車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家が、豊臣の淀城と徳川の淀城の違いとエピソードを紹介しています。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊歴史旅行ガイド
この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」がまとめた、「一度は訪ねてみたい日本の歴史舞台」を車中泊で旅するためのガイドです。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
~ここから本編が始まります。~
淀君が鶴松を生んだのは「淀古城」
淀城跡公園 DATA
淀城跡公園
〒613-0903
京都府京都市伏見区淀本町167
現地電話なし
開城時間:終日
入場料
無料
専用駐車場はないが、淀城の南側に「コンセプト淀城南コインパーキング」がある。
収容台数:18台
料金
8時~20時:200円/60分
20時~8時:100円/60分
平日・昼間最大料金:500円
土日祝・昼間最大料金:1500円
全日・夜間最大料金:300円
淀城跡公園の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2018.03.29
※「淀城跡」での現地調査は2018年3月が最新で、この記事は友人知人から得た情報及び、ネット上で確認できた情報を加筆し、2024年5月に更新しています。
「淀城」と「淀古城」 目次

今残る「淀城」は、江戸時代に徳川が建てた城
予習は旅を面白くする…
ことあるたびにそう書いてきた筆者が、伏見まで来たついでに”思いつき”で訪ねたのが「淀城」だった。
もちろん頭の中に浮かんでいたのは”「淀君」の「淀城」”だ。
だが写真の説明板には、まったく違う話が書かれていた。
実は現在見られる「淀城」本丸の石垣や内堀は、「豊臣」が滅んだ後に「徳川」によって築かれた「淀城」の遺構で、1623年に「徳川伏見城(木幡山伏見城)」の代わりとして造られたものだ。
西国に睨みを利かすために築城されたことから、江戸時代には「久松松平氏」「戸田氏」「稲葉氏」などの譜代大名が居城にしてきた。
ちなみに「淀城」の天守は、「秀吉」の異父弟にあたる「豊臣秀長」が築いた、「大和郡山城」の天守を移築したものだったとされているが、1624年に「家康」が「二条城」の天守にするため、再度移築された。
しかし「家光」が「二条城」の改修を行なった際に不要となり、再び「淀城」に戻されるが、1756年の落雷で焼失した。
それにしても、3度も移築できる技術が重機のない当時にあったというのは驚きだ!
このあたりの時代背景は、以下の記事にまとめているので、後ほどご覧いただければ、より深い理解が得られると思う。
淀君が鶴松を生んだのは「淀古城」
では「秀吉」が側室「茶々」の産所として築かせた「淀城」はどこにあるんだ?
その答えは1.2分で、Google先生が教えてくれた。
今は「淀古城」と呼ばれる豊臣時代の「淀城」は、「秀吉」の「伏見城(指月伏見城)」の築城後に廃城となっていた。
もちろん「淀古城」のパーツは「指月伏見城」に転用されたと推測されるが、その巨大な名城は「慶長伏見地震」によって無残にも倒壊してしまった。
江戸時代になり、「淀古城」の跡地には「妙教寺」が建てられた。
そのため「淀古城」の遺構はことごとく消滅し、今は妙教寺境内にある石碑を見るしかない。
「妙教寺」は「淀城」から北へ徒歩600m(約8分)のところにある。
「淀城」は、戊辰戦争のターニングポイント
ここから話は一気に幕末に飛ぶ。
「淀城」には、戊辰戦争に少なからずの影響を及ぼしたエピソードが残されている。
ガイドブックには、「妙教寺」の本堂が戊辰戦争で幕府側の大砲を被弾し、本堂東側の壁をつきやぶり、本堂内の柱も貫いた跡があるとよく記されている。
だがよく考えてみると、「淀城」を守る「淀藩」は幕府の味方で、砲弾を打ち込まれるはずがない。
この話のツボはここにある。
幕府軍は「鳥羽・伏見の戦い」で劣勢に立たされ、一度退却して難攻不落を誇る「淀城」で体制を立て直そうとしたのだが、なんと幕府の老中を務める「淀藩」稲葉氏の寝返りに遭って、入城を拒絶される。
その結果、拠点を失った幕府軍は淀の城下町や橋に火を放って、「大坂城」へ逃げ帰るしかなくなり、幕府軍の敗北が決定的となった。
この話は、2018年に放送されたNHK大河ドラマ「西郷どん」でも取り上げられていたので、ご存知の人も多いと思う。
冒頭に書いた通り、「淀城」は西国に睨みを利かすために築城された城だったが、皮肉にも最後は官軍の勝利に一役買うことになってしまった。
伏見にはその幕末にゆかりの深い場所がたくさん残されており、それをテーマにめぐってみるのも面白いだろう。
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