この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の中のひとつです。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
山陰海岸ジオパークの「隠し玉」
ここは、まさに「行ってビックリ!」の場所だった。
玄武洞公園には、たとえ地質学の知識がなくとも、学術的価値が高い場所だということが分かる光景が広がっている。
約160万年前の噴火で流出した溶岩の造形は「柱状節理」と呼ばれ、河川による侵食でその岩塊がむき出しになったというが、まさに「神業」としかいいようのない、みごとな石柱の配列である。
柱状節理は切り出しやすいため、早くから採掘されてきた。岩塊に残るこの洞窟はそのために作られた坑道の跡地で、江戸時代後期の1807年(文化4年)に、幕府の儒学者・柴野栗山がここを訪れ、伝説上の動物の姿にたとえて「玄武洞」と名付けた。
公園内には国の天然記念物である玄武洞のほか、青龍洞・白虎洞・南朱雀洞・北朱雀洞と名付けられた洞窟が、見学しやすいよう整備されている。
中でもとりわけインパクトのある造形は、この「青龍洞」だろう。
風がなければ下の小さな池が鏡となり、さらに不思議さが増して見える。なお撮影には巡光の午前中がお勧めだ。
ここで切り出された玄武岩は周辺地域で漬物石や石材として使われており、公園内はもちろん、城崎温泉の大谿川護岸や、豊岡の石積みでも見ることができる。
ちなみに「玄武岩」の名称は、明治17年(1884年)に東京大学の地質学者・小藤文次郎が岩石の日本名を制定する際に、玄武洞の名に因んで命名している。
またここは第四紀における地球磁場の逆転が世界で初めて発見された場所であり、その研究結果は、後の地質学の発展に大きく貢献したとされる。
※第四紀:地質時代の一つで、258万8000年前から現在までの期間。
玄武洞公園は今話題のパワースポットにもその名を連ねているようだが、まさに磁場が働く正真正銘の場所。未来ある子どもたちに、そのパワーが宿ってくれることを期待したい(笑)。
ちなみに、玄武洞公園は入場も駐車も無料だ。
その前に建つ「玄武洞ミュージアム」の裏手には、屋外トイレがある広い駐車場があり、車中泊もできる。
なお、玄武洞ミュージアムは2018年3月に全面リニューアルされている。詳しくはオフィシャルサイトで確認を。
玄武洞ミュージアム オフィシャルサイト
兵庫県豊岡市赤石
☎0796-23-3821
営業時間9:00~17:00