この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の中のひとつです。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。

琵琶湖のクルマ旅は、「ビワイチ」ではなく「ビワジュー」
近頃は、琵琶湖を一周することを「ビワイチ」と呼ぶらしい。
主にサイクリングにおける話のようだが、クルマ旅ではあまり「ビワイチ」をする意味はないと思う。

画像出典:輪の国びわ湖推進協議会
サイクリストは「景観」よりも、200キロという長距離を走り切る「達成感」を求めて琵琶湖にやってくるが、アクセルを踏むだけのクルマにそれはない。
また自転車とは走れる道が違い、クルマでは思っているほど車窓から琵琶湖が見えないことも、そう書く理由のひとつだ。

葛籠尾崎から見える琵琶湖の景観
そもそも一度の訪問で「すべて」を見て帰れるほど琵琶湖は甘くない。
何度もリピートして、その地の見聞を深めていくのが「大人の旅の流儀」であって、それを自由奔放に実現する手段として「車中泊クルマ旅」がある。
つまり「ビワイチ」ではなく「ビワジュー」なのだ。
一周できるのはクルマ旅でも魅力
とはいえ、クルマ旅でも「来た道を戻らずに済む」というのは嬉しいものだ。
そもそも、そういうルートが組める湖・島・半島はクルマ旅に適している。あとはどれだけ時間がかけられるか、あるいはどこに重点を置くかで中身が変わる。

湖から桜が見られる 海津大崎
ベテランたちは、季節に応じてそれを巧みにコーディネイトしながら、琵琶湖遊びを楽しんでいる。
琵琶湖の概要
琵琶湖の湖岸延長は約235キロで、直線距離に直すと、大津から静岡県の浜松まで行くのとほぼ同じ。クルマなら下道でも6~7時間ほどあれば、十分に「ビワイチ」できる距離である。
琵琶湖は昔から慣例的に「湖北」「湖西」「湖東」「湖南」の4つのエリアで語られてきたが、現在はそれに「東近江」と「大津」を加えた6つのエリアで紹介されることもあるようだ。
大雑把に云うと、京都に近い「大津」と、戦国時代に信長とその重臣が城を築いた「近江」は都市化が進んでおり、湖北と湖西には今でも自然が多く残る。
お勧めシーズン

ジェットスキー
夏はマリンスポーツと湖水浴を楽しむ若者たちが挙ってやってくるため、道が渋滞してクルマ旅には適さない。
静かな琵琶湖を楽しむなら、紅葉が始まる11月中旬から、冬を挟んで桜の咲く4月中旬までがお勧めだ。

雪のメタセコイア並木
また厳冬期はスタッドレスタイヤが欠かせないものの、湖北に行けば近畿ではなかなかお目にかかれない雪国の景色が楽しめる。
初心者に優しい車中泊環境

道の駅草津
琵琶湖は東西南北に道の駅が整備されており、普通乗用車でクルマ旅をする人にも、車中泊のしやすい環境が整っている。

六ツ矢崎浜オートキャンプ場
また湖南と湖西には湖周道路沿いにトイレ付きの無料駐車場が点在し、湖畔に面したオートキャンプ場も何件かある。
ただし、琵琶湖の周りには温泉が少ない。
そのため汗を掻く季節は、入浴施設と車中泊地の兼ね合いを考える必要がある。





