【2022年10月更新】
車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家がまとめた、湯の峰温泉公衆浴場の紹介です。
「クルマ旅専門家」・稲垣朝則が、10年以上かけてめぐってきた全国の温泉地を、「車中泊旅行者の目線」から再評価。車中泊事情や温泉情緒、さらに観光・グルメにいたる「各温泉地の魅力」を、主観を交えてご紹介します。

一般湯との違いは、源泉100%か加水しているか
現地に行ったことのない人が、インターネット検索で様々なウェブページを見る限り、湯の峰温泉公衆浴場の構成は、たぶん「分かるような・分からぬような」気がすると思う。
特に「くすり湯」については、熊野本宮観光協会のオフィシャルサイトにさえ、「一般湯」との違いが記されていない。
そこで、分かりやすく紹介しよう。
なお、その前に湯の峰温泉の歴史とウンチクを語ると、本論に辿りつくまでに相当時間がかかるので(笑)、それは別立てで以下のページにまとめてある。
最初に整理すべきは「つぼ湯」の存在だ。
どう考えても、世間一般的には公衆浴場の部類に入るわけだが(笑)、湯の峰温泉では「この地で云う公衆浴場」とわかりやすく区別するため、あえてその「くくり」には入れていない。
理由のひとつには、源泉が違うこともあるのだろう。
ゆえに理解としては、「湯の峰温泉にある特別な公衆浴場」でいい(笑)。
ちなみに世界遺産に登録されているのは、「湯の峰温泉」ではなく、その中の「つぼ湯」だけだ。
さて、「一般湯」と「くすり湯」の違いだが、加水しているのが「一般湯」で、「源泉を加水せずに適温まで覚ましたお湯」を「くすり湯」と呼んでいる。
共同浴場に渡る手間の「湯本橋」のたもとには、「湯筒」と呼ばれる源泉口があるが、湯の峰温泉共同浴場の源泉温度は約90℃と書かれており、そのままでは入湯できない。
察するに、源泉かけ流しと自然に冷ますという手間が、「一般湯」の400円に対し、「くすり湯」が600円という価格設定になっている理由だ。
だが筆者のような凡人は、「温泉成分が濃い源泉だから効くという」より、「何か特別な成分が加えられているから効く」と勘違いをしてしまう。
その意味から云えば、「くすり湯」というネーミングは誤解を招きやすい悪名だと思う(笑)。
では肝心のお湯のクオリティーはいかがなものか?
湯の峰温泉の泉質は、含硫黄―ナトリウム―炭酸水素塩・硫酸塩泉。
火薬に似た独特の硫黄臭を感じる透明なお湯には、湯の花も舞っていた。
温泉分析書に記された液性を示すpH値は7.8の弱アルカリ性。
いわゆる「美肌の湯」の類になるが、炭酸水素ナトリウムに加え、硫黄とふんだんなメタケイ酸の成分により、数値の上でも質の高いお湯であることが伺える。
その点では「くすり湯」と呼ばれても違和感は感じない。
筆者は朝の早い時間に入湯しているのだが、ウェブサイトの中には「白濁している」という表記と画像があるので、時間が経てば白く濁るのだろう。
どうやらそれは「つぼ湯」も同じらしい。
余談になるが、よく「つぼ湯」の紹介には「1日のうちに7度色が変化する」と書かれているが、30分交代の貸切風呂でそれが確認できるのは、管理人以外にはない。
としたら、受け売りの見たこともない話を平気で載せるウェブページを信用することができるだろうか(笑)。
ちなみに、この写真はリニューアル前の湯の峰温泉公衆浴場。
老朽化により、2020年8月から建替え工事が行われていた湯の峰温泉「公衆浴場」は、2022年4月に無事リニューアルオープンを果たした。
新しくなった現在の公衆浴場。
なお「くすり湯」には、共同浴場のすぐ近くにある「湯の峰温泉 伊せや」でも入湯できる。
料金は600円と多少高めだが、シャワーもシャンプー・リンスもついており、女湯には露天風呂もある。
旅行気分で温泉風情が味わいたいという人には、殺風景な共同浴場よりもこちらのほうが嬉しいのでは。
熊野本宮温泉郷



世界文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」 車中泊旅行ガイド


車中泊でクルマ旅 総合案内
クルマ旅を愉しむための車中泊入門

この記事がよく読まれています。




