「クルマ旅専門家」・稲垣朝則が、10年以上かけてめぐってきた全国の温泉地を、「車中泊旅行者の目線」から再評価。車中泊事情や温泉情緒、さらに観光・グルメにいたる「各温泉地の魅力」を、主観を交えてご紹介します。

車中泊旅行者にとって「阿蘇内牧温泉」は、温泉地というより「旅のオアシス」
阿蘇内牧温泉のロケーション
「阿蘇内牧温泉(あそうちのまきおんせん)」は、北外輪山の一翼をなす「大観峰」の麓の田園地帯に湧く温泉地で、「道の駅阿蘇」から10分もかからない好立地にある。
阿蘇内牧温泉の概要
「阿蘇内牧温泉」には、歩いてまわれる範囲に100を越えるとも云われる数の源泉があり、2020年現在は「町湯」と呼ばれる共同浴場が6軒と、約20軒の旅館・ホテルが点在している。
とはいえ、土産屋や飲食店が軒を連ねる「温泉街」のような通リはなく、「商店街」がかろうじてその代わりを果たしている感じだ。
良く云えば「手作り感のあるアットホームな雰囲気」、悪く云えば「統一感のないありふれた町」である(笑)。
阿蘇内牧温泉の温泉施設
「阿蘇内牧温泉」には、さまざまな泉質を持つ「町湯」が6ヶ所あり、どこも銭湯感覚で気軽に安く利用できることで有名だ。
ただ、それはコアな温泉ファンにはいいと思うが、普通の旅人に6軒の共同温泉めぐりは荷が重い。

驚いたことに、「阿蘇内牧温泉」には温泉組合などが作るオフィシャルサイトが見当たらないのだが、「宝湯」以外の「町湯」は、温泉ファンが綴った「町湯めぐり」の記事を探せば、きっとすぐに見つかると思う。
ちなみに「町湯」の中で一番ゴージャスそうなのは、こちらの「阿蘇の湯」。
一際大きく、内湯と露天風呂に加えて家族風呂もある。特に女性は一軒しか入湯しないのであれば、情緒があってアメニティーも充実している温泉旅館を、日帰り利用するほうがいいかもしれない。
写真の「阿蘇の湯」の温泉は、嬉しいことに500円で利用できる。
内牧温泉の車中泊事情と車中泊スポット
さて。ここからは、筆者が「阿蘇内牧温泉」を評価している理由を話そう。

しかしハイシーズンには、「道の駅阿蘇」が夜間も満車になることがあるため、写真のトイレと観光案内所がある、無料の駐車場で車中泊をする人を見かける。
トイレはキレイに管理されており、ウォシュレットもついている。
観光案内所は他にもあるので、カーナビは同じ敷地にあるレストラン「はな阿蘇美(☎0967-23-6262)」にセットするといい。
ここは観光駐車場なので、クルマを置いたまま「町湯」までブラブラ歩いて行ってもかなわないが、もしかすると夜間は閉鎖されるかもしれない。
現在、内牧温泉で確実に車中泊ができるのは、この「RVパーク阿蘇内牧」。
収容台数は3台しかないようだが、電源料金込み1泊2000円で利用でき、指定の袋(1袋あたり500円)を購入すれば、ゴミも引き取ってもらえる。
ただ、2020年の夏に「道の駅阿蘇」の無料電源サービスが終了したため、需要は急増しているはずだ。
さらに「阿蘇内牧温泉」には、コンビニとスーパーマーケット、さらにはコインランドリー店まで揃っており、車中泊環境はすこぶるいい。
長旅ではコインランドリーが欠かせないのだが、ここでは、入浴や買い出しをしている間に、洗濯を済ませることもできる。
内牧温泉のグルメスポット
最後は、おそらく「阿蘇内牧温泉」の中で、一番有名であろうと思われる店を紹介して終わろう。
「いまきん食堂」は「食べログ」の常連だけあって、昼食時は行列必至。ここだけを目標に訪れる若者も多いようだ。
そのお目当ては「あか牛丼」1760円。並んでいる観光客のほぼ100%が注文するから面白い(笑)。