車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家がまとめた、2023年9月現在の新和歌浦の見どころと車中泊に関する情報です。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊旅行ガイド
この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、全国各地からセレクトした「クルマ旅にお勧めしたい100の旅先」の紹介です。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
~ここから本編が始まります。~
風光明媚でファミリーフィッシングもグルメも楽しめる「新和歌浦」は、紀伊半島を訪れる車中泊旅行者にお勧めしたい、和歌山県の”穴場”観光スポット。
新和歌浦の筆者の歴訪記録
※記録が残る2005年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2005.05.04
2007.01.18
2009.06.14
2012.12.22
2017.09.18
2020.09.12
2022.01.29
2023.05.18
2023.09.10
※新和歌浦での現地調査は2023年9月が最新になります。
新和歌浦(しんわかのうら)

新和歌浦のロケーション
「新和歌浦」は和歌山市の南西部に位置するリゾートエリアで、阪和自動車道「和歌山インター」から約10キロ・クルマで30分ほどのところにある。
古くから「和歌浦」は、万葉集に歌われるほど都人にも知られた景勝地で、近世まで天橋立と肩を並べる別天地とされてきた。
そのことは、江戸時代の浮世絵作家・歌川広重が、1853年(嘉永6年)から1856年(安政3年)にかけて描いた「大日本六十余州名勝図会」の中に、和歌浦が含まれていることからも伺える。
2017年(平成29年)の日本遺産への認定は、改めてそのことを掘り起こす、良いきっかけになった。
ここで気になるのは、「和歌浦」と「新和歌浦」の違いだ。
調べてみると、どうやら狭義では、東の「玉津島」と「片男波」を結ぶ砂嘴及びその周辺一帯を指すのに対し、広義では東に加えて、西に位置する「新和歌浦」から雑賀山を隔てた漁業集落の「田野」・「雑賀崎」一帯を含めて「和歌浦」と呼んでいるらしい。
つまり「新和歌浦」は、その名の通り新しい「和歌浦」のような場所ともとれるし、「和歌浦」の中の一部ともとれる、やや曖昧な位置づけになっている。
ただ、いずれにしても…
「新和歌浦」の開発が進んだのは、明治から大正にかけてで、それに伴って昔から和歌浦と呼ばれてきた東のエリアは、著しく地形が変わってしまい、今は往時の面影をほとんど見ることはできない。
しかし2011年に国の名勝に指定されて以降、西側の自然海岸を残す「雑賀崎」周辺が「瀬戸内海国立公園」の特別地域に指定されたことで、開発に歯止めがかかり、そちらの景観は保たれている。
というわけで、
当サイトでは広義の「和歌浦」を、「片男波」「新和歌浦」「雑賀崎」の3つのゾーンに分け、”車中泊旅行者が知りたい”と思う内容にスポットを当てて、できるだけ詳しく紹介している。
ただ大半の車中泊旅行者にとって、「和歌浦」の観光は半日あれば十分で、釣りでもしないかぎり時間を持て余すことになる。
しかし周辺には抱き合わせられる観光名所が揃っており、紀北で1泊する価値は十分にあると云えるだろう。
新和歌浦の見どころ
週末は「新和歌浦漁港」に10時頃に来て、「おっとっと広場」の奥から続く海岸沿いの遊歩道で、「和歌の浦温泉 萬波リゾート」の手前にある「蓬莱岩」までの散策を楽しむのがお勧めだ。
それから戻って、「おっとっと広場」でリーズナブルに海鮮ランチを楽しもう。
「おっとっと広場」とは、写真左の白と水色の建物のこと。
ここは毎週、土・日・祝の10時〜14時の間だけ営業している海鮮市場で、和歌浦湾でその日に水揚げされた新鮮な魚介類がリーズナブルに手に入る。
建物の中央は”広場”の名に相応しい(笑)、広々としたイートインスペース。
来場者は壁側に並ぶ店舗で買った海鮮丼や刺身を、持ち帰るだけでなく、そこでも食べられるようになっている。
筆者が選んだのは、こちらのお店。
「わかしらす丼」は、釜あげした「しらす」に醤油を垂らし、梅肉とともにいただくのだが、これがなかなか上品で美味だ。
関東で「しらす丼」と云えば、湘南の江ノ島が有名だが、間違いなく1000円はするわけで、このボリュームで700円というのは、驚くほど格安だと思う。
商売熱心な大阪の人間なら、醤油には湯浅、梅干しには南高梅を使い、今時流行りの”プレミアム”を冠した「和歌しらす丼」に仕立てあげて、1000円にしてしまうに違いない(笑)。
なお「わかしらす」は、お土産用に1パック550円でも販売しているので、車内でご飯が炊けるのなら、テイクアウトすることも可能だ。
ぜひ自前で「プレミアム・和歌しらす丼」にチャレンジしてみていただきたい。
ちなみに夜は、1000円で買ったイサキとマグロの刺し身で晩酌(笑)。
そりゃ~県外者に人気があるのは当然だ。
食べた時は11時前だったが、出てきたら駐車場は7割近くが埋まっていた。
「おっとっと広場」は、昼前には満車になるのが常なのだろう。
さて。
話を少し戻して、ここからは海岸沿いの散策について説明しよう。
まずは「おっとっと広場」の横を歩いて通り抜けると、この階段にぶつかるので、そのままのぼって直進する。
すると小さな浜に出て、その先に新和歌浦の観光名所に挙げられている「蓬莱岩」と、「和歌の浦温泉 萬波リゾート」が見えてくる。
波に侵食されてぽっかり穴が空いた「蓬莱岩」は、「和歌の浦温泉 萬波リゾート」側から陸続きになっているので、歩いて近づくことができる。
またそちらにはキレイなタイドプールがあるので、子供連れなら着替えを持参していくといい。
なぜなら…
眼の前の「和歌の浦温泉 萬波リゾート」では日帰り入浴が可能。
通常料金は税込み1540円だが、こちらのサイトでLINEの友達登録をすれば770円で利用できる。
ただし利用の際には、細かな条件の確認をお見逃しなく。
もちろん「和歌の浦温泉 萬波リゾート」へは、クルマでも行ける。
新和歌浦の駐車場&車中泊事情
「新和歌浦漁港」には通常の有料駐車場と、「おっとっと広場」利用客専用の無料駐車場が並んでいる。
こちらが「おっとっと広場」の駐車場だが、利用できるのは営業日の9時から16時までだけで、普段はご覧の通り閉鎖されている。
いっぽうこちらが「新和歌浦有料駐車場」で、駐車料金は普通車1日400円。
出入口は自動ゲートではなく有人だが、夜釣りに来る客もあるため、夜間も出入りは可能なようで、管理人が不在の場合は、翌朝集金に来るか帰る際に支払うのだろう。
かつての新和歌浦漁港の広い波止場には、クルマを乗り入れることができ、すぐ近くで釣りができた。
現在は壁が作られて、同じことはできなくなっているが、釣りそのものは可能だ。
チョイ投げでキスも釣れるが、潮のいい日に当たれば、サビキでこんな良型のイワシが釣れることもある。
というように…
新和歌浦はアクティブに海を楽しみたいファミリーには、1泊2日の車中泊で出かけても、それなりに楽しめる場所だと思う。
繰り返しになるが、温泉まで歩いて行けるのは大きいね。
さらに、ここで車中泊をしたい人に朗報なのはトイレだ。
ヨットハーバー側にもトイレはあるのだが、「おっとっと広場」のすぐ横にも、24時間利用できる公衆トイレがある。
そしてその多目的トイレには、ウォシュレットが完備している。
新和歌浦のアクセスマップ
和歌山・紀北 車中泊旅行ガイド


車中泊でクルマ旅 総合案内
クルマ旅を愉しむための車中泊入門

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