この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の中のひとつです。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
雨や雪、また風の強い日でも楽しめる屋内施設
宍道湖は有数の水鳥の渡来地で、冬は240種以上の鳥類が観測され、特にガン・カモ類は毎年40,000羽を超える数が飛来する。
マガン、キンクロハジロ、スズガモについては、全世界の個体数の1%以上にもなるというから驚きだ。
宍道湖にはそれら鳥類の餌となるスズキ・ボラ・シラウオ・ワカサギ等の魚類や、ヤマトシジミ・イシマキガイ・カワザンショウガイ等の貝類が生息していることもあって、2005年(平成17年)には宍道湖国指定鳥獣保護区(集団渡来地)に指定され、同年に近接する中海とともに、ラムサール条約にも登録されている。
ただ、マガンやハクチョウを日中に湖上で見ることは難しい。
彼らは明るい時間帯に「たんぼ」で落ち穂を食べ、夕暮れになると天敵のキツネに襲われないよう、ねぐらの斐伊川河口に戻ってくる。
さて、旅行者に日中のマガンやハクチョウの居場所を教えてくれるのが、ホシザキグリーン財団が運営する「宍道湖グリーンパーク」だ。
野鳥監察舎は無料で、中にはフィールドスコープが用意されており、雨や寒い日でも快適に観察ができる。
滅多にお目にかかれない、ミサゴの捕食シーンはここで撮影した。
また、敷地には池もあり、壁の小窓から密かに観察できるようになっている。
この池のアイドルはカワセミ。
ただし、拳ほどの大きさしかないので、肉眼ではまず見つけられない。
2018年12月 追記
久々に訪ねてみると、野鳥観察舎は工事中になっていた。
2019年4月のオープンに向けて、大規模なリニューアルを行う予定らしい。
これまでは平屋だったので、もし最上階や屋上から観察できることになれば、よりダイナミックな写真が撮れるかもしれない。詳細は以下のオフィシャルサイトで確認を。
宍道湖グリーンパーク オフィシャルサイト
島根県出雲市園町1664-2
☎0853-63-0787
入場無料
営業時間 9:30~17:30・火曜定休
駐車場 有り 8台 ※満車時は湖遊館の無料駐車場を利用
さて。野鳥からは離れるが、もうひとつ紹介しておきたいのが、隣に建つ「宍道湖自然館ゴビウス」だ。
ゴビウスは島根県の川や湖に生息する生きもの、約180種類・9000点を展示している体験学習型の水族館で、基本的にはファミリー向け。
ゆえに大人が500円支払ってまで行く価値があるかどうかは、以下の魚に関心があるかどうかで決まる。
”幻の魚”とも呼ばれる「ゴギ」。
中国地方に生息するイワナの一種だが、生息環境の破壊や、放流されたイワナやアマゴとの交雑により、種の存続が危ぶまれている。
ニッコウイワナによく似ているが、斑点が頭部にまで至っているのが特徴だ。
これが日本各地に生息しているニッコウイワナ。頭部を見ると違いがわかる。
こちらは「ゴギ」ではないが、「キリクチ」と呼ばれる紀伊山地に棲む同じイワナの亜種。
もちろんいずれも、「借り物」ではなく筆者の仕掛けに喰らいついてきた、正真正銘の天然魚だ(笑)。
それを四苦八苦することなく、目の前で直に見られるというのが、水族館の実に素晴らしいところなのだが、それは子供には分からない。
☎ 0853-63-7100
営業・開館時間 9時30分~17時(入館は16時30分まで)
定休日 火曜日
入館料金 大人/500円 小・中・高/200円 幼児/無料