦よりキャンプは面白い!」と断言する。
その理由をこれから話そう。
若い子が書いているプロ野球キャンプの記事を読むと、人気選手が近くでみられるだの、サインがもらいやすいだのというチャラい話が多いわけだが、サインを貰ったところで飾るわけでもなく、いつの間にかどこかへ消えてしまうのがオチ。ということを既に学習している還暦親父にとって、もはやそういうことはどうでもいい(笑)。
一流と呼ばれるプロの「本当の価値」を実感。
プロ野球キャンプには、一軍だけでなく顔も知らない二軍の選手もいるが、それでもブルペンで投げているボールの速さには度肝を抜かれる。
これほど迫力があっても、ゲームに出られないのか…
バッターも同じ。
これだけ自在に強い打球が打てるのに、ゲームに出られないということは、4番を打つ選手はいかなるレベルの高さなんだ?
ソフトバンクの主砲・柳田のフリーバッティングを見て、答えがわかった。
2軍選手のレベルが低いのではなく、柳田がずば抜けている。
ここまでになるには、いったいどんな練習をしてきたのだろう。
プロ野球キャンプに行けば、どんな選手でもリスペクトできるようになるし、一流と呼ばれるプロの「本当の価値」がわかる。
と同時に、そこまでに至ったプロセスにも興味が湧くというものだ。
練習に、チームの戦略と習熟度が見え隠れする。
キャンプ恒例の練習シーンに、「シートノック」がある。
プロ野球に限らず、野球では守備に細かなフォーメーションが決められており、選手はキャンプでその精度を高める合同練習に時間を割かれる。ただし、チームによってやり方に少し違いがあるようだ。
筆者が訪ねた2019年のジャイアンツのキャンプは、他球団に比べて格段にグラウンド上での細かなミーティングに、時間を割いているように見えた。
これは推測だが、元木コーチは若い選手に、改めて各フォーメーションプレイの意味と重要性を教え込んでいたみたいだ。
内野守備陣のレギュラーが固まらなかったその年は、チーム失策数が72と前年よりも少し悪化したが、首脳陣は元木コーチの手腕を評価し、ヘッドコーチに昇格させる。
そして岡本がサードに、吉川がセカンドにほぼ固定された2020年には、チーム失策数43と劇的な改善を果たし、コロナ禍の変則的で難しいシーズンを見事に勝ち抜いた。
経営に大事なのは、FACT(事実)・Figure(数値)・Forecast(予測)とサラリーマン時代に学んだが、プロ野球にもそれは通じる。
もちろん巨人には、アナリストがデータから組み立てた論理的なトレーニングプランがあったと思うが、それを実行できる選手へと導いた、元木コーチの力は大きい。
またエラーをしないに越したことはないが、ミスが生じた後の対処が、85ものチーム失策を喫した阪神に比べ、巨人は遥かによくできていた。これは各選手に「考える力」がついた、「元木の教え」の副産物でもあるのだろう。
面白いのは、ファンにはその習熟度がスタンドから見ていてわかること。
「岡本デカッ!」はともかくとして(笑)、「若林はもう少し時間がかかりそうやな~」「吉川はまだセンスだけでやってるな。」みたいなね。
少々マニアックになってしまったが、もともと野球が好きじゃないと足を運ぶことはないと思うので、あえてこういう話をさせていただいた。