この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の中のひとつです。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
それは、セルフ・パーク&ライド。
今さら云うまでもない話だが、桜や紅葉の時節と、祇園祭りや五山送り火を迎えた京都市内は、人とクルマでごった返し、目抜き通りや駐車場周辺では、それはひどい渋滞が発生している。
京都府全体で年間およそ8000万人、市内だけでも5000万人は下らないといわれる数の観光客が、国内のみならず海外からも訪れるのだから、もはやそれは「避けることのできない」現実だろう。
しかし、だからといって京都市内に足を向けないのはナンセンスで、後ろ向きな話だと思う。
これまで「京都市内を車中泊で旅するなんて無謀!」と諦めていた人には、目から鱗の話かもしれないが、少し視点を変えれば、車中泊で京都を観光するのは、さほど難しいことではない。
現代の京都はパーク&ライドの環境が整備され、移動の不自由さがかなり緩和されている。
つまりクルマは「宿泊手段」として割り切り、「移動手段」を電車か地下鉄にすれば解決できる。
セルフ・パーク&ライドとは
行政や民間企業が用意した「乗り換え駐車場」ではなく、自分の旅行プランに合う「駐車場」を探し出し、そこにマイカーを置いて公共交通機関に乗り換え、京都の市内や郊外にでかけること。
そもそも京都市内でクルマを持て余す理由は、「渋滞」と「駐車場の空き待ち」が主な原因だ。
京都の観光ガイドを記したウェブサイト中には、短絡的にバスやタクシーの利用を勧めるものもあるが、それでは渋滞を避けることにはつながらない。
さて。京都市内における理想の車中泊スポットは、駅前でトイレがあって、24時間最大料金設定のあるコインパーキングになるが、そのような都合の良い場所が実在するのだろうか?
答えはYes。
もちろん、その場所は後ほど詳しくガイドする。
その前に…
なぜ人は、こうも京都に惹かれるのだろう。
もちろん戦災を免れた古刹が数多く残ることも、その大きな理由のひとつだろう。世界遺産に登録された文化財だけでも17件にのぼる。
そこに、桜や紅葉の名所がオーバーラップしてくるのだから、ハイシーズンに主だったところを巡るだけでも、10年やそこらはゆうに要する。
また歴史に目を向ければ、、まつりごとの中心であった京都御所、天下統一を目前にする織田信長が急襲された本能寺、源義経が若き日を過ごした鞍馬山、さらに近世では大政奉還が宣言された二条城等々、大河ドラマに京都が関連しなかったことはないと云っても過言ではあるまい。
歴史に興味があれば、一生を通してリピートするだけの「値打ち」が、間違いなく京都にはある。
欧米では「よく行くところ」をリゾートと呼ぶ。
その意味からすると、「京都が自分のリゾート」だと云う旅行者がいても不思議ではないし、海や山とは一味違う「癒やし」になるものも揃っている。
むしろ何度も行きたいから「車中泊という宿泊手段」を選んでいるという方が、理にも適っているはずだ。
さあ、京都に憧れる車中泊旅行者諸君。
大手を振って、京都にリピートしようじゃないか!