この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の中のひとつです。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
桃山様式の歌舞伎座を模した、城崎温泉のランドマーク
城崎温泉は兵庫県・豊岡市にある温泉で、平安時代からその存在が知られ、約1300年の歴史に彩られた古いおゆ場だ。
現在は7つの外湯めぐりがリーズナブルに楽しめることに加え、特に冬はカニツアーなどの日帰り客にも人気が高い。
温泉街のほぼ中央にある「一の湯」は、そんな城崎温泉のランドマークとも呼べる存在で、桃山様式の歌舞伎座を模したとされる建物は、大谿川沿いの柳並木とともに、訪れる人々を優しく癒している。
近代的な館内には、ゆったりとした内風呂に加え、山肌を削って造った半露天の洞窟風呂、さらには貸切風呂がある。
お湯が塩素臭いという話もあるようだが、無色透明でさらりとしており、筆者はさほど匂いも気にならなかった。温泉の消毒臭は日によっても変わるので、人の話はそれほど参考にはならない。
そもそも大規模温泉街の日帰り温泉施設に、ひなびた一軒宿と同じクオリティーを望むほうが酷(笑)。入湯する客の数がまったく違う。
なおロビーから二階にあがると、自販機とテーブル・椅子があり、休憩できるスペースが用意されている。
「一の湯」の名は、温泉医学の創始者である後藤艮山の高弟、香川修徳が江戸中期に著した「一本堂薬選」で、城崎の湯を天下一と賞賛したことによる。また小庭に建つ「海内第一泉」の碑は、近代温泉学の権威、藤浪剛一博士の書によるもの。それにしても、前を通る客を「そそる石碑」だ。
一の湯は「開運招福の湯」とされ、合格祈願にご利益があるらしい。受験生がいる家族は、気晴らしをかねた入湯祈願に出かけてみるのもいいだろう。
一の湯
兵庫県豊岡市城崎町湯島415-1
☎0796-32-2229
営業時間/AM7:00~PM11:00
定休日/毎週水曜日
料金/大人700円、 小人350円 (小人は3歳から小学生)
家族浴場あり
駐車場 :なし 近くの豊岡市営城崎木屋町駐車場を利用(入浴者割引あり)