この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の中のひとつです。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。

中高年が感じる「京都の魅力」
筆者は「車中泊で旅する京都」というコンテンツをリリースしているのだが、中高年の車中泊と云うのは、宿泊手段であって目的じゃない。
つまり目的がなければする必要もない。
それがいい大人の車中泊というものだ(笑)。
筆者が京都に行く目的は、長きにわたって「仕事」だった。
それは現在進行形でもあるのだが、仕事でなくなれば、もう行かないのか?と聞かれると、そういう地域もあるが、京都は違うと答えてしまう(笑)。
そこで旅人として、改めて「京都に行く目的」を整理してみた。
今から40年ほど前…
筆者がまだ学生だった頃の京都は、修学旅行の中・高校生と、定年退職(当時はまだ55歳)したシニア世代が、現在のインバウンドのように、観光バスツアーで取っ替え引っ換えやってくる町だった。
そもそも働き盛りの20代・30代、そして思春期を迎える子供と、その学費に追われる40代が、古めいた京都の寺社仏閣に興味を示すほうが珍しい(笑)。
そしてそれは、今後もそう大きく変わることはあるまい。
つまり昔から京都は、日本人には「演歌」や「時代劇」のような町なのだ。
裏返して云えば、

さて、中高年をワクワクさせる京都のコンテンツの筆頭は、やはり「史跡」になると思う。
1000年の都と京都が呼ばれるのは、794年の平安京遷都から1868年の明治維新にいたる間、天皇が在住する朝廷があったからに他ならない。
ただその間でも、鎌倉時代と江戸時代の京都は政治の中心ではなかった。
ゆえに端境期を除けば、京都にはその時代の「これ!」と呼べるような史跡は禅寺くらいしか見当たらない。

ただ、それが「中高年をワクワクさせるコンテンツ」に化けるには、「触媒」になる何かが必要だった。

出典:NHK
その「触媒」が「大河ドラマ」だ。
我々は「平清盛」を通して平安時代を、そして「龍馬伝」からは、幕末の京都を学び直している。
歴史の授業と違い、大河ドラマは主人公の「生き様」とオーバーラックして、「時代」が描かれているから面白い。
実は中高年がワクワクする場所は、史跡というよりもむしろ、ドラマに登場する人々の「ゆかりの地」だと思う。
そしてNHKと京都の観光協会は、「そのこと」に気づいている(笑)。
ということで、京都が主な舞台となった大河ドラマのゆかりの地を、以下のページにタイトル別に収録した。
その次は、やはり桜と紅葉だ。
京都の桜と紅葉が美しい最大の理由は、「時の権力者たちに、愛でてもらうために植えられたもの」だからだ。
桜や紅葉が美しい場所は寺社仏閣に集中しているが、いずれも度重なる動乱に巻き込まれて一度は荒廃している。
それを再建したのは、時の「天下人」として莫大なお金を動かすことができた天皇であり武家だった。
それは他でも同じ。
桜と紅葉の名所で最初に頭に浮かぶのは、お殿様がいた「お城」だ(笑)。


その話は世界遺産にも共通している。
1000年間にわたってスポンサーが入れ替わり立ち代わり現れた京都に、そういう名勝が集中しているのは「むしろ当然」ともいえる。
1県で17件もの世界遺産があるのは京都だけというのはその証だ。
ぜひ行く時は、見事な庭や建築を再建してくれたスポンサーにも注目しよう。
最後はグルメ。
仕事がら、有名店にも足を運んでいるが、どちらかと云えば食べることより料理が好きな筆者の関心は、「ソウルフード=郷土料理」のほうにある。









