25年のキャリアを誇る車中泊旅行家がまとめた、鳥取県の「倉吉」から近い「三朝温泉」の魅力と車中泊に関する情報です。
「クルマ旅のプロ」がお届けする、車中泊で訪ねた名湯レポート
この記事は、1999年から車中泊に関連する書籍を既に10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「車中泊旅行家・稲垣朝則」が、独自の取材に基づき、全国の温泉地の車中泊事情や温泉情緒、観光、グルメにいたる魅力を再評価し、「車中泊旅行者の目線」から紹介しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。

~ここから本編が始まります。~
世界有数のラドン含有量を誇る「三朝温泉」は、湯治場風情が残るコンパクトな温泉療養地で、モデルルートの散策がお勧め。

「三朝温泉」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2013.09.15
2014.09.14
2018.12.01
2022.05.03
2026.04.18
※「三朝温泉」での現地調査は2026年4月が最新です。
三朝温泉の概要と車中泊事情
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三朝温泉のロケーション

戦国時代には城下町、そして江戸時代以降は商都として栄えた「倉吉」の町から、約10キロ・クルマで10分ほどのところにある「三朝温泉」は、鳥取県中央部の山間を流れる、三徳川沿いに湧く静かな温泉地だ。

近くには、「はわい温泉・東郷湖温泉」もあるため、クルマ旅の観点からすれば、隣接する2つの温泉地と合わせて「倉吉温泉郷」のように考えるとわかりやすい。
ただ「三朝温泉」は平安時代末、「はわい温泉・東郷湖温泉」は幕末から明治の初頭に開湯したとされており、両者の歴史には大きな隔たりがある。
その意味からすると、関連性が深いのは「倉吉」と「三朝温泉」の2つで、観光では両者を抱き合わせるのがお勧めだ。

「倉吉」には、「倉敷」の美観地区や「飛騨」の高山と同じく、白壁土蔵が眩しい重要伝統的建造物群保存地区が「打吹玉川(うつぶきたまがわ)」に残されている。
筆者はこれまで日本各地の「古い町並み」をずいぶん歩いてきたが、その町並みの美しさにおいて、「倉吉」は間違いなくトップクラスにランクされる。
ただし町は小さく、ゆっくり見て回ったとしても3時間ほどで終えるだろう。

いっぽう東郷湖周辺には、中国庭園と雑技団のアクロバティックなショーが楽しめる「道の駅 燕趙園」と、のどかな湖畔に芝生が広がる、無料の「めぐみのゆ公園」があり、車中泊環境としては「三朝温泉」よりも格段に優れている。
ただ「はわい温泉・東郷湖温泉」に温泉街はなく、見どころはそこくらいだ。
ゆえに1日で、「倉吉」「三朝温泉」さらに、後述する国宝の「三徳山投入堂」を訪ね、最後に東郷湖周辺に移動するのは難しいことではない。
三朝温泉の歴史と概要

「三朝温泉」の開湯は、平安時代末期の1164年に、「源頼朝」の父「義朝」の家臣「大久保左馬之祐(おおくぼさまのすけ)」が、源氏の復興を祈願するため三徳山へ向かっていた道中で、年老いた白い狼と出会い、射るのをやめて見逃してやったことから始まるとされている。
その夜、「左馬之祐」の夢に「妙見大菩薩」が現れ、狼を助けたお礼として温泉の場所のお告げがあり、 翌朝、お告げの通りにクスノキの古い切り株からお湯が湧き出しているのを見つけたという。

これが「三朝温泉」の始まりとされている「株湯(かぶゆ)」で、今も温泉街の外れで、現役の公衆浴場として訪れる人々を癒し続けている。

いっぽう、
「三朝温泉」の語源となった『三たび朝を迎えると元気になる』という伝説は、世界有数の「ラドン」含有量を誇る、その”特別なお湯”から生まれた。

「ラドン」とは、ノーベル賞を受賞した「キューリー夫人」によって発見された「ラジウム」が、分解された時に生じる弱い放射線のこと。
吸引したり体に浴びると新陳代謝が活発になり、免疫力や自然治癒力が高まることがわかっている(放射線ホルミシス効果)。
その「ラドン」を含むお湯が湧き出す「三朝温泉」の周辺には、温泉療法を実施する病院や研究施設が揃い、そのメッカとしての顔もある。

また温泉本通りには、湯治に訪れる長期滞在者向けの旅館や自炊宿も見られ、「三朝温泉」は今も観光と療養の両面性を保ち続けている。
三朝温泉は、「日本遺産」最初の認定地

出典:三朝館
ちなみに「三朝温泉」は、2015年度にスタートした「日本遺産 魅力発信事業」において、全国で最初の認定を受けている。
「日本遺産」は、国内外でも特に海外からの観光客を誘致促進するため、文化財をツールにしたストーリーでつながるエリアやポイントを認定する制度で、要は文化財を積極的に活用して、地域の振興を図ろうという試みだ。
ゆえに文化遺産そのものの価値ではなく、文化財を通じて地域の歴史的魅力や特色を伝えるストーリー性が重視されている。
三朝温泉に描かれたストーリーは、「六根清浄と六感治癒の地~日本一危ない国宝鑑賞と世界屈指のラドン泉~」。
祈願が絡むため、ここでは国宝の「三徳山・投入堂」も大きく寄与している。

それにしても…
日本一危ない国宝は本当だった(笑)。
車中泊で行く三朝温泉「居心地度」チェック!

続いて筆者の「三朝温泉」に対する総合評価をご紹介。

そして「居心地」を踏まえた、「三朝温泉 車中泊旅」のワンポイント・アドバイスがこちらになる。
●観光客としての居心地は悪くないが、小さな温泉地なので、滞在は長くても3時間までが妥当。「倉吉」と抱き合わせて観光するのがお勧めだ。
●散策にはモデルルートがあるので、それを辿るのが分かりやすくて漏れがない。
●現在入湯できる共同浴場は、無料の混浴露天風呂の「川原風呂」と、男女別になっている有料の「株湯」の2件。
●車中泊は可能だが、好適地と呼べるところは見当たらないので、近くに移動して泊まるほうがいい。
三朝温泉の見どころ&モデル散策コース

出典:三朝温泉
「三朝温泉」には、いいモデル散策コースがあるのでそれに沿って、見どころを紹介していこう。
①駐車場

このモデルコースの場合、普通車は三徳川沿いに建つ「プランナールみさき」という大きなホテルの隣にある、無料の「観光駐車場」を利用するのがベストチョイスだ。
ここにクルマを停められれば、上のマップの赤いラインを”反時計周り”に進むだけで、ロスなく「三朝温泉」の見どころを周ることができる。
ただしキャパが14台しかないため、休日は朝から満車になる可能性は高い。

満車の場合は、「三朝橋」の袂にある「観光案内所 三朝温泉ほっとプラ座」の前にも、5.6台分の無料駐車場があるが、ここもすでに埋まっている可能性は高い。

この2ヶ所が満車の際は、「三朝神社」の隣にある有料の「三朝温泉多目的駐車場」に停めるしかないが、ここは普通車54台が停められるので、よほどのことがなければ大丈夫だろう。
また観光バスも利用するので、広い道からアクセスでき、キャブコンなどの大型キャンピングカーも余裕で停められる。
三朝温泉多目的駐車場
1時間無料 以降30分毎100円(大型車200円) 最大24時間1,000円
なお、いずれの駐車場にもトイレはなく、車中泊には使いづらい。
それからここに停めた場合は、どこにも立ち寄らずにまずは「観光案内所 三朝温泉ほっとプラ座」に直行して、モデルコースを辿ろう。
多少の無駄足にはなるが、のちのち迷ったり見落としたりするよりはいいと思う。
②観光案内所 三朝温泉ほっとプラ座

「三朝橋」の袂の、「河原風呂」への降り口の向かいにある。

ここに最初に立ち寄る目的は、この散策マップを手に入れることだ。
「三朝温泉」は地理がわかりやすいとは云え、マップがあるほうが迷わずに済む。
③公衆浴場 足湯・川原風呂

三徳川の河畔にある「足湯・河原風呂」に降りる階段は、「観光案内所 三朝温泉ほっとプラ座」の前に建つ、この「三朝小唄の像」の横にある。

手前の子どもたちが遊んでいる場所が「足湯」で、奥のおじさんが座っているところが「川原風呂」になる。

塩原温泉「もみじの湯」・下呂温泉「噴泉池」・長湯温泉「ガニ湯」など、名のある温泉地の町中を流れる河畔には、名物あるいはシンボルと呼ばれる露天風呂が残されているが、三朝温泉の「河原風呂」もそんな浴場の中のひとつだ。
囲われているとはいえ、脱衣場は男女兼用、さらに水着は禁止で女性のタオル巻きや湯あみ着の着用も推奨されていないというのだから、明るい時間帯にここに入湯するには男といえども勇気が要る(笑)。
「開けっぴろげ」で、昔ながらの温泉風情をムンムンと漂わせている「河原風呂」は、お風呂というより温泉客と地元の人々の社交場に近いのだろう。
河原風呂
電話:現地なし
0858-43-0431(三朝温泉観光協会)
●入浴料 無料
●営業時間:24時間
※奇数日の午前中は清掃のため、入浴不可
●営業期間: 通年

なお、かつてはすぐ前に共同浴場「たまわりの湯」があったが、老朽化のため2023年3月で閉館となり、すでに撮り壊れて更地になっている。
④「温泉本通り」

「三朝温泉」のメインストリートで、「重要伝統的建造物群保存地区」のような統一感はないが、代わりに創意工夫が凝らされた手作り感と、温泉町特有の生活感に満ち溢れている。
ただ素通りしてしまえば、徒歩でも片道5分ほどの長さしかないので、『せいては事を仕損じる』(笑)。
最初の見どころは、本通りに入ってすぐのところにある、上の写真の左に見える「梶川理容館」だ。

現役の理髪店を営業しながら、「湯の街ギャラリー」のひとつとして、オーナーが長年かけてコレクションしてきたアンティークな理髪用品を展示している。

自称「世界床屋遺産」と名乗るだけあって、そのこだわりは半端じゃない(笑)。
それだけにマスコミでは常連のようで、ちょうどいいテレビ局の動画が見つかったので、そちらをリンクしておこう。

続いて注目すべきは、足湯「薬師の湯」があるこの一画だ。
温泉ファン・映画ファンは周知の通り、「三朝温泉」は漫画家「ヤマザキマリ」氏の『テルマエ・ロマエ』の原作に登場し、また映画版のロケ地にもなっている。

いずれも「河原風呂」がモデルになっているのだが、ここにあるガラスケースには、その漫画のページが展示されている。

さらにその奥に見えている新しい建物が、2020年6月にオープンした、熱氣浴専門施設の「すーはー温泉」だ。
ラドンの免疫力や自然治癒力が高まる「放射線ホルミシス効果」は、以前から吸引することで効率よく得られることが知られており、実はこの施設は大正時代の1918年から存在していた。
1950年以降は岡山大学病院の分室となり、温泉医学の研究や患者の治療を行う施設として活用されてきたが、2010年からは岡山大学が所有する建物を三朝町が借り受け、熱気浴施設として利用していた。
しかし2016年の鳥取県中部地震により建物が被災。一時は取り壊しの決定がなされたが、三朝町が跡地を取得し、装い新たに熱気浴を復活させている。
ただし利用には、電話予約(0858-33-5772)が必要だ。
詳細は以下のサイトでご確認を。

また近くには2022年にオープンした、鳥取県のソウルフード「牛骨ラーメン」が食べられる「みささの味処 縁がわ」もある。
さて。
ここからは「三朝神社」の前を通って、「三朝温泉」発祥の地とされる「株湯」へと向かおう。

ちなみに「三朝神社」の祭神は、あの「出雲大社」と同じ「大国主命」。
同じ山陰の出雲文化圏にあることが、その大きな理由なのだろうが、「大国主命」は『因幡の白兎』の神話で描かれている通り、医療・治癒の力を持つ神として知られている。
それに、なんと四国の「道後温泉」にも登場する、温泉にゆかりの深い神様だ。
⑤株湯

「三朝温泉」散策のフィナーレは、冒頭で紹介した「株湯」だ。
実はここが元々の”おゆ場”だったところで、現在は無料の足湯になっている。

中はこういう感じで、真ん中の柱がかつての男湯と女湯の壁だったのだろう。

また敷地には「飲泉場」もあり、いずれも無料だ。
ラドン温泉は、飲泉からでも「放射線ホルミシス効果」が得られる。
「三朝温泉」のお湯はミネラルを豊富に含んでおり、飲むと胃粘膜の血液量が増加するとも云われており、味はまろやかで薄い塩味が感じられた。

こちらが現在の公衆浴場で、前に10台ほどが停められる無料駐車場になっている。

「株湯」の源泉は51度と高めだが、効能を引き出すため、水で薄めていない。
そのおかげで、浴室にはラドンが高度に含まれた蒸気が充満しており、温泉に浸かって暖まり、蒸気を吸って免疫力や自然治癒力を高める「ホルミシス効果」を十分に得ることができるという。
泉質は含放射能-ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉、液性はpH7.2の弱酸性、もちろん源泉かけ流しだ。

「株湯」の浴場は2010年春にリニューアルされ、現在は写真のようにきれいなタイル張りの浴室になっている。
ただしここにはシャワーがない。
きちんとシャワーがしたい女性は、旅館の温泉に行くといい。「三朝温泉」で日帰り入浴ができるお宿の一覧はこちら。
なお、クルマで「株湯」にクルマで行く際には、アクセスルートに注意したほうがいいかもしれない。

徒歩の場合は、「花屋別館」の向かいにあるこの路地から入り、一直線に進むのがもっとも近道だが、クルマだと途中での対抗の難しい。
大回りして太い道から行けなくもないが、やはり手前は細い道になる。
ゆえにバスコンやキャブコンはもちろん、クルマの運転にあまり自信がない人は、無理をせず、1時間まで無料、以降30分毎100円(最大24時間1,000円)で利用できる、「三朝温泉多目的駐車場」にクルマを置いて行くほうが無難だろう。
株湯
☎0858-43-3022
●入浴料:おとな400円
●営業時間:12:00(当面の間)~20:45(最終受付20:15)
●休業日: なし
●営業期間: 通年
※シャンプー・リンスなし

なお「株湯」から観光駐車場へは、来た道を戻るのではなく、「花屋別館」の前の道を三徳川に向かって進み、「恋谷橋」を渡って左折すると近い。
三朝温泉の&車中泊事情

少し離れたところに「道の駅 三朝・楽市楽座」があるにはあるが、2023年(令和5年)9月30日をもって、物品販売棟を運営していたJA直売所が撤退し、現在は事実上の廃業に等しい。
ただ鳥取県は道の駅の登録を返上していないので、トイレと駐車場は今も使えるみたいだが、もともと酷い道の駅だったのでお勧めはしない。
「三朝温泉」周辺でもっともお勧めできる車中泊スポットは、約17キロ・30分ほど離れたところにある、2025年にリニューアルオープンを果たしたばかりの「道の駅 ほうじょう」だ。
より近場がいい人には、10キロほど離れた「東郷湖」の畔に、道の駅と無料の公園がある。トイレはともにウォシュレットではないものの、空いていて落ちるけるのはこちらかもしれない。
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