「しまなみ海道(尾道・今治ルート)」から四国を旅する際のモデル車中泊コースガイドを、経験豊かな「車中泊旅行家」が紹介しています。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊旅行ガイド

この記事は、1999年から車中泊に関連する書籍を既に10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「車中泊旅行家・稲垣朝則」が、独自の取材に基づき、全国各地の「クルマ旅にお勧めしたい観光地」を、「車中泊旅行者目線」からご紹介しています。
~ここから本編が始まります。~
「しまなみ海道」で、車中泊の旅人にお勧めしたい島は「大島」。
広島県側の見どころは、歴史が好きなら「尾道」よりも「鞆の浦」がいい

広島県側の見どころは、歴史が好きなら「尾道」よりも「鞆の浦」がいい
「しまなみ海道」を走るということは、嫌でも広島県では「尾道」、愛媛県では「今治」を通ることになるのだが、基本的に関西からもっとも遠いこのルートを選択する人は、「尾道」や「鞆の浦」、あるいは「しなまみ海道」を結んでいる島々を観光ルートに組み込んでいると思う。
「淡路島ルート」や「瀬戸大橋ルート」に比べると、少々マニアックな観光地が多いとはいえ、四国を旅するなら、一度はここを通ってみる価値はあるだろう。
そこで、簡単に広島県側の「尾道」と「鞆の浦」の見どころにも触れておきたい。
ツアーではないので、「四国」にとらわれる必要はどこにもなく、どうせ通るなら寄らない手はあるまい(笑)。
まず、「尾道」随一の観光名所はこの「千光寺公園」になる。
観光の秘訣は、疲れないよう行きはロープウェイで登り、帰りは「文学のこみち」を歩いて下ること。途中には数多くの作家や詩人の碑がある。
また「尾道」の町は見どころがコンパクトに凝縮されており、市役所の有料駐車場にクルマを止めれば、主だったところには歩いて行ける。
ただ最近の尾道は、「女子旅」と「しまなみ海道」に連動する「サイクリング」に重きを置いているようで、合う人とそうでもない人に分かれるようだ。
筆者のような中高年で歴史が好きな人には、江戸時代の港町の面影が残る、「鞆の浦」のほうが落ち着けると思う。
「鞆の浦」は「尾道」のような賑わいがない代わりに、穏やかでレトロな情景が独特の癒し感を醸し出し、なぜか懐かしい気持ちになれるところだ。
そのうえ「坂本龍馬」や「足利将軍家」とのゆかりも深く、ジブリのアニメにも影響を与えている。
「しまなみ海道」の概要
1999年5月1日に開通した「しまなみ海道」は、「西瀬戸自動車道」「生口島道路」「大島道路」から構成される全長約60kmの自動車専用道路で、瀬戸内海に浮かぶ「向島」「因島」「生口島」「大三島」「伯方島」「大島」「馬島」などを経由して、広島県の「尾道市」と愛媛県の「今治市」を結んでいる。

出典:ツーリズム四国
本四高速3ルートの中で唯一、自転車歩行者道が設置されているということで、特にサイクリストの誘致に力を注いでおり、2014年7月19日から2026年3月31日までの期間限定で、自転車(原動機付を除く)の通行料金の無料化を実施。
それが近年の「自転車ブーム」と相まってブレークし、一躍「サイクリストの聖地」へと躍進した。
ちなみに2025年1月時点の、「西瀬戸尾道」~「今治」間のクルマの通行料金は以下の表の通り。「しまなみ海道」はETCを搭載していれば、曜日・時刻に関わらず割引が適用されるが、深夜割引はない。
軽自動車 | 普通車 | |
現金車(非ETC) | 3,980円 | 4,920円 |
ETC車(平日料金) | 2,450円 | 2,950円 |
ETC車(休日料金) | 1,880円 | 2,310円 |
クルマ旅で立ち寄るなら「大島」がお勧め
「しまなみ海道」の通行時間は40分ほどだが、その大半は点在する島の中を走るので、海上ドライブは想像よりも短く、どこかの島から多島美の景観を眺めたくなる。
「しまなみ海道」には「来島海峡SA」のほかに、3つの島に4つの道の駅があり、サイクリストに人気があるのは、「道の駅 多々羅しまなみ公園」にその聖地の記念碑がある「大三島」のようだ。
だが”クルマ旅の寄り道”にお勧めなのは、「亀老山」と「カレイ山」のふたつの展望台と、「道の駅 よしうみいきいき館」を持つ大島だと思う。
朝に「鞆の浦」に近い「道の駅 アリストぬまくま」を出て、途中で「大三島」と「大島」に立ち寄っても、夕方松山の「道後温泉」に到着するのは容易だが、「しまなみ海道」のどこかで車中泊がしたい人には、やはりこの島がいい。
愛媛県側のいちばんの見どころは「松山」
あえて「道後温泉」と云わないところが、奥ゆかしいと思っているのだが(笑)、
40年近く前から松山市の観光PRで用いられてきた「いで湯と城と文学のまち」というキャッチコピーは、端的にポイントを言い表したいい表現だ。
「いで湯」とは「日本三古湯」のひとつとされる「道後温泉」、「城」は「現存十二天守」と「日本100名城」に名を連ねる「松山城」、そして最後の「文学」には、『松山が発信源』と『松山が描かれた』の2つの意味が込められている。
車中泊コースガイド❶ 瀬戸内海コース
さて。
大半の人は「しまなみ海道」を渡り終えた後、上記の「松山」まで進むと思うが、問題はそこからだ。
旅の日程にゆとりのあるシニア世代には、下の「車中泊コースガイド❷ 豊後水道コース」をお勧めしたいのだが、現役世代は京阪神在住でも「しまなみ海道」の旅では3連休が妥当だと思う。
しかし、来た道を戻るのはもったいない。
いずれ「四国一周」を目論むのであれば、帰路は「松山自動車道」から「高松自動車道」に乗り継ぎ、琴引・讃岐エリアに立ち寄っていただきたいものだ。
そこから「瀬戸大橋」で帰阪すれば「瀬戸内海ハーフコース」、さらに「高松自動車道」沿いに進んで「鳴門」まで行けば、「瀬戸内海フルコース」を完走できる。
車中泊コースガイド❷ 豊後水道コース
だが、「しまなみ海道」から行く四国めぐりの”王道”と呼べるのは、愛媛県から高知県へと続く「豊後水道」に沿って、四国西海岸を南下するコースだろう。
愛媛県での見どころは、ノスタルジックな城下町の面影を残した「大洲」と、「豊後水道」を超えて九州の大分県を結ぶフェリーが往来する「佐田岬」、そして仙台の伊達家とゆかりを持つ「宇和島」になる。
以下の3本の記事は、その観光ガイドではないが、いちばんの見どころとも呼べる名城に関するものと、九州行きのフェリーに関する詳細をまとめているので、旅の参考にはなると思う。
さて。
「宇和島」を超えると、次の目的地は「だるま夕日」で有名な「宿毛」で、さらに進んで「叶崎」を周ると、いよいよ四国最南端の町「土佐清水」に辿り着く。
もうここまで来ると、旅は完全な「ロードトリップ」だ。
ということで、この先は次の記事があなたの強い味方になってくれる。
初めて行く、四国車中泊の旅
車中泊でクルマ旅 総合案内
クルマ旅を愉しむための車中泊入門

この記事がよく読まれています。




