25年のキャリアを誇る車中泊旅行家がまとめた、「道の駅 南相馬」の車中泊に関する情報です。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊スポットガイド
この記事は、1999年から車中泊に関連する書籍を既に10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「車中泊旅行家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊旅行における宿泊場所としての好適性」という観点から作成しています。

~ここから本編が始まります。~
すぐ近くに温浴施設とコンビニ・コインランドリーが揃う「道の駅 南相馬」は、東北各地を車中泊でめぐる旅人の、浜通りにおけるベスト車中泊スポット。

道の駅 南相馬 DATA
道の駅 南相馬
〒975-0033
福島県南相馬市原町区高見町2丁目30-1
☎0244-26-5100
9時〜18時
食事処
11時~15時30分(LO/15時)
「道の駅 南相馬」の登録日
※これを知ることで、施設の古さやリニューアルの有無などがわかります。
登録回/第24回
登録日/2007年8月10日
「道の駅 南相馬」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2015.07.09
2016.09.08
2025.05.29
※「道の駅 南相馬」での現地調査は、2025年5月が最新です。
道の駅 南相馬【目次】

「道の駅 南相馬」のロケーション

福島県の太平洋岸北部に位置する「道の駅 南相馬」は、浜通り最大の街「いわき市」と、宮城県「仙台市」のほぼ中間に位置している。

南から来ると、「いわき市」の人気観光スポット「小名浜」から約90キロ・クルマで2時間ほど。

いっぽう北からは、「仙台市」のランドマーク「青葉城跡」から同じく約90キロ。
ただこちらは高速道路の「常磐自動車道」を走れば、1時間30分ほどで到着できる。

またマップでは分からないが、内陸に切り込めば山形県の「米沢城」まで約106キロ・2時間ほどで移動できる。
このように遠方から訪れ、東北地方を数日かけてめぐる車中泊旅行者の目線で捉えると、「道の駅 南相馬」の隠れた優位性が浮かび上がる。
上に挙げた3つの街のどこかを午後3時くらいまで観光した後、翌日に備えて移動し、疲れを癒やしたり、洗濯などの旅支度を整え直すのに、この道の駅は好都合だ。

ちなみに「道の駅 南相馬」は、幸運にも東日本大震災時の津波被害を免れている。
筆者を含めて、土地勘のない遠方に住む旅人は、福島の「浜通り」と聞くと、全域が『地震・津波・放射能汚染』のトリプル被災に遭った場所のように思いがちだ。

もちろん南相馬の町も無傷ではなかったようだが、マップに赤で示されている「帰宅困難地域」からは外れており、2015年に筆者が訪ねた際にも、「道の駅 南相馬」はほぼ通常通り営業していた。
確かに、地元から発信される詳細な情報が役に立つことは多い。
しかし経験から云うと、旅人はこういった住民が思いもしない『灯台下暗し的な情報』を、実は同時に必要としている。
「道の駅 南相馬」の施設

出典:道の駅 南相馬
「道の駅 南相馬」のレイアウトはシンプルだが、実に使いやすく合理的だ。
まず嬉しいのは、駐車場を大型車用と普通車用に明確に分け、離れた場所に用意してあること。

もちろん車中泊を意識してのことではなく、安全上の観点からこうしてあるのだろうが、おかげで我々は、労せず深夜の騒音から免れることができる。
もちろん平野部にあるので、路面はフラットで車中泊に支障はない。
しかも24時間トイレの位置が絶妙で、どちらからでも利用しやすいところにある。

もちろん中にはウォシュレットを完備。
これはぜひ、他の道の駅でも取り入れていただきたいと思うレイアウトだ。

続いて筆者がいいと思うのは「イベントプラザ」と名付けられた、この広い屋根があるスペースだ。

普通車の車中泊で厄介なのは雨天。
だが、「道の駅」にこれだけ広い屋根付きのスペースがあれば、朝食を食べたりするのはもちろん、気兼ねなく車外で足を伸ばして寛ぐことができる。
災害時によく車中泊絡みで話題になる「エコノミークラス症候群」は、狭い車内で膝を曲げたままの状態が長く続くと、発症しやすいと云われている。

しかもここは隣が道路情報案内室になっているので、真夏や真冬は冷暖房が効いたそちらで過ごせばいい。
ただ一等地とも呼べる場所だけに、今なら直売所などの物販スペースにされてしまう可能性は高いだろう。
つまりこれは「道の駅 南相馬」の設計者が、『道の駅の一丁目一番地の役割は、道路利用者のための休憩施設である』という、道の駅創設当時からの理念を、しっかり理解していた証だ。
建築物のレイアウトは設計段階で決まってしまうため、開業後に運営を委ねられた責任者に、たとえその想いがあったとしても、どうすることもできない。
つまり使える道の駅になるかどうかは、設計にかかっていると云えるわけだ。
我々のような車中泊の旅人が、無料で利用できる道の駅に望むのは、押し付けがましい専用施設ではなく、このように汎用性が高くて車中泊で利用しても、それなりに役立てられる程度の設備にほかならない。
そしてそれでは物足りないという人のために、『電源やサイドオーニングが使える等の有料オプションを備えたRVパーク』があるというのが、あるべき姿だと思うが、どうだろう。
このことは、2015年に初めて来た時に感じていたが、それから10年後の2025年には、運営面でも驚かされた。

「道の駅 南相馬」では、この貴重な「道の駅 旅案内」の無料冊子を、「ドサッと並べて、なくなったらそれでおしまい」というのではなく、意図的にコントロールして配布していた。

広範囲に分布している道の駅を、ひと目で確認できるA3サイズの「道の駅 旅案内」は、今では本当に希少な紙の地図で、毎年春に全国の道の駅で配布されるのだが、どういうわけか、とにかく出てすぐに道の駅に行かないと手に入らない。

A3サイズとスマホの表面積を考えれば比較にならないのは当然で、こういうスマホのデーターは、机上では使えても実際の旅の現場では役にたたない。
紙なら信号待ちの合間に見られるものが、デジタルデーターになれば、いちいちコンビニかどこかの駐車場に停めて見る必要があることを考えれば、筆者なら100円でも購入したいスグレモノだ。
ゆえに、これをメルカリで売る奴がいる!

実際に筆者は2024年の秋に、東北の日本海側を今回と同じように10年ぶりにまわるため、前年版を購入している(笑)。
10年も経てば、新しい道の駅がずいぶん増えるが、それを見落とさずにまわるには、この冊子がいちばん役に立つからだ。
今回は福島・宮城・岩手の3県にある約30件の道の駅をまわったが、5月末時点で「道の駅 旅案内」が残っていたのはわずかに3件。しかも2件はほとんど人が来ないような寂れた道の駅だった。
ということは…
利用客が絶えない「道の駅 南相馬」では、「道の駅 旅案内」の在庫をよく管理して、小出しに置いているということだろう。
そうすることによって、前述したような悪意のある者の手に渡る機会を減らし、意図的に長い期間配布をすることで、本当に必要としている人が手にできるチャンスを高めている。
もっともこれは、自社の販促経費で制作する民間企業なら当然の話だが、お役所体質丸出しの道の駅が目立つ中で、そういうしっかりした管理がなされていることに驚き、そして感動した。
道の駅の良し悪しは、ロケーションと設計に加えて、運営の3つの要素で決まるが、「道の駅 南相馬」はそれが高いレベルで揃っている。
ちなみに、東北でほかにそれがキープできている道の駅としては、岩手県の雫石にある「道の駅あねっこ」が挙げられる。

さて。
次は物販飲食ブースについてだが、直売所と食堂が入った棟は、道路情報案内室から直角に近い方向に建てられている。
先ほどの道の駅の目的を考えれば、何が主で何が従かは明白で、これが正しいポジショニングだと筆者も思う。

こちらが最初に現れる「物産販売所のまおい市場」。
野菜やパンなどのすぐに食べられる商品もあるにはあるが、土産物や雑貨といった販売期間の長い商材が多く、今どきの道の駅を見慣れた人には、少し物足りなく感じるかもしれない。
だが食品ロスを考えれば、コンビニやスーパーのような、高度な食品管理ノウハウが導入できない道の駅では、これが妥当と云える商品構成だ。

ちなみに店名に使われている「のまおい市場」の「のまおい=野馬追」は、この地方で3日間に渡って行われる伝統行事で、国の重要無形民俗文化財に指定されている。
「相馬 野馬追」の詳細については、「道の駅そうま」の記事に記載しているので、時間があればあわせてどうぞ。
ちなみに「相馬 野馬追」は、1979年に公開された千葉真一主演の映画「戦国自衛隊」の劇中で使用され、南相馬市では市内の高校生がエキストラとして協力したとのこと。
その「戦国自衛隊」は、今見てもおもしろいと思える映画だ。
そして最後は「食事処さくら亭」。

マップにはレストランと書かれているが、「食事処」のほうがしっくり来る。

こちらがメニューで、物販と同じく小洒落たものはなく、麺類が大半を占めており、丼や定食もリーズナブルに食べられる。
詳細は以下のサイトで確認を。
いずれにしても、ここは気取ったところがなく、安心して使える道の駅だ。
筆者が「道の駅ミシュラン」なら、間違いなく★★をつけている(大笑)。
「道の駅 南相馬」の車中泊好適度チェック!
「道の駅 南相馬」のゴミに対する対応
可燃ゴミ:営業時間中にのみ利用可。
缶・ビン・ペットボトル:同上。

この3つのゴミ箱は、営業時間中はドアの外に置かれているが、閉館と同時に店内に収納されるため、夜間は利用できない。
ここを24時間利用可に改善してくれれば、まさに満点の★★★だね。

近くのスーパーで買ってきた「弁当」は、道の駅についた時点では「ゴミ」ではなく「食品」だ。 しかしそれを道の駅で食べると、残った容器はゴミになる。
ということは、正確には「道の駅で発生したゴミ」であって、 道の駅のスタッフが、出勤前にコンビニで買ってきた弁当を昼食に食べた後、その容器を事務所のゴミ箱に捨てるのと同じ話で、誰が食べたかは関係ない。 すなわち、「事業ゴミ」として道の駅が処分するのが筋ということになる。
明日自宅に帰る車中泊の旅行者が、それを「持ち帰り」するのは自由だが、それは「マナー」と呼ぶものではなく、あくまでも「道の駅の負担を軽減してあげるための協力」であって、基本は堂々と捨てさせてもらってかまわない。
車中泊旅行中のゴミの処分については、以下にもっと詳しい記事を掲載しているので、時間があればぜひ。上に記した話が「自分勝手」かどうかは、法律に照らし合わせれば一目瞭然だ(笑)。

「道の駅 南相馬」の温泉&周辺の買い物施設

トゴールの湯(ビジネスホテル高見)
道の駅から約400メートル。徒歩圏内
☎ 0244-24-5668
大人平日600円
10時~23時
不定休

コンビニ
セブンイレブンまで約750メートル。
すぐ近くにコインランドリーもある。
スーパーマーケット
「ヨークベニマル 原町店」まで約1.6キロ
「道の駅 南相馬」のアクセスマップ
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