25年のキャリアを誇る、歴史好きの車中泊旅行家がまとめた、高知市の桂浜にある「高知県立坂本龍馬記念館」の見どころと駐車場&車中泊事情です。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊歴史旅行ガイド

この記事は、1999年から車中泊に関連する書籍を既に10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「車中泊旅行家・稲垣朝則」が、独自の取材に基づきまとめた、『一度は訪ねてみたい日本の歴史舞台』をクルマで旅するためのガイドです。

~ここから本編が始まります。~
「薩長同盟の裏書き」も「新政府綱領八策」も展示している、高知県立坂本龍馬記念館は、まさに”龍馬の殿堂”
高知県立坂本龍馬記念館 DATA
高知県立坂本龍馬記念館
〒781-0262
高知市浦戸城山830番地
☎088-841-0001
おとな500円(企画展開催時は700円)
9時~17時(受付最終16時30分)
無休
駐車場 普通車50台・無料
「高知県立坂本龍馬記念館」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2009.05.01
2010.07.09
2012.11.25
2015.12.28
2018.05.12
2020.06.20
2024.11.23
※「高知県立坂本龍馬記念館」での現地調査は2024年11月が最新です。
高知県立坂本龍馬記念館

「高知県立坂本龍馬記念館」の概要
「高知県立坂本龍馬記念館」は、幕末の志士「坂本龍馬」の人物像と生涯を紹介している博物館で、全国でもっとも多くの「坂本龍馬に」関する資料を展示している、まさに「龍馬の殿堂」だ。
1991年の「坂本龍馬」の誕生日である11月15日に開館し、2018 年には増床を含む大リニューアルを完了している。

出典:桂浜まるごとガイド
館内と展示物の話に入る前に、
「高知県立坂本龍馬記念館」は、「桂浜」の北側にある標高約60メートルの小高い「浦戸山」に建っている。
ここは安土桃山時代までの土佐の領主、「長宗我部元親(ちょうそかべもとちか)」が居城にしていた「浦戸城」のあった場所だ。
土佐には「関ヶ原の合戦」を境に、豊臣についた「長宗我部」氏から、徳川についた「山内」氏に領主が代わった経緯がある。
その話は長くなるのでここでは割愛するが、以降「土佐藩」では、幕末まで「山内」氏の家臣を中心とする「上士」と、主に「長宗我部」氏の家臣だった「下士」の身分差別制度が続き、「坂本龍馬」は「下士」の中でも「郷士」と呼ばれる身分の家に生まれ育っている。
成長した「龍馬」は、若くして江戸で武芸を学び、いったんは土佐に戻って来るが、相変わらず閉塞感に閉ざされた「土佐藩」を脱藩し、”日本の夜明け”を迎えるべく、上方へと飛び出していく。
筆者は「桂浜」を含むこの地は、高知の城下よりも、そんな「坂本龍馬」を語るに相応しい場所だと思っている。
その理由は、以下の記事で。
なお、
車中泊の情報はかなり下のほうにあるので、お急ぎの方は↓をクリックするとワープできる。
「高知県立坂本龍馬記念館」の見落としたくない展示物
現在の「高知県立坂本龍馬記念館」の入口は新館にある。
新館は「龍馬と“心通わす”」をテーマに、その生涯を映像で紹介するシアターのほか、「龍馬」の手紙や掛け軸などを常設展示するゾーンになっている。
「龍馬ファン」なら先を急ぎたいのはわかるが、ここでは「坂本龍馬」の生涯や生まれ育った土佐の風土を紹介している、いわば「プロローグ」にあたる映像を観ることから始めよう。
残念ではあるが、これを見れば筆者がこのサイトにツラツラと書いている内容を、わずか数分間で理解できる(笑)。
新館の見どころと楽しみ方
新館の2階が「龍馬の殿堂」。
ここに「高知県立坂本龍馬記念館」が誇るお宝が展示されており、龍馬ファンが見たい数々の「書簡」を見ることができる。
ただし、所蔵物には「レプリカ」も含まれる。まあ、全部がある意味「国宝級」のお宝だけに、それは致し方なしというところだろう。
その中から、ここでは有名な3つの「書簡」を取り上げたい。
まずは薩長同盟の裏書き。
正式には「尺牘 龍馬裏書(せきとく りょうまうらがき)」という。
1866年(慶応2年)1月21日、京都で「坂本龍馬」立会いのもとに薩長両藩の盟約が成立したが、慎重な長州の藩政「木戸孝允」は、盟約六ケ条を書き綴り、「龍馬」に確認のための裏書を求めた。
ただ「龍馬」はその直前に伏見の寺田屋で代官所の襲撃を受け、手を負傷していたため、2週間後の2月5日に朱で裏書をし、翌日お詫びと近況を伝える手紙を添えて長州の「木戸」のもとへ届けた。ちなみにオリジナルは「宮内庁」にある。
龍馬はそれから妻となった「お龍(おりょう)」を伴い、霧島温泉郷に湯治を兼ねた「日本で一番最初の新婚旅行」に出かけている。
その旅先から姉の乙女に送った有名な手紙も、ここで見ることができる。
「龍馬」は、霧島にある女人禁制の「高千穂峰」に「お龍」を連れて登り、あろうことか山頂に突き刺さる「天の逆鉾」を引っこ抜いたことを、得意のイラストで伝えているが、この手紙のレプリカは、霧島温泉のゆかりの地にも展示されている。
ちなみに本物は「京都国立博物館」が所蔵しており、国の重要文化財に指定されているのだが、神様を冒涜した悪戯の証拠が、「国の重要文化財」に指定されるなんて、「龍馬」をおいて他にはあるまい(笑)。
最後は「新政府綱領八策(しんせいふこうりょうはっさく)」
「坂本龍馬」が1867年(慶応3年)11月に示した、維新後新政府設立のための政治綱領。「龍馬」の自筆が2枚残っており、現在は「国立国会図書館」と「下関市立長府博物館」に保管されている。
よく似たものに「船中八策」があるが、ウィキペディアは「主として歴史小説に登場するが、原本は存在せず、今日では『新政府綱領八策』と『五箇条の御誓文』等を混ぜて作られたフィクションとされる」と、それを伝説扱いしている。
いっぽう「国立国会図書館」は、『土佐藩船の中で、藩政・後藤象二郎と相談し、時局救済の8箇条を作成、これをもとに起草されたもの』として「船中八策」の存在を暗に肯定している。
「船中八策」が伝説というのは、さすがに夢がなさすぎぜよ!。お役人のほうがウィットに富んでいる(笑)。
【新政府綱領八策の内容】
第一義では幅広い人材の登用、第二義では有材の人材選用、名ばかりの官役職廃止、第三義では国際条約の議定、第四義では憲法の制定、第五義では両院議会政治の導入、第六義では海軍・陸軍の組織、第七義では御親兵の組織、第八義では金銀物価の交換レートの変更 が述べられている。
なお「龍馬伝」では、○○○の伏せ字を大きく取り上げ、大政奉還前の人間関係を浮き彫りにする演出に利用していた。

出典:TBS
またドラマ「JIN」では、さらに第級九義として「保険」が付け加えられていたのだが、もちろんそれはフィクション。
しかし、うまいこと考えるものだと感心させられた(笑)。
とまあ、3つだけでもここまで書けてしまうので、残りはオフィシャルサイトの所蔵品リストでご覧いただきたい。
本館の見どころと楽しみ方
これはリニューアル前からある、「龍馬」が暗殺された時の「近江屋」の内部で、中にあがって記念写真を撮ることも可能だ。
こちらの「近江屋」の模型は、京都にある「霊山歴史館」でも見られる。
「霊山歴史館」ではさらに、「幕府見廻組」の「桂早之助」が「近江屋」で「坂本龍馬」を斬った刀も展示している。
筆者の本館のお勧めは、リニューアル後に設けられた「幕末写真館」だ。
ここには、約130人の「龍馬」と同時代に生きた幕末の人物の写真が並ぶだけでなく、「龍馬」との関わりが実に分かりやすく紹介されている。
「武市半平太(たけちはんぺいた)」に始まり、「勝海舟」「西郷隆盛」等々、「坂本龍馬」を取り巻く人々との相関関係が見えてくると、時代が立体的に捉えられるようになり、単なる「龍馬ファン」から「幕末好き」へと進化できる。
筆者は2009年から通算で7度、この記念館に足を運んできたが、2018年のリニューアルで付加された最大の魅力は、このコーナーだと思う。
「高知県立坂本龍馬記念館」の駐車場と車中泊事情
まず「高知県立坂本龍馬記念館」は、国民宿舎「桂浜荘」とともに「浦戸城跡」に建っているため、駐車場には24時間出入りできる。
「桂浜荘」は現在休業中で、2026年の再開業が予定されているが、写真は「桂浜荘」の駐車場で、「坂本龍馬記念館」の駐車場は敷地のもっと奥にある。
「坂本龍馬記念館」の駐車場は2ヶ所に分かれているが、こちらは新館の裏にある普通車専用の駐車場。
緩やかな傾斜地に2段で作られているが、いずれも路面はフラットに整備されていて、車中泊に支障はない。また駐車場のすぐそばにトイレもある。
こちらがトイレ。坂本龍馬記念館の団体客も利用するので、個室は数も多い。
しかし中は未だ和式のままだった…
駐車場の奥は展望所になっていて、土佐湾が一望できる。ただし、方向的に桂浜は見えない。
展望所には水場があり、灰皿も可燃物用のゴミ箱も置かれている。
大型車が停められる駐車場は、本館の裏にあるがトイレはない。
2024年11月に取材した時点では「車中泊禁止」の看板は見当たらなかったが、名目上は有料施設の駐車場になっているだけに、お勧めというわけではない。
ここからクルマで5分ほど走れば、大手を振って自炊も車中泊もできる、無料の公園がある。
また、2022年にトイレが改築された「桂浜公園」の駐車場でも車中泊は可能だ。
高知県立坂本龍馬記念館 アクセスマップ
車中泊で辿る、坂本龍馬ゆかりの地
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クルマ旅を愉しむための車中泊入門

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