25年のキャリアを誇る車中泊旅行家が、「仁淀ブルー」の3つのビュースポットへのマイカーアクセスと、周辺の車中泊事情を詳しくガイドしています。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊旅行ガイド

この記事は、1999年から車中泊に関連する書籍を既に10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「車中泊旅行家・稲垣朝則」が、独自の取材に基づき、全国各地の「クルマ旅にお勧めしたい観光地」を、「車中泊旅行者目線」からご紹介しています。

~ここから本編が始まります。~
「仁淀ブルー」のビュースポットは3ヵ所ある。
「仁淀川」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2015.12.28
2020.06.21
「仁淀川」での現地調査は2020年6月が最新で、この記事は友人知人から得た情報及び、ネット上で確認できた情報を加筆し、2024年12月に作成しています。
車中泊でめぐる「仁淀ブルー」

「仁淀ブルー」とは
「仁淀川」は四国の最高峰「石鎚(いしづち)山」を源流とする四国三大河川のひとつで、国土交通省発表の全国1級河川水質ランキングで、2019年まで6年連続で第1位に輝いている。
そのバックボーンは流域だ。「仁淀川」が平野部を流れているのはわずか3%で、大部分は人里離れた山間部を下ってくる。

出典:NHKスペシャル「仁淀川 青の神秘」
仁淀川の美しさを世に知らしめたのは、2012年に放送されたNHKスペシャル「仁淀川 青の神秘」だ。
以降それは「仁淀ブルー」と称され、マスコミと一部の観光客の間で静かなブームを呼んできた。
それにしても…
この写真の水の美しさと、卓越した撮影技術には度肝を抜かれた!
これはなんとしても現地に足を運び、この目で本物を見てみたいと思うわけだが、
「仁淀ブルー」は「仁淀川」のどこででも見られるわけではなく、広く公表されているビュースポットは3ヶ所しかない。
ということで、ここから先はその現地への行き方をガイドしよう。
きれいな画像や動画はどれほど優れていても、所詮は「人が撮ったもの」…
旅はそれを自力で瞳に映してこそ意味があり、当サイトの役目もそこにある。
谷間に潜む神秘の滝壺
にこ淵
車道から少し離れた、落差8メートルほどの滝の下にあるマニアックなビュースポットが「にこ淵」で、「仁淀ブルー」のランドマーク的な存在だ。
筆者が初めて訪ねた2015年当時は、急斜面をロープやハシゴを使って下りる必要があり、高齢者には行くことが困難と思える場所だった。
しかし、2020年6月に再訪した時には階段が設置されており、もはや秘境から観光地に変わっていた。
おかげでこんなに多くの人が来て、中には人の迷惑を顧みもせず、ひとりだけ前に出ていくバカもいる(笑)。
あんたがそこに行くと、みんなが滝が入った「にこ淵」の写真を撮ることができなくなるんだぜ。
ちなみに「仁淀ブルー」が見られるのは8月~1月頃までで、それ以外の時期は緑に近い色になるという。
筆者は1度目は12月、2度目は5月に訪れているのだが、その話は本当だった。写真が目的で行くのなら、秋から冬のほうがリアルな「仁淀ブルー」が撮れる。
「にこ淵」へのアクセス
かつては「にこ淵」の先にある「グリーンパークほどの(088-867-3705)」をナビの目的地にしていたが、今はもうGoogleナビで直接現地まで行ける。
駐車場は「にこ淵」へ通じる階段を挟んで、坂の上と下にある。
写真は「にこ淵」への降り口に近い上の駐車場だが、10台までは停められない。
未舗装のままだが、広いのは下の駐車場。確実なのは、欲張らずにまずここを確保することだ。
「にこ淵」への降り口。ここから「にこ淵」までは5分ほどだが、行きはひたすら下るので、帰りはけっこう息切れする。
なお駐車場にもトイレ、自販機はないのでご注意を。トイレは来る途中の「道の駅 633美(むささび)の里」で済ませておくといいだろう。
「にこ淵」の車中泊事情
「道の駅 633美の里」は、「にこ淵」まで約9キロ・10分ほど手前の国道194号沿いにあり、ここが車中泊にもお勧めだ。
また「グリーンパークほどの」には、電源設備はないが、2021年3月にリニューアルされた、1泊2750円から利用できるオートキャンプ場がある。
ただ「にこ淵」の見学には1時間もかからないので、スケジュールからすると、「道の駅 633美の里」で前泊し、朝から「にこ淵」を見たら、休まず「安居渓谷」に進むほうがスムーズだろう。
ふたつの名瀑を訪ねて歩く
安居渓谷
安居川の上流部に位置する「安居渓谷県立自然公園」は、広大な原始林に囲まれた静かな景勝地で、春は渓流釣り、秋は紅葉狩りに訪れる人たちで賑わう。
「にこ淵」からはクルマで約1時間、お世辞にもいいとはいえない県道362号沿いを「飛龍の滝」方面に向かって進む。
バスが通るのでキャンピングカーが通れないということはなさそうだが、苦労は避けられないと思う(笑)。
なお仁淀川町観光協会には、以下の記述があるので参考に。
国道439号から安居渓谷まで
平日:小型・マイクロバス(29人以下)まで
(長さ)7.0m未満
( 幅 )2.3m未満
(高さ)2.8m未満
休日:最大10人乗りまで
※観光客が多いため、帰りは迂回路利用のお願い
カーナビはバンガローと和室の宿泊施設「宝来荘」(088-934-3719)」を目的地に設定するといいが、ここでは「飛龍の滝」と「昇竜の滝」という2つの離れた名瀑を訪ねるので、クルマはそれぞれの近くにある駐車場に停めて歩く。
飛龍の滝
昭和32年に発見された「安居渓谷」のシンボリックな存在。
「乙女河原」でクルマを降り、短い沈下橋を渡って川沿いに整備された遊歩道を10分ほど歩いた先にある。
遊歩道は石畳で整備されているが、濡れていると滑りやすい。
昇竜の滝
「飛龍の滝」から続けて行くことはできないので、一度、「乙女河原」まで戻ってクルマで近くまで移動しよう。
ただし遊歩道入口付近には駐車場がないので、少し手前の「水晶淵・背龍」の滝の駐車場にクルマを停めて、そこから歩くほうがいい。
「うすぎ谷橋」という橋の横に、「昇竜の滝」の遊歩道入口がある。
熊野古道より雰囲気抜群の「遊歩道」を進み、「龍神公園」と書かれたサインを越えて5分ほどで到着する。入口からだと15分ほどになる。
ただ、特に「仁淀ブルー・三大ビュースポット」にこだわらないのなら、「安居渓谷」はパスしてもかまわないと思う。特に5.2メートルを超えるキャブコンは、ここでけっこう集中力を使うことになるだろう。
なお「安居渓谷」の近くに、お勧めできる車中泊スポットは見当たらない。
「仁淀ブルー・三大ビュースポット」の中では、ここは泊まりを外して考えたほうがいいだろう。
整備された遊歩道と車中泊環境
中津渓谷
最後は、もっとも気楽に「仁淀ブルー」が見られる場所を紹介しよう。
「安居渓谷」からクルマで約20分のところにある「中津渓谷」は、美しい川が堪能できるだけでなく、車道、駐車場、そして遊歩道が整備され、さらにキャンプ場と日帰り温泉までが揃う、車中泊の旅人にとっての別天地だ。
渓谷全体に約2.3キロの遊歩道が整備されており、変化に飛んだ景色とともに「仁淀ブルー」を間近に見ながら散策できる。
渓谷入口から最奥部にある「雨竜の滝」までは、起伏の多い遊歩道をゆっくり歩いて約20分。道中ではところどころで、七福神の石像が励ましてくれる。
そして「中津渓谷」のハイライトとも呼べる「雨竜の滝」に到着。
この滝は美しいが、展望所が近すぎて写真を撮りにくいのが「玉にキズ」。
それでもなんとかアングルを見つけ出し、それなりに切り撮った。iPhone12の広角モードが使える今なら、もっと簡単にいい写真が撮れる(笑)。
さて。
こちらが日帰り入浴のできる「中津渓谷・ゆの森(☎088-936-0680)」。
利用は11時~20時30分(受付最終19時30分)で、大人800円。ただし、桜・紅葉のシーズン、年末年始、ゴールデンウィーク、シルバーウィーク及び、夏季は大人900円になる。
なお、「ゆの森」の駐車場は高さ2.1メートルまで。
ハイルーフ車は、車高制限バーの手前にも多少は停められるようだが、中津渓谷の無料駐車場も利用できる。ただし駐車台数は少ない。
ゆえにトイレがあるからといって、こんなところで車中泊をするのは人迷惑。
遅くなってから来た背の高いクルマが困ってしまうし、気の荒い人ならトラブルにもなるだろう。
こういうのが、本当の「車中泊のマナー違反」だ。
最後に「ゆの森」から約4キロのところにある「仁淀川町夢の森公園キャンプ場」をご紹介。
以前は無料だったが、2020年から有料化されており料金は時期によって変動する。予約先は「しもなの郷(☎0889-36-0005)」。
なお、最寄りの道の駅は愛媛県の「みかわ」で、約30キロ・40分ほどかかる。