車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家がまとめた、2023年5月現在の「三朝温泉の概要と車中泊事情」に関する情報です。
「クルマ旅専門家」・稲垣朝則が、10年以上かけてめぐってきた全国の温泉地を、「車中泊旅行者の目線」から再評価。車中泊事情や温泉情緒、さらに観光・グルメにいたる「各温泉地の魅力」を、主観を交えてご紹介します。

三朝温泉は、世界有数のラドン含有量を誇る温泉療養地
「三朝温泉」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2013.09.15
2014.09.14
2018.12.01
2022.05.03
※「三朝温泉」での現地調査は2022年5月が最終で、この記事は友人知人から得た情報及び、ネット上で確認できた情報を加筆し、2023年4月に更新しています。
三朝温泉の概要と車中泊事情
三朝温泉の歴史と概要
鳥取県にある三朝温泉は、江戸時代に商都として栄えた倉吉の町から、10キロほど離れた静かな山あいに湧く温泉地で、開湯は平安時代末期の1164年と伝えられ、850余年の歴史を誇る古湯だ。
「三朝温泉」の由来になった「三たび朝を迎えると元気になる」という伝説は、世界有数のラドン含有量を誇るラジウム温泉から生まれた。
ラドンはラジウムが分解されて生じる弱い放射線で、体に浴びると新陳代謝が活発になり、免疫力や自然治癒力が高まることがわかっている(放射線ホルミシス効果)。
そのため三朝温泉の周辺には、温泉療法を実施する病院や研究施設が揃い、そのメッカとしての顔もある。
温泉本通りには、長期滞在者向けの旅館や自炊宿も見られ、観光と療養という両極性を今も保ち続けている。
シンボルは「河原風呂」
「河原風呂」は三朝橋のたもとにあり、橋からはご覧のとおり丸見えだ。
塩原温泉「もみじの湯」・下呂温泉「噴泉池」・長湯温泉「ガニ湯」など、名のある温泉地の町中を流れる河畔には、「名物」あるいは「シンボル」と呼ばれる露天風呂が残されているが、三朝温泉の「河原風呂」もそんなおゆ場のひとつ。
他と同じく「開けっぴろげ」で、昔ながらの温泉風情をムンムンと漂わせている。
「河原風呂」は、お風呂というより温泉客と地元の人々の社交場に近い。
なお、三朝温泉には他にも2軒の男女別になった公衆浴場があり、日帰りや車中泊の旅人も、気軽に「放射線ホルミシス効果」を体験できる。
メインストリートは、ノスタルジックな「温泉本通り」
「重要伝統的建造物群保存地区」のような統一感はないが、代わりに創意工夫が凝らされた手作り感と、温泉町特有の生活感に満ち溢れている。
情緒があるのは、昼間よりあたりが見えづらくなる夜だ。
ただ素通りしてしまえば、徒歩でも片道5分ほどの長さしかない。
古い温泉地に付き物の「射的場」。「いずみ」は昭和36年に開業の老舗だ。
三朝温泉は、「日本遺産」最初の認定地

出典:三朝館
「三朝温泉」は、2015年度にスタートした「日本遺産 魅力発信事業」において、全国で最初の認定を受けている。
「日本遺産」は、国内外でも特に海外からの観光客を誘致促進するため、文化財をツールにしたストーリーでつながるエリアやポイントを認定する制度で、要は文化財を積極的に活用して、地域の振興を図ろうという試みだ。
ゆえに文化遺産そのものの価値ではなく、文化財を通じて地域の歴史的魅力や特色を伝えるストーリー性が重視されている。
三朝温泉に描かれたストーリーは、「六根清浄と六感治癒の地~日本一危ない国宝鑑賞と世界屈指のラドン泉~」。
すなわちここには、国宝の三徳山・投入堂が大きく寄与している。
ただ正直云って車中泊の場合、三徳山・投入堂に参拝しない限り、狭い三朝温泉の中で”間が持つ”のは半日程度だろう。
後述するが、三朝温泉界隈にはゆっくり寛げる車中泊スポットが見当たらない。
三朝温泉は、10キロ圏内に倉吉と東郷・はわい温泉がある
というようなわけで
クルマ旅の観点から三朝温泉を捉えると、隣接する東郷・はわい温泉と合わせて「倉吉温泉郷」のように考えるといい。
地図を見れば分かるが、東郷湖の畔に湧く「東郷・はわい温泉」も、白壁土蔵群で有名な「倉吉」も、三朝温泉からは僅か10キロほどしか離れていないところにある。
そうすると、名湯の「三朝温泉」、観光の「倉吉」、そして車中泊ステイの「東郷湖」と、それぞれの土地の特性がハッキリしてくる。
幕末から明治に栄えた「商都」倉吉。
倉吉には、倉敷の美観地区や飛騨の高山と同じく、白壁土蔵が眩しい重要伝統的建造物群保存地区が打吹玉川(うつぶきたまがわ)に残されている。
筆者はこれまで日本各地の「古い町並み」をずいぶん歩いてきたが、その規模と賑わい、また町並みの美しさにおいて、倉吉は間違いなくトップクラスにランクされる。
特に町はずれにひっそり佇む「倉吉淀屋」と「豊田住宅」には必見の価値がある。
東郷湖の畔に湧く、風光明媚でエキゾチックな「東郷・はわい温泉」
東郷湖周辺には、中国庭園と雑技団のアクロバティックなショーが楽しめる「道の駅 燕趙園」と、のどかな湖畔に芝生が広がる、無料の「めぐみのゆ公園」があり、車中泊環境は三朝温泉よりも格段に恵まれている。
三朝温泉の駐車場&車中泊事情
まず無料で利用できるのは、「ブランナールみささ」の隣にある写真の立体駐車場の屋上。「三朝町観光駐車場」として無料開放されている。
ただし、日帰り客が温泉街を散歩するための臨時的な駐車場だけに、トイレもなく、ここで寛ぐのはキャンピングカーでも窮屈そうに見える。
また町営宿舎の反対側にも無料の観光駐車場がある。いずれも温泉街からは川を挟んでいるため多少遠いが、橋は目の前にあり、不便さは感じない。なにより無料というのはありがたい。
また現在は温泉街に近い川の対岸に、有料の「三朝温泉多目的駐車場」ができている。ただこちらにもトイレはなく、車中泊には使いづらい。
三朝温泉多目的駐車場
1時間無料 以降30分毎100円(大型車200円) 最大24時間1,000円
いずれにしても、冒頭に記した通り、狭い三朝温泉の中で「間が持つ」のは半日程度だと思う。であれば、なおさらお金を払ってまで温泉街の近くで車中泊をする必要性は感じない。
どうしても車中泊が必要なら、少し離れたところに「道の駅 三朝・楽市楽座」があるにはあるが、とてもお勧めできるものはないと思っている。
三朝温泉アクセスマップ
三朝温泉 車中泊旅行ガイド
鳥取県 車中泊旅行ガイド
日本全国 車中泊温泉旅行ガイド
車中泊の旅人には、温泉の効能よりも知りたいことが山ほどある。


車中泊でクルマ旅 総合案内
クルマ旅を愉しむための車中泊入門

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