冬の中国取材旅 倉敷・総社・岡山/2018.2

鳥取県の車中泊旅行日記
「正真正銘のプロ」がお届けする車中泊旅行ガイド
この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、原稿作成のためのメモ代わりに書き残してきた「忘備録」を、後日リライトしたものです。
クルマ旅専門家・稲垣朝則の主な著書
車中泊の第一人者と呼ばれる稲垣朝則が、これまで執筆してきた書籍・雑誌と出演したTV番組等の紹介です。
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倉敷と備中高松城を深堀りする。

近年にない極寒と大雪に襲われた2018年冬。筆者が最初の取材地として選んだのは、「晴れの国」岡山にある重伝建の「倉敷」だ。

重要伝統的建造物群保存地区

重伝建とは、重要伝統的建造物群保存地区のこと。
歴史的な集落や古い街並みを残そうと、住民が国や自治体からの支援を受けながら保存に取り組んでいる地区で、国に選定されれば修理や保存にかかる費用の補助が受けられたり、固定資産税が減免される。

1976年に長野県南木曽町の宿場町である妻籠宿(つまごじゅく)など7地区が選定されたのが始まりで、岐阜県白川村の合掌造り家屋が並ぶ荻町地区、武家町では鹿児島県に知覧町(ちらん)などが有名だ。2017年11月28日現在、全国には97市町村117地区の重伝建がある。

もちろん世界遺産と同様、「保存」が目的なので「観光地」としての価値を成すものばかりではないが、「行ってみたいが渋滞や混雑が気になる」ところも多い。倉敷はその代表的なところだろう。

倉敷美観地区

事実、倉敷の美観地区はその名の通り美しい。

ただ…正直云って、倉敷は「どこをどう見ればいいのか」が理解しづらい町のひとつだ。それは「美観地区」という甘美な表現が、いつのまにか本来の意図とは違う「白壁土蔵のレトロでオシャレな町」という偏ったイメージに置き換えられてしまったからにほかならない。

その結果、印刷物やウェブには土産物と飲食に関する情報が氾濫し、「本来の倉敷らしさ」はほとんどかき消されているといっても過言ではない状況だ。

倉敷 ボランティアガイド

筆者が、そんな倉敷に足を運んだのはこれが4度目。特に「日本一周車中泊コースガイド」の取材で訪ねた時には、ボランティアガイドといっしょに倉敷の町を歩き、ガイドブックには出てこない話や場所を学んでいる。

それでも「観光密度」が高い、倉敷の全ては把握しきれない。

倉敷

今回はあいにくの雨にぶつかったが、既に青空の景色は撮れているので、あえて観光客が少ない倉敷を歩くことに。建物は日差しで影ができる晴天よりも、しっとり感のあるいい写真が撮れる場合がある。

旅館くらしき

旅行ガイドゆえに、カーネルには多少の美味しい要素が必要(笑)。今回はそういう場所も訪ねてきた。

倉敷桃子

しかし、JKや若いカップルに混じってこの店に入るのに、いささか抵抗があったのは確か(笑)。

フルーツパフェ

だが食べ出したら、そんなことは忘れてしまった!(笑)。

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さて。この夜は倉敷に最寄りの車中泊スポット「酒津公園」ではなく、少し離れた「道の駅みやま公園」で泊まった。

道の駅 みやま公園

当初は1日で倉敷を廻り切れないと思っていたが、予想以上に空いていたためスムーズに取材が進み、翌日の動きを考慮して、ここへやってきた。

瀬戸大橋に近い「道の駅みやま公園」からは四国にも行きやすい。なお、この道の駅にはゴミ箱もちゃんと置かれている。

鷲羽山展望台

翌朝、「晴れの国」岡山に快晴が戻ってきた。

そこで一番に訪ねたのは、瀬戸大橋の眺望が美しい鷲羽山展望台だ。ここは既に撮影済みだが、昼になると逆光気味になり、橋が彼方まで写りにくい。

そのため朝のうちに訪ねたのだが、想像以上の強風と四国上空の空が曇っていることが判明。清掃のおじさんいわく、この雲だと四国は雪… ということで今後の行き先から四国は消えた。

雪はともかく、強風時に海の上を走るのはお断りだ(笑)。四国は高知の坂本龍馬記念館が1年半ぶりにリニューアルオープンするゴールデンウィークに、じっくり回るつもりでいる。

備中高松城址

内陸方面に行き先を定め、吉備に近い備中高松城址に行くことに。ここは世にいう「中国大返し」の起点となる古戦場で、秀吉の「水攻め」で知られる。

ここには大河ドラマ「軍師官兵衛」が放送された2014年にも足を運んでいるのだが、今回は2つのことを確認したくてやってきた。そのひとつは「倉敷」との関係だ。

驚いたことに… 秀吉の水攻めがなかったら、倉敷の町はこの世に生まれていなかったかもしれないという。それについてはほぼ確証を得てきた。

もうひとつは、事実の確認。

備中高松城の水攻め

記録によれば、秀吉はわずか12日間で高さ7m、長さ3キロもの堤防を作り、東京ドーム約40個分もの巨大な人造湖を出現させたというのだが、400年も前の時代に、本当にわずか12日間で3キロもの堤防を築くことが出来たのか? 

実は今年の1月29日に、BS朝日の「歴天 ~日本の歴史を変えた天気~『備中高松城の水攻め』」という番組が放送され、偶然筆者はそれを見ていたのだが、その中で見事に答えが解明されていた。

確かに前回の訪問時に、なぜ当時の遺構が「蛙ヶ鼻」にしか残っていないのか?という疑問を筆者も抱いていたのだが、それについても「一発回答」といえる説だった。そこで上の写真を生で見るべく、わざわざ出向いてきた。といっても鷲羽山からは40キロほど、そのあと岡山城に向かう前の「寄り道」だ。

この話は後日、「備中高松城」の記事で詳しくレポートするつもりだ。一番わかりやすくて素晴らしかったのは、資料館にいらしたボランティア・ガイドのおばちゃんの説明。恐れ入りました(笑)。

岡山城

最後は岡山城へ。世の中的にはお城よりも「後楽園」のほうが有名だが、倉敷の町が誕生するきっかけは、この城を築いたお殿様の「ある施策」にある。その話が場内のパネルに記されていた。

出典:NHK

そのお殿様とは宇喜多秀家。大河ドラマ真田丸では俳優・高橋和也が好演し、記憶に残っている人も多いのでは。

こうして歴史の糸を手繰っていくと、定番中の定番みたいに思われている観光地にも、まだまだ「新発見」はあるもので、それを筆者は、今後もっと大きく取り上げていきたいと思っている。いずれにしても、それは自由奔放に動ける車中泊のクルマ旅ならではの観光法になるはずだ。

今日はこれから有馬温泉方面に進み、車中泊禁止の「道の駅神戸フルーツフラワーパーク大沢」を視察後、「金の湯」で疲れを癒やして帰宅する。

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