25年のキャリアを誇る車中泊旅行家がまとめた、「道の駅 第九の里」の車中泊に関する情報です。
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~ここから本編が始まります。~
大鳴門橋から約20キロのところにある「道の駅 第九の里」は、車中泊には不向き。泊まるなら近くの「道の駅いたの」が断然お勧め。
道の駅 第九の里 DATA
道の駅 第九の里
〒779-0225
徳島県鳴門市大麻町桧東山田53
☎088-689-1119
9時~17時
第4月曜 定休
「道の駅 第九の里」の登録日
※これを知ることで、施設の古さやリニューアルの有無などがわかります。
登録回/第19回
登録日/2006年7月8日
「道の駅 第九の里」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2012.11.22
2018.05.02
2025.02.08
※「道の駅 第九の里」での現地調査は2025年2月が最新です。
道の駅 第九の里

「道の駅 第九の里」のロケーション
「道の駅 第九の里」は、「神戸淡路鳴門自動車道」の「鳴門インター」から約20キロ・30分ほどのところにある、鳴門エリアでは最古参の道の駅だ。
周辺の見どころは、「うずしお」でお馴染みの「鳴門海峡」になるが、それについては他の観光スポットとともに、以下の記事に詳しくまとめている。
さて。
かつては鳴門で車中泊旅行時に使える道の駅といえば、この「道の駅 第九の里」しかなかったが、現在は近くに高規格な「道の駅 いたの」と「道の駅 くるくるなると」がオープンし、鳴門の車中泊事情は180度好転している。
とりわけ、すぐ近くにある「道の駅いたの」の車中泊好適度は際立って高く、泊まるなら断然お勧めと云えるだろう。
ただ「道の駅 第九の里」は、四国八十八か所霊場・一番札所の霊山寺から、わずか1キロのところにある。
なので今でもこの道の駅を利用する車中泊の旅人の多くは、クルマで「四国八十八か所霊場」めぐりをしている、いわゆる「マイカーお遍路さん」だろうと思う。
「道の駅 第九の里」の施設
「道の駅 第九の里」は、第一次世界大戦中にこの地にあった「板東俘虜収容所(ばんどうふりょしゅうようじょ)」の跡地に、鳴門市が整備を進めてきた「ドイツ村公園」の中核施設で、「物産館」「鳴門市ドイツ館」「賀川豊彦記念館」の3つの施設が一体となっている。
気になる「 第九の里」のネーミングは、1918年6月にドイツ兵捕虜によって、ベートーヴェンの「交響曲第9番」が日本で初めて全曲演奏されたことに因むという。
そしてこちらが、それを記念して建てられた「鳴門市ドイツ館」だ。
創設されたのは1972年で、現在の建物は1993年に竣工した2代目にあたり、場所も初代から移転しているとのこと。
間違いなく現代なら、この程度の実績では実在すらしていないように思えるわけだが、1993年といえば”バブル放蕩時代”の終焉期にあたる。
当然計画はその盛りの時期に立てられ、予算もふんだんに組めたに違いない。
ただ、大事なのはここからだ。
「板東俘虜収容所」では、捕虜の人権尊重と自主的な運営が許されたことから、地元住民との交流が活発に行われ、多くのドイツ文化が伝えられた。
収容所において『ベートーベンの第九』が演奏されたり、近くの「大麻比古神社」にドイツ人の手で石造りのアーチ橋が架けられたのは、それを裏付ける”エピソード”にすぎない。
しかし公式サイトをはじめ、ウィキペディア以外の紹介サイトには、先ほどの
「板東俘虜収容所」では、捕虜の人権尊重と自主的な運営が許されたことから、地元民との交流も活発に行われ、多くのドイツ文化が伝えられた。
の一節が抜け落ちている。
だがこれこそが、大枚を叩いて立派な施設を作った根拠であり、意義ではないのか?
『なにゆえにこんな立派な施設を建てたのか?』という、誰もが”腑に落ちない部分”を、きちんと説明できてこそ解説文で、それを見抜いてまとめられるプロと素人の力量の差が、そこには如実に現れている。
よって「鳴門市ドイツ館」の隣の公園に、ベートーヴェンの像が立っていても、
「物産館」にドイツビールが売っていても、いずれも本筋にフォーカスされていないため、「なるほどね」にはならず「ふ~ん」で終わる(笑)。
またこういう独自性の高い”大義名分”を有しながら、国内にあるもっとも相応しい「ドイツ村」に仕立てあげられなかったのも虚しい話で、すべてが中途半端で無責任に終わっている。
ちなみに「鳴門市ドイツ館」の1階は無料で、2階が400円の有料展示スペースになっており、第九のシアターもあるようだが見ていない。
筆者だって『ベートーベンの第九』は口ずさめるし、交響曲3番・5番・6番のタイトルが分かる程度には、クラシックを知っている。
そもそも芸術が嫌いなわけではなく、「大塚国際美術館」では喜んで夫婦分の6600円を出すような筆者が、現地まで足を運んでいるにもかかわらず、たった400円を財布から出そうと思わなかったこと事態がどうかしている(笑)。
また「賀川豊彦記念館」にも足を運んでいない。道の駅に『「賀川豊彦」が何をした人か』がひとめで分かるでポスターひとつないのだから、そりゃ足は向かない。
GoogleのAIに聞くと、「賀川豊彦」は、キリスト教における博愛の精神を実践した「貧民街の聖者」として、日本以上に世界的な知名度が高く、戦前は現代の「三大聖人」として「カガワ、ガンジー、シュヴァイツァー」と称された人物らしい。
「ガンジー」と「シュヴァイツァー」は知っていても、「カガワ」は知らない。
おいらも典型的な日本人だった(笑)。
ということで、
ここからは車中泊に関連する施設の説明を、詳しくしていくことにしよう。
まず駐車台数だが、サイトによっては105台と書かれているが、車中泊時に好適と云えるのは、マップに★印を記した写真の12台ほどのスペースしかない。
しかも、黒いハイエースが停まっている駐車スペースの路面は前後に傾斜しており、駐車場中央には大型車用の駐車場がある。
すなわち「道の駅 第九の里」で、まともに車中泊ができるのは「直売所」の左側にあるこの場所だけ。
ただ、道の駅の前を通る県道41号(徳島北灘線)を挟んだ向かいに、未舗装ながらマイカー用の広い駐車場が用意されている。
深夜に幹線道路をわたってトイレに行く必要があるので、高齢者や子どもには不向きだが、乗用車に乗る若い車中泊の旅人には、多少は静かで平坦なこちらのほうが、むしろいいかもしれない。
こちらが「物産館」と「ドイツ館」の間にある24時間トイレの建物で、情報コーナーとセットになっている。
中にはウォシュレットが完備していた。
「道の駅 第九の里」の「物産館」は、「板東俘虜収容所」廃止後の1968年に移築され、2004年に登録有形文化財に登録された「柿本家バラッケ(登録名、バラッケ=兵舎)」を2006年に移築したものになる。
中にはどっかで見たようなものも売られていたが、それより
はたしてこれを「物産館」と呼んでいいものかどうか… 気が引けた。
飲食は今も、うどんとドイツソーセージのホットドッグが食べられるカフェのみ。
さすがにもうリニューアルされただろうと思っていたが、筆者が最後に訪ねた2018年から7年を経ても、道の駅の施設はほとんど変わっていなかった。
というより、はたしてここを「カフェ」と呼んでいいものかどうか… さっきよりもっと気が引けた(大笑)。
もうそろそろ、どうにかしてやらないと。
いずれにせよ、こうなった罪を負うべきは徳島県のお偉いさんで、この惨状をどうにかするべく、そのツケを日々払わされている現場のスタッフは本当に気の毒だ。
これではある意味『従業員という名の捕虜収容所』と変わらない。
「道の駅 第九の里」の車中泊好適度
「道の駅 第九の里」のゴミに対する対応
可燃ゴミ:なし。
缶・ビン・ペットボトル:自動販売機横に設置。
なお、車中泊の旅行中に発生するゴミは「家庭ゴミ」ではない。
しかるに「家庭ゴミの持込み禁止」は地域住民に向けた正しい勧告ではあるが、車中泊の旅行中に発生するゴミは該当しない。
こう説明すれば分かりやすいと思う。
近くのスーパーで買ってきた「弁当」は、道の駅についた時点では「ゴミ」ではなく「食品」だ。
しかしそれを道の駅で食べると、残った容器はゴミになる。
ということは、正確には「道の駅で発生したゴミ」であって、
道の駅のスタッフが、出勤前にコンビニで買ってきた弁当を昼食に食べた後、その容器を事務所のゴミ箱に捨てるのと同じ話で、誰が食べたかは関係ない。
すなわち、「事業ゴミ」として道の駅が処分するのが筋ということになる。
明日自宅に帰る車中泊の旅行者が、それを「持ち帰り」するのは自由だが、それは「マナー」と呼ぶものではなく、あくまでも「道の駅の負担を軽減してあげるための協力」であって、基本は堂々と捨てさせてもらってかまわない。
車中泊旅行中のゴミの処分については、以下にもっと詳しい記事を掲載しているので、時間があればぜひ。上に記した話が「自分勝手」かどうかは、法律に照らし合わせれば一目瞭然だ(笑)。
「道の駅 第九の里」の最寄りの温泉&周辺の買い物施設
あせび温泉やすらぎの郷
道の駅から約7キロ・10分
☎088-672-1126
おとな600円
10時~21時30分(受付最終21時)
水曜 定休
コンビニ
ローソンまで約1.2キロ
スーパーマーケット
「マルナカ藍住店」まで約4キロ