この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊旅行における宿泊場所としての好適性」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。

道路事情と地域特性を知らずに、奈良市内を車中泊で旅することは難しい
奈良市周辺の車中泊事情とお勧め車中泊スポット【目次】
1泊2日で「奈良公園」「斑鳩」「吉野・明日香村」をまわるなら
奈良市内の道路事情
意外かもしれないが、車中泊をするしないにかかわらず、ハンドルを握る京阪神在住者にとって、「奈良は京都よりも厄介」なところだ。
その最大の理由は道路にある。
特に大和高田から橿原市内一帯は、昔から掘れば何かの遺跡が出ると云われてきた地域で、今なお道路整備が進んでいない。
そのため道は狭くて角だらけ…
おかげで幹線道路は渋滞がちで、まったく思うようには進まない。スマホだとわかりにくいが、この通りには、他府県なら中央分離帯があるようなロードサイドで見かける「スシロー」がある(笑)。
ゆえに奈良を観光する場合は、距離ではなく、地域性から車中泊地を吟味するほうがいい。
奈良市内の観光エリア
大まかに云えば、奈良の市内と近郊の見どころは、東大寺や春日大社のある「奈良公園エリア」、聖徳太子ゆかりの法隆寺がある「斑鳩(いかるが)エリア」、そして美しい壁画が描かれた古墳と世界遺産を要する「明日香村・吉野エリア」の3つに分けられる。
これは推量だが、たぶんこの3つのエリアの総面積は小豆島より狭いと思う。
だが「観光スポットの密度」は雲泥の差だ。早い話、見どころの数と深さが圧倒的に違う。
上記の2点から分かる通り、奈良の観光には想像以上に時間がかかる。
旅先別のお勧め車中泊スポット
このマップを見れば、こんな狭いエリアに「いったいどれだけ道の駅を作れば気が済むの?」と、云いたくならないか(笑)。
実は昔から、斑鳩と奈良公園には「大和路へぐり」、吉野山と明日香村をまわるなら「大淀iセンター」で車中泊をすれば、奈良は「古都」足りた。
それは現在でも同じなのに、近隣に次々と新しい道の駅を作るものだから、旅人は迷い戸惑い、道の駅は客を食い合い、こうしてそれを整理して旅をしやすくする面倒な仕事が増える。
「道路利用者」から見れば、あまり賢い人間がやることとは思えない「税金の無駄遣い」にも感じるが、道の駅には他にも目的があるわけで、作られてしまった以上、それを「旅人」なりにうまく利用することを前向きに考えよう。
1泊2日で「奈良公園」「斑鳩」「吉野・明日香村」をまわるなら
立地と道路事情の良さから云うと、2020年4月時点のお勧め車中泊地は「道の駅 レスティ唐古・鍵」になるだろう。
2018年にできたこの道の駅は、施設が新しく、物販・飲食も充実している。
1泊2日で「奈良公園」「斑鳩」をまわるなら
施設は古いが、斑鳩に近い「道の駅 大和路へぐり」がやはり便利だろう。
ただ、「道の駅 レスティ唐古・鍵」のようなサービスを期待していくと、ガッカリするかもしれない。
1泊2日で「吉野・明日香村」をまわるなら
新しく作られた「道の駅 飛鳥」は、その名の通り明日香村には近いのだが、近鉄の電車駅と隣接しており、「道路利用者の休憩施設」という観点から見ると、車中泊に適しているとはいい難い。
筆者が車中泊に適していると判断するのは、施設は古いが物販・飲食に力を入れている「道の駅 吉野路大淀iセンター」のほうだ。
ただし桜の季節に行くなら、「お花見車中泊」が楽しめる「道の駅 吉野路黒滝」をお勧めする。
1泊2日で「明日香村」だけをまわるなら
明日香村には歴史的な見どころに加えて、田園光景が広がっている。
それを2日に分けて周れる人には、その風景に抱かれて車中泊ができる無料駐車場がある。
1泊2日で「吉野」だけをまわるなら
トイレはないが、麓を流れる吉野川の河川敷に、車中泊キャンプができる無料の駐車場がある。
番外編/聖徳太子に興味がある人には
大阪との県境に近い「道の駅かつらぎ」は、聖徳太子にゆかりの深い「太子町」からほど近い。
またそこから4キロほどのところには、「道の駅 ふたかみパーク當麻」という居心地のいい道の駅がある。
奈良 車中泊旅行ガイド

車中泊でクルマ旅 総合案内
クルマ旅を愉しむための車中泊入門

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