この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の中のひとつです。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。

パナソニックの創業者・松下幸之助が設立。
幕末の志士達が永眠する「京都霊山護国神社」と向かい合うように建つ、霊山歴史館(りょうぜんれきしかん)は、日本で最初の幕末・明治維新期の歴史専門博物館として1970年に開館した。
ここには坂本龍馬をはじめ、中岡慎太郎、西郷隆盛、木戸孝允、高杉晋作などの倒幕派志士の遺品とともに、新選組、徳川慶喜、松平容保など、幕府側の人材に関する資料も数多く保管されており、倒幕・佐幕両派双方の視点から、幕末を見ることができる。
ちなみに坂本龍馬に関する展示で、特にお勧めなのは次の2つだろう。
龍馬を斬った刀
近江屋で見廻組の桂早之助が龍馬を斬ったとされる刀(現物)が展示されている。室内での戦闘となることを予測し、長い刀ではなく小回りのきく脇差(短めの腰刀)が使われた。
近江屋の模型
坂本龍馬が暗殺された「近江屋事件」の様子を、当時の人の証言や資料などを元に細密に再現した模型を展示している。
さて、その霊山歴史館の創設者が、松下電器(現・パナソニック)の創業者、松下幸之助氏であることをご存知だろうか。
歴史館が生まれるきっかけとなったのは、京都霊山護国神社の境内に建つ志士たちの墓が、戦後の高度経済成長の中で人々の記憶から薄れ、すっかり荒れてしまっていたことにある。
それを知った幸之助氏は、関西の財界人に呼びかけ、明治維新から100年の節目を迎えた1968年に霊山顕彰会を立ち上げて、墓地の復興事業を行った。
同時に幸之助氏は神社に祀られている人々が、実際はどのように生き、行動したかを伝えていく場が必要であると考え、霊山歴史館を創建した。
現在では幕末・明治維新に関する資料が新たに発見されると、京都だけでなく全国から霊山歴史館へ持ち込まれるということも多いそうだ。
幕末維新ミュージアム 霊山歴史館
〒605-0861京都市東山区清閑寺霊山町1
☎075-531-3773
■料金
常設展:大人700円
■営業時間
10時~16時30分(特別展時は~17時30分/入館は30分前まで)・月曜休館日


