25年のキャリアを誇る車中泊旅行家がまとめた、2023年5月にリニューアルオープンした「道の駅 すくも」の車中泊に関する情報です。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊スポットガイド
この記事は、1999年から車中泊に関連する書籍を既に10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「車中泊旅行家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊旅行における宿泊場所としての好適性」という観点から作成しています。
道の駅での車中泊に不安を感じる方は、こちらをご覧になってみてください。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
~ここから本編が始まります。~
2023年5月の全面リニューアルで、RVパークが増設された「道の駅 すくも」は、”ちょっと勘違いしている道の駅”に変貌していた。
道の駅 すくも DATA
道の駅 すくも
〒788-0053
高知県宿毛市田ノ浦1244番10号
☎0880-79-3321
8時30分~17時30分
「道の駅 すくも」の登録日
※これを知ることで、施設の古さやリニューアルの有無などがわかります。
登録回/第1回
登録日/1993年4月22日
2023年5月 全面リニューアルオープン
「道の駅 すくも」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2009.05.02
2010.07.08
2018.05.11
2024.11.23
※「道の駅 すくも」での現地調査は2024年11月が最新です。
道の駅 すくも

「道の駅 すくも」のロケーション
「道の駅 すくも」は、あらゆる交通機関を使っても、本州からもっとも遠い町とされる「土佐清水」から、さらに国道321号を西に進んだところある。
そう聞けば、どんな辺境かと思える「道の駅 すくも」だが(笑)、
車中泊クルマ旅における利点は、「宇和島」と「土佐清水」に加え、四万十川の下流にある「中村」にも通じている、交通の要衝に位置することだ。
筆者は「土佐清水」で、陸から見た海の景観がもっとも美しいのは「竜串海岸」で、

出典:KASHIWAJIMA DIVING SERVICE AQUAS
海の中が美しいのは「柏島」だと思っているが、両者へは四国最南端の「足摺半島」から、さらに海岸線を西に進まなければ行くことができない。
しかし実際に訪ねてみると、やはり宿毛は「辺境」と呼ぶに相応しく遠い(笑)。
ゆえに「道の駅 すくも」は、高知の旅はもちろん、四国一周を目論む旅人にとっても、欠かせない「旅の宿」だと思う。
またご存知の方も多いと思うが、「道の駅 すくも」は11月中旬から2月下旬にかけてみられる蜃気楼の一種、「ダルマ夕日」の名所でも有名だ。
ただし、黒潮から立ち昇る温かい水蒸気と、冷たい大気との境目に光が反射することで生じる神秘現象は、日没直前の3分間ほどしか見られない。
しかも生じるのは、ひと冬のあいだに20回程度。さらに「完璧なダルマ」になるのはそのうちの半分ほどしかないという。
だったらやっぱり、その季節は「道の駅 すくも」に泊まるしかない!(笑)。
「道の駅 すくも」の施設
これがリニューアル後の「道の駅 すくも」のレイアウト図だが、敷地の50%近くをキャンプサイトとRVパークが占め、どちらかと云えば有料施設と呼ぶほうがふさわしいような構成に変貌していた。
パーキングエリアの全体写真。
駐車場は総じてフラットで、収容台数は改修前の48台から60台に増えている。
ただ道の駅の建物のあちこちに、この注意書きが貼ってある。
特にキャンピングカーには”圧力的な表現”だが、まだこっちは許せる。
しかし、これはどうかな。
こういう表示をすれば、たちまちこんな記事がネットに出てくるのは当たり前だ。
プロの目から見ると、上の注意書きはコンサルティング業者が最初に用意したものだと察しがつく。
なぜなら、国土交通省の仰せ通りに「車中泊」というデリケートな表現を使わず、「圧力」をかける対象を「宿泊目的」の利用者にしている。
だが下は、そこが「車中泊」と入れ替わっている。おそらくオープン後に道の駅が独自に制作したものだろう。
これを見れば、車中泊の旅人が『RVパークを併設してるからって、それはないんじゃないの? ちょっとお高く留まって嫌な感じ。ふ~んだ。』と思うのは無理もないし、ビギナーが『えっ!車中泊は禁止ってこと?』と勘違いもする。
いっぽうこちらは、「道の駅 うわじま きさいや広場」にあった注意書きだ。
類似の内容だが、筆者がアンダーラインを施した文言があるだけで、大半の車中泊旅行者は納得し、腹を立てることもない。
なぜなら、世の中の大半の車中泊旅行者は、仮眠に該当するからだ。
そもそも道の駅にあるRVパークは、『車中泊のオプション』でしかない。

道の駅 猪苗代で撮影
「電源が使いたい」「キャンピングトレーラーを切り離して、ヘッド車だけで買い物や温泉に行きたい」など、確かにその需要はあると思うが、『ただ道の駅を長距離輸送トラックと同じように利用したいだけの旅人』が、「道路利用者の休憩施設」から、ここまで「圧力」をかけられる筋合いはないし、キャンピングカーだけをやり玉にすれば「差別」にもなりかねない。
時間の問題で注意書きは修正され、騒ぎは収まるのだろうが、ここらでどこかひとつが、国土交通省から大目玉を食らえばおもしろいと思っている(笑)。
ということで、
『ただ道の駅を長距離輸送トラックと同じように利用したいだけの旅人』が、ここでの車中泊を遠慮する必要はまったくないが、表示が気になる人のために、近くの道の駅も案内しておこう。
足摺岬方面に向かうなら
宇和島方面に向かうなら
さて。
こちらが「道の駅 すくも」の24時間トイレになる。
もちろん中にはウォシュレットが完備。
売店は小さく、以前とは比べ物にならないほど”つまらない”(笑)。
さらに飲食施設にいたっては、屋台とキッチンカーにお任せだ。
加えて観光パンフレットも休憩スペースも屋外に設置されており、ここは「道の駅」というより、サブタイトルの「サニーサイドパーク」をメインコンセプトに組み立てられている。
と云えば聞こえはいいが…
設備投資を極力抑え、リスクのあることは出入りの業者任せの、「腰掛け営業」とも云えなくはない(笑)。
それは現代流の賢いやり方のようだが、筆者には首を傾げたくなる点が多く、その中でもいちばん疑問を感じたのがフリーキャンプエリアだった。
「道の駅すくも」のフリーキャンプエリアは、海に向かって半島のように伸びた『見た目には一等地と思えるところ』に設けられている。
しかし、写真の手前から奥に向かって、ひたすら下りの傾斜がある。
まともにキャンプをしたことがある人は、傾斜地にテントを張ればどうなるかを一度や二度は経験していると思うので、まずここではやらないだろう。
その証拠に、11月下旬の土曜日なのにこのありさまだ。
さらにお馴染みの「SUKUMOのモニュメント」は、そのテントサイトの先端の「だるま夕日広場」にあり、日中でも記念撮影をする観光客が常にテントの近くにやってくるから落ち着かない。
誰の意向でこうなったのかはわからないが、とどのつまり「道の駅すくも」は、『見てくれ重視で利用者のことなど気にしない施設』に生まれ変わってしまった。
ただコンサルティング業者は、こうなることを予見していたようにも感じる。
ゆえに料金は土日でも2500円。写真で見ると格安に思えるので、一度は釣られて来るとしても、リピーターにはならない。
つまり長くは続かない… そう最初から考えているのだろう。
よって設備投資は最低限にして、「いつでもやめられる」というか「別のものに切り替えられる」よう作られている。
もちろんRVパークも同じ理屈。
確かにこの3つの区画は、オーシャンビューでRVパークにしては例外とも云える、車外でのサイドオーニングの展開と、調理・食事も認められているので悪くない。
しかし国道側にも2つの区画がある。
オンラインの予約ページを見たところ、サイト指定はできないようで、もしそっちに回されたら、貴方だって現地で文句ブーブーだよね!(笑)。
それにRVパークといっても、電源を除けば駐車場の白線を引き直しただけで、ほとんど投資らしいことはしていない。
つまりまた線さえ引き直せば、元の駐車場にも戻せるし、電源があるので全部キッチンカーのフードコートにいつでもできる。
だがRVパークは、今は”広告塔”としての利用価値が高い。
なんせマスコミは、『道の駅で車中泊をしてもOK』なんて、世間を敵に回しかねないことは、絶対に云いたくないからね。
そのくせに、車中泊には一応絡んでおきたいと思っている。
先細りが見えてきたキャンプブームの代替えになりそうなのと、震災が起こると必ず話題にのぼるので、ネタとしてはまだ捨てるにはもったいない…
そんな思惑がWinWinになっているのがココというわけで、何もかもが計算づくだ。
コンサルティング業者だって、ひとつ外せば次は危うい。いくらノー天気なクライアントから云われても、最後は逃げ口を作っておくのは当然のこと。
もちろん、ここまではすべて筆者の勝手な推測で、本当かどうかはわからない。
しかし、おもしろいくらい「つじつまが合う」のはなぜだろう(笑)。
最後に…
『なんか、嫌味っぽい評価だなぁ~』っとお思いの貴方に、他では見られない特別な情報を届けよう。
番外編
リニューアル前の「道の駅 すくも」
実は筆者は、全面リニューアルを受ける前の「道の駅 すくも」のレポートを保存しており、それを「番外編」として掲載することにした。
なぜなら…
これをご覧いただけば、なぜ昔の「道の駅 すくも」が、我々世代の車中泊旅行者に愛されていたのかが、少しは伝わると思う。
♪ボロは着てても、こっころは錦~♪
っと「水前寺清子」も歌っていたが、「道の駅」にとって大事なのは、今も昔も「設備」より「人」。
今なら『そこに愛はあるんか?』だが(笑)、お遍路さんの国らしい「お接待」の心が、かつての「道の駅 すくも」にはあった。
なにもかも昔のほうがいいとは思わないが、どんな時代でも公共施設には「ぬくもり」を忘れてほしくないね。
「道の駅 すくも」は、国道321号沿いに古くからある施設で、「道の駅 四万十大正」と同じく、1993年4月22日の「道の駅第1回登録日」に認定された、全国に103件ある、いわゆる「日本で一番古い道の駅のひとつ」だ。
左は2017年4月にオープンした産直市場「はちきんの里」。
海産物に加え、地元産の柑橘や野菜、さらに弁当なども販売している。
2階の観光案内センターはパンフレットが充実しており、機能を十分果たしている。
とはいえ、食事処やその他の土産物を売る店は、近頃の道の駅とはずいぶん様相が違う。どう表現してたらいいものか悩むが、「あるうちに」体験してみるのも悪くはないかも(笑)。
「道の駅 すくも」は、いずれ全面リニューアルされる日が来るだろう。
「今のうち」ついでに紹介すると、駐車場にはこういうレイアウトの場所が残されている。
また小さな岬すべてが敷地になっていて、駐車場の奥には広い芝生の公園が整備されている。なんとそこでは、今でも無料・予約不要で自由にBBQができるとか。
そうなると、ないのは可燃物のゴミ箱くらいで、自炊派の車中泊旅行者には好適すぎるくらいの道の駅かもしれない(笑)。
~リニューアル前の記録はここまで~
「道の駅 すくも」の車中泊好適度
「道の駅 すくも」のゴミに対する対応
可燃ゴミ:館外にあり24時間利用可。
缶・ビン・ペットボトル:自動販売機横に設置。
なお、車中泊の旅行中に発生するゴミは「家庭ゴミ」ではない。
しかるに「家庭ゴミの持込み禁止」は地域住民に向けた正しい勧告ではあるが、車中泊の旅行中に発生するゴミは該当しない。
こう説明すれば分かりやすいと思う。
近くのスーパーで買ってきた「弁当」は、道の駅についた時点では「ゴミ」ではなく「食品」だ。
それを道の駅に駐めたクルマの中で食べると、残った容器がゴミになる。
ということは、正確には「道の駅で発生したゴミ」であって、
道の駅のスタッフが、出勤前にコンビニで買ってきた弁当を昼食に食べた後、その容器を事務所のゴミ箱に捨てるのと同じ話で、誰が食べたかは関係ない。
すなわち、「事業ゴミ」として道の駅が処分するのが筋ということになる。
明日自宅に帰る車中泊の旅行者が、それを「持ち帰り」するのは自由だが、それは「マナー」と呼ぶものではなく、あくまでも「道の駅の負担を軽減してあげるための協力」であって、基本は堂々と捨てさせてもらってかまわない。
車中泊旅行中のゴミの処分については、以下にもっと詳しい記事を掲載しているので、時間があればぜひ。上に記した話が「自分勝手」かどうかは、法律に照らし合わせれば一目瞭然だ(笑)。
「道の駅 すくも」の最寄りの温泉&周辺買い物施設
宿毛リゾート椰子の湯
道の駅から約6キロ・10分
☎0880-65-8185
大人750円
6時~8時30分
13時~21時(受付最終20時30分)
コンビニ
約2キロのところにローソンとファミリーマートがある。
スーパーマーケット
「フジ宿毛店」までクルマで5分。
「道の駅 すくも」のアクセスマップ
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