【2023年3月更新】
車中泊旅行歴25年で近畿在住のクルマ旅専門家がまとめた、「大津サービスエリア」の車中泊に関する記述です。
この記事は車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊旅行における宿泊場所としての好適性」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。


2022年4月にリニューアルされ、コインシャワーが設置された大津サービスエリア下り線(京都・大阪方面行き)は、名古屋方面から名神高速道路で京都観光に行く際の前泊地に最適。
大津サービスエリア【目次】
大津サービスエリアのロケーション
タイミングさえ合えば、このような素晴らしい琵琶湖の光景に出会えるのが、名神高速道路の「大津サービスエリア」だ。
滋賀県大津市にあるため、近畿地方以外にお住まいの車中泊の旅人は、琵琶湖の観光時に使える車中泊スポットと思うかも知れないが、大津は思いのほか琵琶湖の名所から離れている。
それより、東からアクセスする際の「京都の入口」と受け止めたほうがいい。
名神高速道路の「大津インター」に隣接する「大津サービスエリア」は、次の「京都東インター」まで10分もかからない。
さらに「京都東インター」から、東山に近い岡崎の南禅寺までは約6.5キロ、空いていればクルマで20分ほどで到着できる。
大津サービスエリアの歴史と構造
「大津サービスエリア」は、1963年7月の名神高速道路の部分開通と同時に設置された”日本で最初サービスエリア”で、インターチェンジに休憩施設のサービスエリアが併設している。
今から半世紀以上前に誕生した「大津サービスエリア」では、大阪方面(下り線)と名古屋方面(上り線)の両方とも、サービエリアからインターチェンジに出ることはできるが、逆にインターチェンジからサービエリアに入ることはできない。
つまり「大津サービスエリア」では、大津インターから流入しても、サービスエリアの駐車場で車中泊をすることは叶わない。
NEXCO西日本は、このような不便な構造になっている理由を、当時は高速道路を走行するドライバーが、休憩のためだけに利用する施設として整備されたため、インターチェンジから流入直後に、サービスエリアを利用する人があることを想定していなかったとしている。
大津サービスエリア・下り線(京都方面行き)の設備
1979年の改築から30年を経た2010年から2013年にかけて、「大津サービスエリア」の下り線では一度大規模なリニューアルが行われている。
現在も使われている「パヴァリエ びわ湖大津」は、その際に名付けられた呼称だ。
さらにそれから10年を経た2022年3月。
同じ下り線の建物の2階部分に、シャワーとコインランドリーの設備を持つ「ドライバーズコーナー」が新設された。
売店の奥にはマッサージチェアが置かれ、漫画と雑誌を無料で閲覧できるレストコーナーが完備しており、特に「おひとりさま」の車中泊旅行者にとっては、このうえなく充実したリラックス空間が用意されている。
本箱には筆者も愛読した、原潜で日本が世界を席巻する「沈黙の艦隊」が!
まさにアラ還のハートをそそる、そのセレクションに感激した(笑)。
加えて400円で16分間稼働する、このマッサージチェアの威力は絶大だった。
飲食コーナーはセルフ方式になっており、おでんや若鳥唐揚げ・マカロニサラダなどの総菜と、ごはんやみそ汁などを自由に組み合わせた、自分好みの定食を作ることもできるという。
さらに弁当も格安で販売しており、もちろん電子レンジでチンできる。
そしてカウンターにはコンセントまで備わっており、これも無料で利用できる。
ちなみに「ドライバーズコーナー」の外は、フードコートになっている。
ここには、道の駅にあってほしいと思う設備が、すべて揃っている気がした。
既に東名及び新東名高速道路のSAでは、同じようなサービスを「天神屋」が行っており、ここもそうかと訪ねたところ、直営で行われているとのこと。
ただ上り線SAとは連絡通路がなく、行き来することはできないそうだ。
建物の3階には、琵琶湖が展望できるテラスもある。
今度は駐車場について。
「ドライバーズコーナー」がある建物の前には大型車用のレーンがあり、想像通り夜もエンジンブーブーだ。
車中泊の旅人が注目すべきは、離れになったこちらの小型車専用の駐車場。
ここは奥に専用のトイレまであるので、一晩中喧しいトラックから、かなり距離を置いて寝ることができる。
ちなみに大津まで来なくても、名古屋寄りにある「多賀SA」にはお風呂とシャワー、また「草津パーキングエリア」にも「シャワーステーション」がある。
いずれにしても前泊の場合は、京都まで来るより名神高速上のほうが便利だろう。
「大津サービスエリア・下り線」の車中泊快適度
大津サービスエリア・上り線(名古屋方面行き)の設備
吹田に住んでいる筆者がここに立ち寄るのは、お土産を調達する必要がある時くらいのものだが(笑)、上り線・名古屋方面行きの「大津サービスエリア」では、大阪人なら誰もが知るあの名物が手に入る。
サブバッテリーをリチウムイオンに載せ替えた今は、電子レンジがふんだんに使えるので、アツアツをフィールドでご賞味いただけるとあって好評だ。
551の蓬莱 オフィシャルサイト
さて。かつてはコストからすると、京都観光を目指す近畿の旅行者にとっても、上り線・名古屋方面行きの「大津サービスエリア」は、車中泊スポットの選択肢になっていた。
名神高速の「京都東インター」から「大津インター」間の通行料は、2020年4月現在で270円。
筆者がイチオシする「キョウテク京阪三条駅パーキング」は、確かに利便性は高いが、駐車料金は平日の昼間で最大1300円。土日祝日は1800円、ただし20時以降は翌朝7時まで、全日1時間200円と改定され、実質的な車中泊料金は値上がりしている。
つまりコストを見れば、「大津サービスエリア」のほうがお得で、週末に至ってはほぼ1/10になる。
「大津サービスエリア・上り線」の車中泊快適度
だが下り線(名古屋方面行き)がリニューアルされ、シャワー設備ができたことで、多少お金はかかるが、車中泊の利便性は上り線のほうが断然良くなった。
しかし前述したように、京都からシャワー設備のある下り線の「大津サービスエリア」の行く場合は、ひとつ先の「瀬田西インターチェンジ」から、名神高速道路の下り線(京都方面行き)に乗る必要がある。
せめて「多賀サービスエリア」のように、徒歩で上下線のサービスエリアが往来できるようになるといいのだが…
また「大津サービスエリア」には、高速道路外から施設が利用できる「ぷらっとパーク」はない。車中泊旅行者からすると、ここも改善を期待したいところだろう。
なお名古屋方面に向かう途中で車中泊をする場合は、「草津PA」に「シャワーステーション」がある。
琵琶湖 車中泊旅行ガイド
「アラ還」からの車中泊


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