この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、原稿作成のためのメモ代わりに書き残してきた「忘備録」を、後日リライトしたものです。
60年に一度の、出雲大社「大遷宮」
先週末は雪降りしきる厳冬の島根に足を運んできた。関東方面の人には馴染みが薄いと思うが、冬の山陰は「雪国」。積雪もそう珍しいことではない。
車中泊コースガイド西日本編は既に執筆にとりかかっているのだが、今回はどうしても現地の「最新情報」を入手したいと思っての取材である。
その理由がこちら。
現在出雲大社では、「大遷宮」と呼ばれる60年に一度の儀式の準備が行われている。
「大遷宮」とは、社殿の新築・改築・修造にあわせてご神体や御神座を移すことで、神威が甦る儀式。同じく今年式年遷宮を迎える 伊勢神宮では、それを「常若」とも呼んでいる。
出雲大社の宮大工による遷宮作業工程は5年間に及び、今回の大遷宮は平成20年から改修工事が施されてきた。
そのため社殿に幕がかけられ、せっかく訪ねても本殿を見ることができなかった人も多いはずだ。上の写真は昨年秋に取材した時の光景。筆者もまたその「犠牲者」の一人だった(笑)。
この写真は日曜日に撮影した化粧直しを終えたばかりの本殿。
既に覆いは外され、現在は5年前と同じくその古式麗しき姿を参拝者は拝むことができる。
コストは別として… 間に合う限りは読者にもっとも新しい情報を届けたいと思うのが「プロの書き手」というものだ。
こんなもんでいいやろう… というのは紙面を通して必ず伝わる。
「平成の大遷宮」は、今年の5月に祭神のオオクニヌシが装い新たな本殿に還るクライマックスの儀式、「本殿還座祭」が行われ完了を迎える。
繰り返しになるが、今年は伊勢神宮もまた遷宮を迎える。
伊勢は20年に一度、隣の敷地に社殿を立て直すのだが、出雲大社は60年を目処に、同じ敷地内で修理・改修を行う点が一番の違いだ。
さて。出雲大社や世界遺産の石見銀山など、近年は歴史文化に関する見どころが目立つ島根県だが、自然環境も悪くない。
特に宍道湖は、国内有数のマガン越冬地として、野鳥ファンにはよく知られた湖だ。
今年も約4000羽が飛来し、幾つものグループに分かれて周辺の田んぼで落穂をついばんでいた。
斐伊川の河口近くにある「宍道湖グリーンパーク」では、温かい室内からフィールドスコープで宍道湖の野鳥を見ることができる。
入場料はゼロ円、ここは地元出身のホシザキ電機が資本を出して運営している民間の自然保護施設だ。
ビオトープではカワセミを発見。
もう野鳥撮影を離れて10年近い年月が過ぎようとしているが、フレンディーで車中泊を始めた頃は、よく琵琶湖のオオワシを撮りに出かけたものだ。
執筆が終わる今年の夏以降は、原点に戻って少しのんびりフィールドで時間を過ごしたい。さすがに道の駅の取材には飽々してきた(笑)。