この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。

那智山は、いちばん世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の魅力が感じられる場所
熊野那智大社【目次】
大門坂
那智大社の表参道まではクルマでも登れるが、時間に余裕があるなら、白河院や後白河上皇、さらにはその「お共」をしていた平清盛らが歩いた、熊野古道「大門坂」の石畳を踏みしめてみよう。
大門坂は熊野那智大社に通じる参道で、熊野詣が栄えた当時の面影がほぼそのまま残っている。
約600メートルにわたって続く石畳の坂の先には、青岸渡寺と熊野那智大社に通じる現在の参道と、那智御滝ヘ向かう道との分岐点がある。
両方回ると約2.5キロ、ゆっくり歩いて1時間ほどの散策だ。
特に夏休みや連休時の表参道周辺は、駐車場の空き待ちで大渋滞が予測される。
抜け道がまったくないだけに、その時も大門坂無料駐車場にクルマを置き、古道を歩く方が賢明だ。
大門坂の入口手前にある無料の大門坂駐車場にはトイレが用意されており、車中泊も可能。しかも近くに日帰り温泉まである。
なお、坂の途中にある大門坂茶屋では、平安衣装をレンタルしている。
衣装は子ども用から男性用まで揃っており、着付けも簡単だ。
料金:1時間2,000円・2時間3,000円
9時~16時(受付最終15時)※7名以上は要予約
大門坂茶屋
☎073-555-0244
熊野那智大社
大門坂を登り終えたら、今度は現代風の石段が続く表参道に入り、直接熊野那智大社を目指そう。
熊野三山のひとつにあたる熊野那智大社は、2004年(平成16年)に登録された世界文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産。
主祭神は熊野夫須美大神(くまのふすみのおおかみ)だが、御神体は那智御滝(那智の滝)だ。
現在は山の上に社殿があるものの、元々はこの滝の前に祭祀場があったようで、別社とされる飛瀧神社(ひろうじんじゃ)は、その当時の名残とされる。
いっぽうこちらは、熊野那智大社に並び建つ「那智山青岸渡寺(せいがんとじ)」。
熊野は日本古来の神道と、外来の仏教を1つの信仰として考える神仏習合の地として知られ、熊野詣が盛んになった12世紀後半には、観音信仰の重要な拠点になった経緯を持つ。
その背景にあるのが、インドの僧・裸形上人(らぎょうしょうにん)が那智の滝で修行を積み、草庵を作ったという史実だ。
明治政府の神仏分離令により、熊野三山の他の2社では仏堂が廃されたが、那智では観音堂が残され、やがて青岸渡寺として復興され、近畿二府四県と岐阜県にまたがる、西国三十三所の第一番札所とされている。
こうしてみると、熊野三山といえども、信仰の歴史には幾度ものターニングポイントがあったことが見えてくる。
那智山青岸渡寺の赤い三重塔と那智の滝。
ここは絶好のフォトスポットだが、晴れた日は山の影によるコントラストが生じるので、時間をよく選ぶ必要がある。
特に冬は、午後3時を過ぎると那智御滝に影がかかるので要注意。
この写真がお目当てなら、曇りの日に行くほうがいい。
那智御滝
この滝の正式名称は「一の滝」。
落差133m、銚子口幅13m、滝壺の深さ10mの「落差日本一」を誇る名瀑で、日本三大名滝のひとつに数えられている。
「那智御滝」とは、背後に広がる国の天然記念物に指定された那智山原始林の中にある、瀧篭修行の行場として扱われた48の滝の総称とのこと。
「一の滝」が見やすいのは、300円支払って入場する「お瀧拝所」。
ここまで来たら目の前でその迫力を感じよう。
なお飛瀧神社からは、車道をくだらなくても大門坂に出られる道がある。
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世界文化遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」 車中泊旅行ガイド
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※記事はすべて外部リンクではなく、オリジナルの書き下ろしです。
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