この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の中のひとつです。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
本来の嵐山は、大人好みの静かなところ
本当の嵐山の見どころガイド【目次】
ランドマークは、やはり「渡月橋」
なんだかんだ云っても… 嵐山の景観に欠かすことのできない存在は渡月橋(とげつきょう)だと思う(笑)。
紅葉だけでなく桜とのコンビも美しく、渡るというよりは「嵐山の撮影スポット」になっている。
木造ではないため風情には欠けるので、少し離れた臨川寺地区から撮るほうが、コンクリートの欄干が目立たず風流に見える。
現在の渡月橋は昭和9年に改築されたもので、クルマが通る生活道路の一部になっているため、岩国にある「錦帯橋」のような通行料はかからない。
またそのおかげで、2013年9月の台風18号で桂川が増水し、周囲が水害に遭った時も流されずに済んでいる。
渡月橋の歴史と名前の由来
大堰川(おおいがわ)にかかる全長154メートルのこの橋は、承和年間(834~847)に、弘法大師の弟子で法輪寺を興した道昌によって架けられている。
当時はもう少し上流にあって「法輪寺橋」と呼ばれていたが、それから約440年後に亀山上皇がその橋の姿を「くまなき月の渡るに似たり」と讃えたことから、「渡月橋」に改名されたという逸話が残る。
ゆえにその真の美しさは、月夜に見てみないと味わえない(笑)。
メインは嵐山公園・亀山地区
淀川に合流している桂川は丹波山地に源を発し、亀岡では保津川、嵐山では大堰川の名前で親しまれている。
その大堰川の両岸に位置する「嵐山公園」は、亀山・中ノ島・臨川寺の三地区から構成される。
中之島地区
三角州である中ノ島の下流側は、イベントが行われる広い広場で、桜と紅葉シーズンの週末には屋台が並ぶ。
ただし眺めがいいのは上流側。お弁当を広げるならこちらがいい。
亀山地区
筆者イチオシのビュースポットは、亀山地区にある小倉山展望所だ。
ここは展望所の場所がわかりにくいのと、メインストリートから離れたところにあるせいか、いつも驚くほど空いている。
デッキからは、保津川下りの舟やトロッコ列車の姿も見られる。
行き方はいたって簡単。
保津川の上流に向かって右岸を、レンタルボートの受付を通り過ぎるまで直進する。
「亀山公園 亀山地区」と記された、大きな石碑が立つ小倉山の登り口にぶつかったら、あとは「展望所」の案内に沿って石段を進んでいくだけだ。
途中には、小倉百人一首に収録されている和歌を刻んだ石碑が幾つも置かれた広場がある。
休憩がてらに知っている和歌を探してみるのも面白い。
ちなみに小野小町は、楊貴妃、クレオパトラとともに「世界三大美女」に数えられる平安時代の女流歌人。
というのは日本だけの話らしい…(笑)。
帰りは来た道を戻らず、嵯峨野を目指して坂をくだると、大河内山荘の前に出る。
そこから野宮神社に向かえば、有名な「竹林の道」はすぐそこだ。
なお、嵐山高雄パークウエイの途中にある「小倉山展望台」は別の場所なので間違えないように。
トロッコ列車と、保津川下り
保津峡の下流は亀山地区からも見えるが、本格的な景観を楽しむには、トロッコ列車か舟に乗る必要がある。
その保津峡は亀岡ー嵐山間にあり、直線的に通るトロッコ列車だと約7.3キロ、蛇行する保津川は約16キロに及ぶ。
もちろん春と秋の休日は、いずれも予約が必要。
ただし、いい時間帯はほとんど旅行会社に押さえられているはずだ。
嵐山の周辺スポット
本来の嵐山は、阪急電車の嵐山駅があるエリアだ。
実はこちらにも京都最古の神社で、平安京のお酒づくりにゆかりの深い松尾大社や、年中鈴虫の声が聞こえ、恋愛成就のご利益を求めて若い女性たちが集う華厳寺(通称、鈴虫寺)、そして今は完全予約制となった世界遺産の西芳寺(通称、苔寺)等々、見るべき古刹が存在する。
リピーター好みの名勝ではあるが、いずれは一度は足を運んでみたい場所だろう。
嵐山の駐車場&車中泊事情
「百聞は一見に如かず」とは、まさにこのこと(笑)。
桜と紅葉のシーズンは、週末になると渡月橋一帯に通行規制が施かれ、全く思うようには走れない。
なお車中泊で行くなら、亀岡からのアプローチするほうが断然お勧めだ。