「クルマ旅専門家」・稲垣朝則が、10年以上かけてめぐってきた全国の温泉地を、「車中泊旅行者の目線」から再評価。車中泊事情や温泉情緒、さらに観光・グルメにいたる「各温泉地の魅力」を、主観を交えてご紹介します。
「日本最古の露天風呂」は、南紀白浜温泉の代名詞
院政を築いた白河院も、暴れん坊将軍でお馴染みの徳川吉宗公も入ったという、日本最古の露天風呂が「崎の湯」だ。
1000年を超えて、今もなお源泉かけ流しが続く豊富な湯量と、硫黄の香り、そして何より波しぶきがほとばしる豪快なロケーションを誇る、南紀白浜温泉のランドマークは、古文書に記された「湯崎七湯」の中で、唯一残る湯壷とされる。
ただ当時の「崎の湯」は、砂岩に浸食された窪みが自然の湯溜りになっており、そこに海を眺めながら入浴していたという。
太平洋の荒波が迫る現在の湯殿は、2004年にリニューアルされた時に新しく作られたもので、よりワイルドで広々した露天風呂へと変貌した。
こちらが女湯。崎の湯は覗かれる心配がないよう、男湯と女湯が「交代制」ではなく、固定されている。
女湯には一番手前に檜の浴槽があり、階段状に岩風呂と磯に面した露天風呂が続いている。
改装と同時に現在の脱衣所が設けられ、料金は無料から有料に変わった。
もっとも、日本最古の露天風呂を将来にわたって維持存続していくためには、それも妥当な措置といえるだろう。
ちなみに脱衣所に掲示されている平成16年1月作成の温泉分析書によると、掛け流されるお湯はpH8.4のアルカリ性で、メタケイ酸を90.6ミリグラム含んだ、かなり質の高い「美肌の湯」だ。
なお男女ともに、ここではシャンプー・リンスの使用は禁止。
髪を洗いたい人は同じ共同浴場の「牟婁の湯」にシャワーがある。
【利用データ】
- 営業期間:通年
- 営業時間:7月~8月/7時〜19時、10月~3月/8時〜17時、4月~6月・9月/8時〜18時
- 定休日:無休(天候不良、メンテナンス等による臨時従業あり ※要問合せ ☎0739-42-3016)
- 入浴料:500円 (3歳以上)
【施設概要】
- 業態 :日帰り温泉施設
- 泉質 :ナトリウム塩化物炭酸水素塩泉
- お湯:源泉掛け流し
- お風呂:男女別露天風呂
- 休憩スペース :なし
- 飲食施設:なし
- 駐車場 :あり14台(無料)
- 鍵付きロッカー:あり(無料)
- シャンプー・なし(使用不可)
- ドライヤー:なし
アクセスと進入路
県道34号線から写真の細い道に入る。下り道からは大きくUターンが必要。「崎の湯」はその1本道の終点にある。
駐車場は無料でトイレも設置されているが、営業時間終了後は閉鎖される。
その時点で退出させられるため、車中泊はできない。
なお、進入路の上に松の木がせり出しており、バスコンやジルクラスのキャブコンは、運が悪いと対向時にその枝で屋根をこする場合がある。
特に自動追尾のBSアンテナなどを搭載する車両は、白良浜方面の海岸沿いにある公共駐車場を利用するほうが安心だろう。
白浜温泉 車中泊旅行ガイド
車中泊ならではといえる、南紀白浜温泉の愉しみ方をご紹介。