「クルマ旅専門家」・稲垣朝則が、10年以上かけてめぐってきた全国の温泉地を、「車中泊旅行者の目線」から再評価。車中泊事情や温泉情緒、さらに観光・グルメにいたる「各温泉地の魅力」を、主観を交えてご紹介します。

有馬温泉の基本は「ワンデイ」
有馬温泉は六甲山の北側斜面に開けた単一の温泉地で、神戸市営の日帰り温泉「金の湯」・「銀の湯」に浸かり、昼食を食べて、温泉街とその周辺の史跡や名勝をそぞろ歩きすれば、ちょうど半日が終わる。
つまりは、午後から来て温泉宿で1泊し、翌日の昼前に立ち去れば十分満足できる手頃な旅先だ。慰安旅行や卒業旅行、さらに京阪神からの日帰りバスツアーが多いのも頷ける。
ただ、筆者がショートステイを勧める理由はもうひとつある。
温泉地の概要

有馬温泉は、白浜温泉(和歌山)・道後温泉(愛媛)とともに「日本三古湯」として、「日本書紀」にその名を連ねる「古湯の中の古湯」。
その後も様々な人物が「三名泉」だの「三古泉」だのと書き残しているが、要は昔から有馬のお湯は、皇族・貴族・武士・文化人らに愛され続けてきた。

観光
到着したら、まずは太閤橋の角にある「有馬温泉・観光騒動案内所」に足を運ぶといい。
お目当てはウォーキングマップ。
下のマップには5つのハイキングコースが載っており、終日滞在するなら全部をまわることができる。
筆者のイチオシは、有馬温泉のランドマーク「金の湯」・「銀の湯」を通る「歴史コース」で、距離は約1.5キロ。
日帰りで有馬温泉を楽しみたい人にはちょうどいい。


グルメ・ショッピング

車中泊事情
有馬温泉街の界隈には、無料で車中泊のできる場所はない。そのため、ここでの車中泊は有料のコインパーキングが前提になる。

お勧めは、夕方から神戸(三宮)方面への移動
冒頭に書いたように、有馬温泉は日帰りでも十分に楽しめる温泉地で、車中泊はできるが、けして良好な環境といえるものではない。
湯治に行くのなら話は別だが、温泉旅の見地に立つなら、昼間に有馬温泉を堪能し、夕方には三宮に移動して「大人の夜遊び」を楽しむほうが洒落ている。
有馬温泉からは国道で1時間もかからない。

その「神戸の街」がいちばん華やかに見えるのは、「ルミナリエ」が開催される12月だろう。

また、グリーンシーズンにお勧めなのは淡路島だ。



