この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の中のひとつです。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
リピートしたくなるほど、うまい店
「出雲」という冠がつくだけに、観光客は「出雲そば」といえば「出雲大社」の近くが本場になると思いがちだが、実はそのルーツは松江城にある。
そこで松江の名店「ふなつ」を訪ね、噂のそばを実食してきた。
ふなつの割子そばは、これまで食べたどこの出雲そばよりも太くて粒が残る、いわば「田舎そば」に近いものだった。
さすがに最初は驚いたが、食してみると実にウマい!
これはどの紹介サイトにも書かれている話で、いまさらという感じだが(笑)、店主は奥出雲にある専属農家へ蕎麦の栽培に出向き、収穫された玄ソバを保存し、その日の分量だけ自家製粉しているという。
オーダーしたのは、おすすめと書かれた「おろし割子そば」。
辛子大根が十割蕎麦ならではの風味を引き出し、そば自体に甘みを感じるほど濃い味わいを醸していた。
筆者は福井県の郷土料理「越前おろしそば」が好きなので、出てくる前におおよその味は想像できていたのだが、それを遥かに凌駕する出来栄えは、まさに「恐悦至極」。
そのうえ、珍しい蕎麦のぜんざいとお餅までついて980円なのだから、そりゃ値打ちがわかるリピーターが増えるわけだ。
店では気づかなかったが、「割子そば」に使われる殻付きの粗挽きそばの他にも、殻無しで喉越しのいい更科そばを使った「ざるそば」があるというので、筆者もリピートして、次回はそちらを食べてみたいと思っている。
なお、入店直後の午後1時30分すぎに、行列店の証ともいえる看板が玄関に掲げられた。
我々は運良く「滑り込みセーフ」。
息子だけ先に店の前で下ろし、送り込んだ作戦が功を奏した。
最後に。
他府県からクルマで訪れる旅人にとって、この店の難点は駐車場だ。
過去の経験上、もともと城下町だったところにある店には、駐車場がないところが多いので、それも合わせてチェックしておいたのだが、案の定、店と駐車場は離れたところにあった。
紹介サイトには駐車台数8台と記されていたので、なんとかなるかと思っていたが、駐車場はなんと3ヶ所に分散しており、マゴマゴさせられた。
店側がホームページを用意してくれれば、事前にそのことを知ることもできるのだが、この手の店にはそれが必須に近いサービスだという認識がない(笑)。
もちろん「食べログ」にも、そこまでの情報は載っていない。
筆者が停めたのは上のマップの「ふなつ」の上のPだが、駐車場には案内表示がなく、利用できるのは一番奥の4区画のみになる。
それよりも停めやすいのは、マップの「マックス山陰」の駐車場だ。
この写真は「ふなつ」の前から撮影したものだが、「マックス山陰」の駐車場はクリーニング店の反対隣にあり、車止めに「ふなつ」と書かれた区画が5台分用意されている。