この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の中のひとつです。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
思っているより満腹になる。
まず出だしから話が長くなるので、「出石そばのウンチク」については以下に詳しくまとめている。ゆえにここでは割愛し、「出石皿そば巡り」について詳しくレポートしよう。
まず「出石皿そば巡り」のチケットは、観光センターの隣の「出石トラベルサービス」で購入する。
チケットとは巾着袋の中に入っている3枚の「永楽銭紋」のこと。
それで出石皿そば巡りに参加している店舗から、3軒を選んで巡る(ただし人気のお店「近又」は対象外)。
用意されるのは3皿で、「永楽銭紋」は1軒につき1枚しか使えない。もちろんカップルでの共用は不可。ひとり1セットづつの購入が必要だ。
ただし希望があれば有料で追加は頼める。
なお、巾着袋には文化施設やお土産店で使える「割引チケット」の役割が付加されている。
確かに50軒近くもの店が揃う「出石皿そば」には、「讃岐うどん」と同じように「食べ比べ」がしたくなる一面がある。
しかし「小盛り」というメニューが定着している讃岐とは違い、最低5皿からの出石では1日3軒食べ歩くのはちょっと苦しい。ということで発案されたのだと思うが、逆に合計9皿では若い男性には「明らかに物足りない」だろう。
だが、中高年はこれで十分満腹気分になれる。
理由は、各店ごとに皿そばに加えて山芋と卵、さらに蕎麦湯が出されるからだ。さすがに卵は、もったいないのとお腹が膨れるので最後の店でのみ使用したが、それでも2軒目と3軒目の間に休憩を挟んでちょうど良かった。
なお出石皿そば巡りの秘訣は、「行列店」を避けること。
「近又」「よしむら」「官兵衛」といった評判の店は、昼食時でなくてもご覧のような待ち時間が発生する。それに三度も耐えるというのは、おそらく関西人にはできない苦行だ(笑)。
そこで筆者は、目抜き通りから少し離れたリピーターに人気のある店を選んだが、正解だった。
そもそも蕎麦処の出石は地域全体のレベルが高く、「うまい・まずい」の評価は相当「蕎麦」を食べ慣れない限り、つゆが自分の舌に合うかどうかで決まる。
最後に。
ここで冒頭の「出石皿そばの食べ方」を、もう一度思い出してほしい。
「出石皿そば巡り」は、2.3口で終わる「皿そば」を、1皿づつ違う食べ方をしなければ「基本通り」に味うことができず、まさに試食でしかない(笑)。
2軒目から並ぶのは讃岐でも同じだが、「讃岐うどんの食べ比べ」は、「あつあつ」「ぶっかけ」「釜揚げ」など、「異なるうどんの食べ方の名店」を周るのが常道だ。
だが、出石は「同じ店で異なるそばの食べ方を楽しむ」ところに意味がある。つまり、「食文化」の観点からすると両者は似て非なるものだ。
そう考えると、このキャンペーンは独自性を見失っているようにも見える。
ただこれで試食してみて、次はしっかり5皿を味わいたいと思う店を見つけるという楽しみ方もある。筆者にとって「桂」は、まさにそう思える店だった。
いずれにしても本気で出石皿そばを食べ比べするなら、何度かリピートして、一軒づつ「正しい食べ方」で楽しむほうがいいだろう。
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