この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、原稿作成のためのメモ代わりに書き残してきた「忘備録」を、後日リライトしたものです。

とことん、牡蠣!
今回の取材旅はスケジュールに沿って粛々と進んだ… わけではなかった。最初に赤穂に入ったが、摂氏4度というあまりの寒さに縮み上がった!
ダウンを着込んで大石神社に参拝した後、お腹が空いたので、県境を越えて岡山県の日生(ひなせ)にある五味の市に向かうことにする。
まずはシェル付きのカキを仕入れる。
平日はお母さんも太っ腹になるのだろう。この日は運良く1000円で2000円分近い粒のカキが買えた。
ちなみに中身はこんな感じ。播磨のカキは1年で出荷するため、能登や的矢のカキに比べると身は小粒。ゆえに数で勝負だ。
なお、シェル牡蠣を旅行中に簡単に食べるには、フライパンにそのまま入れて蓋を載せて蒸すといい。炭がなくても簡単に殻が開く。
さらに車内で食べるには、こいつが超有効。プラズマクラスターをターボにすれば、まったく臭いが残らない。調子に乗って、シャコやカニも車内で食べたが、全てこの機械で臭いを分解。
さすが、「プラズマクラスターはシャープだけ」!というだけのことはある。ちなみに筆者が使っている車載用は、アマゾンから5980円で手にいれた。
さて。今回の旅のイチオシグルメは、この「カキの佃煮」だ。
多少強引ではあるものの、おっちゃんの言うままに手を出した試食があまりにもうまかったので、財布からお金を出そうとしたら、優しく小声で「にいちゃん、1000円でいいよ」と言ってくれた。
関西では値切るのが当たり前と思っている人が多いようだが、実際は値切らないほうがトクすることも多い。おばちゃん・おっちゃんたちはこの道の百戦錬磨だけあって、素直な客に損をさせるようなことはしない。
スタンスは、「こっちがマケたるいうまで、黙っとけ~」なのだ(笑)。
それから日生のB級グルメ「カキオコ」の有名店、「タマちゃん」に向かった。ここはネット上の評判を見る限り行列必至と判断し、開店前から並ぶことにした。
11時開店の15分前に着いたが、既に車は2台停まっていた。そして入店後、即満席。平日にもかかわらず、予想通りたいした人気である。しかも全員が日本人。近頃は見れば安堵するほど、観光地に「日本人がいない」(笑)。
安倍内閣の観光政策は外面上当たっているように見えるかもしれないが、冷静に考えると、それだけ今のこの国は「日本人が旅行しにくい状況」にあるともいえる。年金で旅ができる世代の半分は、もう既にリタイヤしている。
これがカキオコ。たぶん「牡蠣入りお好み焼き」の略だと思うが、この「カキオコの丞」はカキの身が250gが入って1350円。えっ、高いんじゃないの? そりゃ、この写真だけなら誰もがそう思うに違いない…
だが、使っているカキの量を見ると、コスパは妥当か良いほうだ。
ただし、カキオキを「お好み焼き」として見るなら、まだパーフェクトではないかもしれない。粉モン王国を自負する大阪の店にやらせれば、もうひと味・ふた味は何かしらの工夫を加えるのでは… そんな印象が残った。
夜は「どて鍋」。初日は予定通りの牡蠣づくしだ。


