【2023年3月更新】
車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家がまとめた、「月ヶ瀬梅林」の概要と駐車場及び車中泊に関する記述です。
この記事は車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊ならではの旅」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。

車中泊で梅見ができる「月ヶ瀬梅林」
月ヶ瀬梅林【目次】
月ヶ瀬のロケーション
奈良県の北東端に位置し、京都・三重との県境に近い月ヶ瀬は、かつては独立した「月ヶ瀬村」だったが、2005年に奈良市に編入された。
この地では江戸時代から梅栽培が盛んで、現在は高山ダムに堰き止められてできた、「月ヶ瀬湖」の畔から山腹にかけて、1万本以上の梅が植わる関西屈指の梅林として、その名を馳せている。
月ヶ瀬梅林のルーツは、江戸時代の「烏梅(うばい)」づくり
月ヶ瀬で本格的な梅の栽培が始まったのは、幕府直轄の天領となった江戸時代とされている。
狭隘な土地であるため稲作が難しく、米に代わる収入源として、漢方薬であり紅染めに欠かせない媒染剤となる「烏梅」を作り始めたのがきっかけだった。

出典:Wikipedia
江戸時代末期になると特権階級の人々が愛用した「紅花染め」の需要が高まり、「烏梅」は京都や大阪の問屋で飛ぶように売れ、村人は競うように畑や山を開いて梅を植樹した。
その結果、あたり一面は梅で埋め尽くされ、五月川の渓谷美と相俟った現在の美しい月ヶ瀬梅渓が誕生する。
ただ近年は、梅に代わり大和茶の生産が農業の主役になっている。
とはいえ、大正11年に史跡名勝天然記念物保存法第1条により、奈良公園及び金沢の兼六園とあわせ、その第1号の指定を受けた「名勝月瀬梅林」の景観は、今なお色褪せることなく守り続けられている。
月ヶ瀬梅林のアクセス&駐車場
大阪・名古屋方面からは、無料の自動車専用道路「名阪国道(R25号)」の利用が早くて便利だ。
西名阪道または東名阪道⇒名阪国道の五月橋IC・治田IC・白樫ICから約7km(大阪から約90分、名古屋から約120分) 。
京都からはR24号線⇒R163号線⇒県道753号線で約68km(約100分)、奈良市からは柳生経由で30km(約60分)。
名張川に架かる「月ヶ瀬橋」周辺まで来ると、梅の並木道が現れ始める。
月ヶ瀬梅林の駐車場
月ヶ瀬梅林の周囲には幾多の駐車場が点在しているが、規模が大きいのは月ヶ瀬温泉に近い「行政センター」付近と、RVパークを併設する「ロマントピア月ヶ瀬」だ。
特に「ロマントピア月ヶ瀬」では、梅まつりが始まると普段はオートキャンプサイトとして使用しているスペースを臨時駐車場に変更し、駐車台数の拡大を図っている。
ただ「ロマントピア月ヶ瀬」は、「梅渓」と呼ばれる広大な月ヶ瀬梅林をハイキングするより、梅の花を眺めて、のんびりと過ごしたい人に適していそうだ。
逆にせっかく月ヶ瀬まで行くのだから、「梅渓」と呼ばれる湖絡みの景観を見てみたいという人には、ロマントピア側ではなく、「一目八景」の近くにある民間のパーキングにクルマを駐めるほうがいい。
「一目八景」の近くにも、ご覧のような10~20台程度が収まる民間の駐車場が数件は存在するが、満開時はまず午前9時には満車になるだろう。
こちらが「一目八景」から「天神梅林」へと続くウォーキングコース。
撮影したのは午前8時過ぎだったのでガラ空きだったが、日中は人が溢れて写真を撮るどころではないかもしれない(笑)。
「一目八景」の展望所。
ポスターや雑誌・テレビで使われている月ヶ瀬梅渓の風景は、大半がこの周辺で撮影されているのだが、違いはレンズの広角度合いだけで、誰が撮っても同じような絵にしかならない。
ゆえに風景写真愛好家は、冷え込んだ日の早朝に発生する「雲海」絡みの写真を狙ってくるのだが、筆者が訪ねた日は日中の気温がなんと24度!
そりゃ「雲海」どころか「霞」になるのは当然だ(笑)。
普通の観光客には、実はもう少し先に進んだ「幌浦梅林」の展望所のほうがお勧めだと思う。
ここからは気温に関係なく、紅白の梅の花が梅渓の景色に加わってくれる。
そしてウォーキングコースの”ゴール”にあたる天神梅林。
公共交通機関の人は、ここから先に進めばロマントピアに出られるが、マイカーの人はここで来た道に折り返そう。
なお、月ヶ瀬梅渓の写真はインスタグラムにも挙げているので、写真がお好きな方は合わせてどうぞ。
さて。
ここからは車中泊やキャンプを兼ねて、月ヶ瀬梅林に出かけてみたい人に向けた情報になる。
月ヶ瀬梅林の車中泊事情と、周辺の車中泊スポット
車中泊の場合、その筆頭に上げられるのは、前述した「ロマントピア月ヶ瀬」のRVパークだ。
ただし、梅まつり期間中はキャンプサイトが臨時駐車場になるため、正規のRVパークの5区画しか利用できない。
だが、そこからわずか約8キロ・10分のところに、「道の駅 お茶の京都みなみやましろ村」がある。
いっぽうオートキャンプ場だが、実はまだほとんど知られていない超穴場サイトが、なんと月ヶ瀬温泉から徒歩1分もかからないところにできている。
景観は「ロマントピア月ヶ瀬」のほうがいいと思うが、温泉まで歩いて行ける利便性は素晴らしい。
また2022年3月には、月ヶ瀬温泉を挟んだ反対側にも、歩いてアクセスできる「月ヶ瀬キャンプ場」がオープンした。
今後は梅まつりの時期にオートキャンプあるいは、車中泊キャンプで月ヶ瀬梅林に行くなら、この2つが狙い目になるだろう。
「月ヶ瀬温泉」は2014 年にリニューアルを受け、展望露天風呂が新設されたが、展望が良いのは外からも同じで(笑)、景色は高い壁の上からしか望めず、湯船に浸かって梅林が見えるわけではない。
それよりもここは、pH7.9で弱アルカリ性の「美肌の湯」のほうが魅力だ。
ただし温泉は「かけ流し」ではなく、循環・加熱・未加水・塩素消毒で1週間に1回完全換水となっている。
併設している食事処「梅こころ(11 時~ 20 時30 分(オーダーストップ20 時)」には、ご覧のお得な「ご入浴&お食事パック」がある。
また駐車場の一画には、「ふれあい市場」と呼ばれる農産物の直売所があり、地元の新鮮な野菜ほか、大和茶・梅加工品など月ヶ瀬の味覚が手に入る。
お勧めは南高梅。
味までは確認していないが、発祥の地とされる和歌山県の南部(みなべ)梅林に比べると格段に安い。
梅の郷 月ヶ瀬温泉
☎0743-92-0388
大人700 円
10 時30 分~ 20 時30 分・火曜定休
最後に…
月ヶ瀬梅林から約18キロ、クルマで30分ほど離れた木津川の河川敷にも「笠置キャンプ場」がある。
ただ、ここは直火ができる希少なキャンプ場であることから、ここ数年はソロキャンパーにも人気が高く、最近は金曜日から満員になるような状況だ(笑)。
また徒歩で行ける「天然わかさぎ温泉笠置いこいの館」は、休館したままで再開の目処がいっこうにたたないため、筆者は久しく行っていない。

周辺のお勧め観光スポット
一番のお勧めは、お隣の三重県にある「伊賀上野」。現在の月ヶ瀬は奈良市に属しているが、経済面では三重県伊賀市との結びつきが強い。
通称「伊賀上野」と呼ばれるこの一帯は、古くから京都・大阪との交流が盛んで、それを影で支えていたのが忍者だ。ちなみに日本で最初に忍者を使ったのは聖徳太子で、当時は彼らを「志能便(しのび)」と呼んだ。
もうひとつは、柳生新陰流・発祥の地「柳生の里」。
徳川将軍家の御流儀となった柳生新陰流とその創始者・柳生宗矩の故郷には、有名な柳生一刀石ほか、柳生一族にまつわる史跡が数多く残されている。
柳生・月ヶ瀬・伊賀上野 車中泊旅行ガイド


車中泊でクルマ旅 総合案内
クルマ旅を愉しむための車中泊入門

この記事がよく読まれています。




