車中泊旅行記「2015年夏・東北 太平洋沿岸の旅」/福島編 ~日本一周#6~

車中泊旅行記 福島

25年のキャリアを誇る車中泊旅行家が、2015年夏に出かけた「東北 太平洋沿岸の旅」の足跡を旅行記にまとめています。

なおこの記事は、2025年5月に一部情報をアップデートしてお届けしています

「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊旅行記



この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、これまでの中で特に印象に残った旅の足跡をまとめた旅行記です。

たびの空から~エッセイ&忘備録~
クルマ旅専門家・稲垣朝則が、車中泊の取材旅で書き残した忘備録と、旅でのエピソードを綴ったエッセイを収録しています。


~ここから本編が始まります。~

帰還困難区域は、まさにゴーストタウン

出典:日本経済新聞

忘れもしない、2011年3月11日。
筆者は東北の桜前線を取材すべく、会津の鶴ヶ城から秋田県の角館を経て、青森県の弘前公園に至るルートの下調べをし、何軒か宿の手配も完了していた。

その矢先にドカン!と来たのが、東日本大震災だ。

まるで映画のように津波が堤防を越えて田園地帯をどんどん進み、家やクルマがオモチャの様に流されるシーンを見たのは、丹後半島を取材している最中のことだった…

あれから4年。 実は2012年から宮城と岩手の被災地には、毎年のように足を運んできた。

3.11被災地復興

しかし原発の被災地を訪ねたのは今回が初めてだ。

同じ被災地でも放射能と津波では全く景色が異なる。津波の被災地では、進み方に違いはあれども、何らかの復興の息吹は感じられる。

福島・帰宅困難区域

だが帰還困難区域は、もはやゴーストタウンに近い。

しかも入場規制されている区間だけでなく、その前後2キロほどにある店舗も、ほとんどが閉店に追いやられている状態だ。

おそらく廃炉が完了を迎えるまで、この町に活気が戻ることはあるまい。

それでもこの国は原発再稼働に向けて動き出している。道の駅で一緒になった川崎に住むおじさんが面白いことを言っていた。

そんなに原発が安全なら、なぜ東京湾に作らないのか… 

また、いわきから来たご年配もこんな話を聞かせてくれた。

女川

津波で本当に原発が危険だったのは、東北電力が運営していた女川原発の方だったが、そちらは無事で東京電力の福島原発だけがやられた。

報道されている以上に、東京電力に対する地元の不信感が根強いことを思い知らされた出会いだった。

筆者は時事的な情報や意見をマス・メディアを通じて大衆に伝達するジャーナリストではないので、話はここまでにとどめるが、これだけは云えると思う。

地震多発地帯にある日本では、原発は明らかにそぐわない電力供給手法だ。

これに異を唱える人はいまい。だがコストや既存に囚われている限り、その呪縛からは解放されない。

いっぽう、医学の世界に目を向けると、人のクローンは物理的に可能であっても、未だ倫理上の「一線」を超えてはいない。

実は世の中には、同じような事例が幾つも存在している。

原子力も同じ類ではあるまいか。

ここまで来たら、雌雄を決するのは「損か得か」ではなく、「良いか悪いか」の基軸だろう。

福島県のいわき~相馬間の道の駅の営業状況

震災の復興は日進月歩で進んでいるが、被災した道の駅が果たしてどうなっているかをネット上で知るのは思っているより難しかった。

そこで2015年7月現在の、太平洋湾岸にある福島県の道の駅の営業状況を簡単にレポートしたい。

道の駅 よつくら港(福島県 いわき市)

道の駅 よつくら港

2010年7月にオープンしたが、東日本大震災で被災し、営業休止に追い込まれる。

しかし4月には被災した建物の一部を利用して、直売所を土・日曜日に限り再開した。2012年8月には建物を一新した交流館がリニューアルオープンし、現在は完全なかたちで稼働している。

野外トイレのある駐車場は、駅舎と道路を挟んだ隣にある。

筆者は今回ここでも車中泊をしたが、大型トラックが多く、平日の夜間はちょっと騒々しいようだ。またあると聞いていたゴミ箱は、野外には見当たらなかった。

道の駅 ならは(福島県 双葉郡楢葉町)

道の駅 ならは

東日本大震災に伴い休館状態となったが、2014年1月23日からはトイレと駐車場の使用が可能となった。

しかし現在も物販は行われておらず、物産館は双葉警察署の臨時庁舎として使用されているまま。

車中泊はできなくないが、駐車場には傾斜が多く、快適とはいえないだろう。

道の駅 南相馬(福島県 南相馬市)

道の駅 南相馬

施設は被災を免れ、正常営業できている。

地図で見ると帰還困難地域に近いのだが、ここまで来るともう被災地のイメージはまったくない。

コインランドリーと入浴施設まで歩いて行ける好立地で、筆者は今回ここで洗濯し車中泊もした。

場内には燃えるゴミのゴミ箱も置かれ、「道の駅 よつくら港」よりも車中泊環境は整っている。ただし、周辺に観光スポットはほとんどないため、仙台に向かう宿場的な利用方法になるだろう。

道の駅 そうま(福島県 福島県 相馬市)

道の駅 そうま

南相馬よりもさらに仙台寄りに位置する道の駅で、途中で出会った旅人からは休止中と聞いていたのだが、実際には正常営業していた。

南相馬と同じくゴミ箱も置かれており、休憩室には畳の間もある。

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