25年のキャリアを誇る車中泊旅行家がまとめた、クルマで宮城県の名勝・松島をめぐりたい人に向けた観光と駐車場及び車中泊に関する情報です。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊旅行ガイド
この記事は、1999年から車中泊に関連する書籍を既に10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「車中泊旅行家・稲垣朝則」が、独自の取材に基づき、全国各地の「クルマ旅にお勧めしたい観光地」を、「車中泊旅行者目線」からご紹介しています。

~ここから本編が始まります。~
公共交通機関とツアーで訪れる客を想定した、松島のありふれた観光情報に操られるのは、もう終わりにしないか?

松島の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2009.07.20
2012.04.28
2015.07.11
2016.09.09
2020.07.16
2025.06.03
※松島での現地調査は、2025年6月が最新です。
宮城県・松島の観光&車中泊事情

「絶景」とされる松島湾の多島美は、行くのにクルマが必要な高台からしか望めない。
これが本当の松島の基本。

ご承知のように「松島」は、広島県の安芸にある「宮島」、京都府の丹後半島・宮津にある「天橋立」とともに、「日本三景」に挙げられている名勝だ。

確かに、平安時代に「平清盛」が寄進した、満潮時に海に浮かんで見える「厳島神社」を擁する「宮島」は、他に類を見ない「日本三景」と呼ぶにふさわしい景観を有しているし、なにより現在は世界遺産にも登録されている。

またダイナミックに海を切り裂くが如くに見える、白浜青松の「天橋立」も、同じく他に類を見ない「日本三景」らしい景観だと筆者も思う。
しかし「松島」はどうだろう。

中心地にあたる「海岸広場」の周辺から観た松島湾は、日本の各地に類似の光景を持つ場所が少なくなく、交通機関が高度に発達した時代に暮らす現代人が、いまさら感嘆するほどのものとは思えない…
そもそも「日本三景」とは、誰がいつ云い出したものなのか?

出典:京都大学
「日本三景」は、江戸時代初期の儒学者「林春斎」が、その著書「日本国事跡考」の中で、「三処奇観」として「松島」「天橋立」「宮島」の3つの景勝地を挙げたことが始まりとされている。
交通手段と云えば、徒歩以外に馬と籠と舟くらいしかなかった時代の、狭い行動範囲で選ばれたこの「日本三景」が、はたして21世紀の現代にも当てはまるのか?
全国各地をくまなく歩き、日本地図を作り上げた「伊能忠敬」が云うのならまだしもだが(笑)、そう疑問に思うのは筆者だけではあるまい。
問題は、にもかかわらず、そういうことに疑問を持つふうでもない人たちが、『観光客に「松島」を、てっとり早くいいところと思わせるべく』この言葉を乱用していることにある。

それを見て、『なんか知らんけど、昔からそう云われているんやから、やっぱり松島はいいとこなんちゃうん?』と、あっさり釣られてしまう旅人は、まさに迷いなくサビキに食いつくこのアジと同じだ(笑)。

信憑性のない「日本三景」という言葉に頼らなくても、「松島」には観光客の期待に答えられるだけのモノはある。
ただ、それを知るには少し努力が必要だ。

ひとつは松島の歴史を知ること。
なぜ「伊達政宗」が「瑞巌寺」を菩提寺にするほど、この地に惚れ込んだのかを知れば、そこから「松島」に秘められた真の魅力に辿り着けるのだが、歴史に興味のない人にとって、普通はかなり面倒臭い話だと思う(笑)。
もうひとつは、自ら「これは確かに素晴らしい!」と思える場所に足を運ぶこと。
ただ、それにはクルマがないと難しい…
加えて松島を訪れる大半の人は、公共交通機関かバスツアーでやってくるため、そういう情報を出しているのは個人が多く、なかなかGoogleでは見つからない。
商業ベースで考えれば、店もないところに案内しても誰も儲からないからね。
しかしこの2つをブレイクスルーしない限り、「松島」に行っても大事なところを見ずに終わる結果になりかねない。
というわけで、筆者なりの「松島・車中泊旅行ガイド」を紹介したい。
松島は「伊達政宗」なしでは語れない。

これは頑張って簡略化しても長い話になるので、別立ての記事にしているが、結論から云ってしまうと、「伊達政宗」は「松島」の救世主だ。
それって、どういうこと?
実は平安時代に輝いていた「松島」は、鎌倉時代から廃れ始め、江戸時代になって「伊達政宗」が仙台の新しい領主になるまで、忘れ去られたような存在だった。
「絶景」とされる松島湾の多島美は、行くのにクルマが必要な高台からしか望めない。

「松島」を訪れる大半の人が見ているこの景色が、「松島」の観光パンフレットやポスターのものとは違うことに、お気づきの人は多いと思う。
なのにプロが「松島の顔」に選ぶ絶景が、どこで見られるかを紹介していないサイトの多いこと!
なんでやねん! なのである(笑)。
松島で食べたら?と思うもの

「松島」で”うまいもの”を食ってきた。
と云う”松島のうまいもの”とは何だろう。
てっとり早くて、分かりやすくて、それなりに美味しくて、当時の雑誌でも紹介したのが、まさに「松島」地産の「牡蠣のあなごの合盛りめし(当時1800円)」だった。
写真は2015年7月に「松島」を訪ねた際に、「お魚プロジェクト」という「松島公園第1駐車場」のすぐ前にある「食べログ」常連店で食べたのだが、自分でも「アタリ!」の部類に入るグルメだと思っていたので、10年ぶりとなる2025年6月にリピートしたのだが、この時にはもうメニュー落ちしていた。
さすがに値段は上がっていても、『牡蠣とアナゴは不滅です。』と思っていたのだが、おばちゃんに聞くと『今年は牡蠣が獲れないのよ』という元気のない返事が返ってきた。
どうやら2024年あたりから「松島」では、ホヤの一種・シロボヤの大量発生で、養殖カキが記録的な不漁になっているようだ。
ただネットで調べてみると、「お魚プロジェクト」の店は健在だが、2019年頃まで「牡蠣のあなごの合盛りめし」の投稿があるものの、以降のものは見当たらない。
さらに調べて見ると2022年頃から、温暖化の影響で牡蠣の水揚げが減っているとの新聞記事が見つかった。
これは福島県の「小名浜」でも感じたことだが、海鮮が売りの観光地では、今はもうかつての情報は当てにはならない。
少しでもまだ人が知らない店や、最近評判の店を探して、SNSでたくさん「いいね」が欲しい人は別として(笑)、普通の観光客がそこに大きな期待をしていくのは、もはやリスキーな時代になったと思う。
ただ「松島」は捨てたもんじゃなかった。

もし目線を「松島」から「宮城」に広げられるのであれば、年間300万人もの観光客が来てくれる「松島」には、当然県を代表するグルメの専門店があっても不思議ではない。
牛タンの「利久」はその代表格と云えるだろう。

ちなみに2025年6月時点の利久の牛タン定食は、3枚6切 2,959円、4枚8切 3,597円、5枚10切 4,235円(税込み)。

筆者が2015年に暖簾をくぐったのは「松島海岸駅前店」だったが、2020年8月に五大堂の前に写真の大きな新店舗がオープンしている。びっくりしたなぁ、もう(笑)。

もう1件紹介したいのが、「瑞巌寺」の近くの「寺町小路」にある「阿部蒲鉾店」だ。「寺町小路」には無料の駐車場があるので、クルマでも立ち寄りやすい。

「阿部蒲鉾店」では、宮城の名産「笹かまぼこ」を、セルフで炙ってデザート代わりにいただける。

冷静に考えれば、1本300円と安くない「笹かまぼこ」だが、余興としては悪くない。

2025年には隣の「菓匠三全」で、食べやすいカップ入の「ずんだ餅」も食べられたが、2025年にはもう「寺町小路店」での取り扱いが終わっていた。
まあ、かように10年も経つと、特にグルメ情報は大きく変わる。
なので、今日明日なら当てになるが、もう来年はどうだか保証はできない。
ということで、『そう美味しもん、美味しいもん』と言いなさんな(笑)。
松島の車中泊事情とお勧め車中泊スポット

意外かもしれないが、年間300万人とも云われる観光客が訪れる「松島」は、車中泊環境が揃っていて、町の中に道の駅こそないものの、無料・有料の車中泊スポットが揃っている。
とりわけ、写真の「町営三十刈駐車場」の情報は、SNS上にある様々な車中泊サークルのメンバーの中では、もうすっかり有名になっているに違いない(笑)。
ただ、その記事にも書いているように
もっとも大事なことは、『1日あれば観光できしてしまう「松島」で、本当に車中泊をする価値があるのか』を考えること。
それを踏まえた詳細ガイドがこちらで、これを参考に、自らの目的に応じたベストチョイスをしていただければ幸いだ。
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