25年のキャリアを誇る車中泊旅行家がまとめた、「鳴門のうずしお」を確実に観るための情報です。
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この記事は、1999年から車中泊に関連する書籍を既に10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「車中泊旅行家・稲垣朝則」が、独自の取材に基づき、全国各地の「クルマ旅にお勧めしたい観光地」を、「車中泊旅行者目線」からご紹介しています。

~ここから本編が始まります。~
淡路島まで来て、世界最大級と称される「鳴門のうずしお」を見ずには帰れない。

「鳴門のうずしお」が生まれる原理
「鳴門海峡」では、本当にこんなデッカイ渦が巻くのか?
今はなんでもCGでできてしまう時代だけに、フェイクかデフォルメかと疑いたくなる「鳴門のうずしお」だが(笑)、タイミングがあえばこういうシーンにお目にかかれるのは本当だ。
これは筆者が撮影した写真だが、ポイントは「いつ」「どこで」「どのようにすれば」渦潮が見られるのかを知って行動することに尽きる。
そのために必要なことを、これから順を追って紹介しよう。
「鳴門海峡」の潮流はイタリアの「メッシーナ海峡」、カナダの「セイモア海峡」とともに「世界三大潮流」と呼ばれているが、まずはなぜ、「明石海峡」にはできず「鳴門海峡」にだけ「うずしお」ができるのかという話から入ろう。
▶理由その1
淡路島の立地と潮流が海面に高低差を生み、川のような流れを生む。

出典:南あわじ市
太平洋の沖合いから伝播してくる潮流は、紀伊水道で2つに分かれ、一方は明石海峡を経由し、もう一方は鳴門海峡を通過して、播磨灘へと進んでいく。
その結果、約5時間もの時差を要して播磨灘が満潮になる頃、太平洋には既に干潮が生じている。
そのギャップにより、鳴門海峡周辺では海の中に滝のような段差が生じ、海水は高い方から低い方へと流れ始める。
その格差がもっとも大きくなるのが、春と秋の大潮の頃で、 特に3月下旬から4月下旬は、1年で最も良い渦潮観潮の時期と云われている。
ただ、海面の高低差だけでは「うずしお」は生じない。
▶理由その2
海底の地形がその流れにスピードのギャップを与え、渦が生まれる。
鳴門海峡は中央部が深く、潮の本流は抵抗を受けずにスムーズに流れるが、両岸は浅瀬になっているため、抵抗が強く流れは緩やかになっている。
「うず潮」が見られるのはその境目付近で、速い流れと遅い流れの抵抗が臨界を越えた時に発生する。
「鳴門のうずしお」を見る方法は4つある。
手っ取り早く云えば、観潮船に乗って間近から見るか、大鳴門橋の上から少し遠目に見るかの2つに大別される。
それが鳴門海峡をはさんだ、淡路島の南あわじ市と四国の鳴門市の両方でできるため、具体的には4つになるというわけだ。
さらにそれを、ニーズ別に分けて説明すると以下のようになる。
無料で見たい!
淡路島側にある「道の駅 うずしお」の敷地からは、徒歩で大鳴門橋に進むことができ、橋の途中に展望所がある。
遠目にはなるが、無料で見られるのはここだけ。
前日に「どんなもんかなぁ~」を確認するにはベストな場所だ(笑)。
なお、徳島県側の「鳴門公園」にも、「大鳴門橋」と「鳴門海峡」を望む展望台が数ヶ所あるが、いずれも「うずしお」を観るにはちょっと遠い。
風雨を避けて、室内から見たい!
ただし徳島側にある「渦の道」は、ガラス張りになった室内空間になっている。
有料(おとな510円)ではあるものの、「うずしお見学」に付き物の「強風」と「紫外線」が避けられるメリットは大きく、どちらかといえば女性向きだ。
とにかく、近くから見たい!
「鳴門のうずしお」の観潮船には2つのタイプがある。
そのうち渦の間際まで接近できるのは、写真の「クルーザー」と呼ばれる小型船だ。
筆者はここではまだ乗ったことがないので何ともいえないが、揺れや飛沫を含めた「クルージングの醍醐味」を、リアルに体験したい人にはフィットする。
淡路島から運行
ヘリオス/マリノポート伊毘
徳島から運行
うずしお観潮船アクアエディー
「うずしお」の写真が撮りたい!
淡路島の福良港から出港するジョイポート南淡路の「威臨丸」「日本丸」は、渦に近づけない代わりに、高い位置から「うずしお」が撮影できる。
船が大きいだけに揺れも小さく、筆者のように写真目当ての人にはお勧めだ。
ただしスマホで撮れるかどうかは甚だ疑問。普段は一眼レフを使う筆者のスマホの「腕前」では、たぶん無理だ(笑)。
なお、この船に関しては詳しい撮影ガイドも用意している。
「鳴門のうずしお」見学は、車中泊旅行者向きのコンテンツ
「潮見表」を見ればある程度の予測がつくとはいえ、「鳴門のうずしお」は神出鬼没に近い自然のアトラクションだけに、直前でも予定を替えられる車中泊の旅人は、圧倒的に有利な立場にある。
ゆえに「事前予約」よりも、できれば平日を選んで、当日の朝の気象・天候を見て、前述した4つの選択肢からベターなものを選ぶといい。
こういう経験を重ねるほど「旅行力」はアップし、より困難な「絶景スポット」での幸運を引き当てる確率も高くなる。
この写真は知床の根室海峡で撮ったものだが、クルーザーの前をゆうゆうと泳いでいるのはシャチオくんだ。
「日々鍛錬し、いつ来るとも分からぬ機会に備えよ」
これはNHKの朝ドラ「カムカムエブリバディ」に登場した、平成の武士「虚無蔵」(松重豊)の名言だが、旅でもきっちり当てはまる。
特に「鳴門のうずしお」は、いずれ北海道や離島への旅を目論みたい人にとっては、いい鍛錬の機会になるだろう(笑)。
しかし「孤独のグルメ」の井之頭五郎から、大河ドラマ「どうする家康」の「石川数正」まで、「松重豊」は演技の幅がほんとに広い役者さんだね!(笑)。
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