車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家がまとめた、2023年7月現在の「道の駅 白崎海洋公園」の車中泊に関する記述です。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊スポットガイド
この記事は車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」が、現地取材を元に「車中泊旅行における宿泊場所としての好適性」という観点から作成しています。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
~ここから本編が始まります。~
「道の駅 白崎海洋公園」は、オートキャンプ場に隣接する絶景が自慢の道の駅だが、設備は簡素で「旅の宿」に向いているとは思えない。
「道の駅 白崎海洋公園」 DATA
道の駅 白崎海洋公園
〒649-1123
和歌山県日高郡由良町大引960-1
☎0738-65-0125
営業時間
パークセンター受付:8時30分~17時15分
観光案内:8時30~17時15分
物産販売:9時~17時15分
飲食コーナー:9時30~17時(LO/16時)
定休日 不明(HPに未記載)
「道の駅 白崎海洋公園」の登録日
※これを知ることで、施設の古さやリニューアルの有無などがわかります。
登録回/第28回
登録日/2008年8月8日
2018年9月に、紀伊半島を直撃した台風21号により被災。
2019年4月に道の駅の営業を再開。
2023年4月より指定管理業者が代わり、館内をリニューアル
「道の駅 白崎海洋公園」の筆者の歴訪記録
※記録が残る2008年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2008.03.08
2011.11.13
2016.11.03
2021.02.10
2023.07.11
※「道の駅 白崎海洋公園」での現地調査は2023年7月が最新になります。
道の駅 白崎海洋公園【目次】

「道の駅 白崎海洋公園」のロケーション
いつもの筆者なら、この程度の景色で「日本のエーゲ海」とか云われると、「へへ~ん」と鼻で笑ってしまうのだが…
この白崎海洋公園は違った。
「なんじゃ、こりゃ~!」
そういたく感動したのは、今から25年ほど前の”20世紀末”の話になる。
湯浅御坊道路の広川インターから、約17キロ・クルマで30分ほど由良町の海に向かって進んだ最果てに、「白崎海洋公園」が誕生したのは1998年(平成10年)。
国の支援を受け、高規格オートキャンプ場を併設したダイビング拠点の海洋公園として、華々しいオープンを果たした。
当時はまだテントで寝ていた筆者も、喜び勇んで何度も足を運んだが(笑)、名物の強風に手を焼き、あろうことかロッジテントの太いポールをへし曲げられた苦い思い出がある。
また今乗っているWizが、車中泊デビューを果たしたのもここだった。
その「白崎海洋公園」が道の駅に登録されたのは、オープンから10年を経た2009年8月のこと。
公園全体が白い石灰岩で囲まれ、青い海と氷山のような白い岩のコントラストが美しい「白崎海洋公園」に、無料でも泊まれるようになったことには、両手をあげて賛成だった。
というのは…
当時は「白崎海洋公園」の一番奥に、レストランとプールを持つダイビング施設があり、その中の大浴場が利用できたからだ。
だが2018年9月に紀伊半島を直撃した台風21号により、ベスト車中泊スポットと思われた「白崎海洋公園」は津波を浴び、多大なる被害を被ってしまう。
事態を受けて、指定管理者は撤退の意向を表明し、町も修繕費が多額に及ぶことから、全面復旧を断念した。
それでも町は翌年4月に、比較的被害の少なかったパークセンター等の施設を直し、道の駅を含む一部の施設の営業になんとか漕ぎつけた。
この経緯抜きに、現在の「道の駅 白崎海洋公園」を語ることはできない。
「道の駅 白崎海洋公園」の施設
まず「道の駅 白崎海洋公園」の駐車場は、被災後の現在もフラットで、風を除けば車中泊に支障はない。
24時間トイレは駐車場内にあり、
中はウォシュレットに改修されている。
ただし、駅舎はいたってシンプル…
というか、正直云って”もの足りない”というのが訪れる誰も印象だろう。
冒頭に記した経緯を知っていれば、現在の「道の駅 白崎海洋公園」に大きな期待を寄せるのが酷なのことは理解できるが、それでも被災からほぼ5年が経過した今の駅舎を見る限り、ここは道の駅と呼べるレベルにはないと思う。
特に観光バスでやってくる旅行者には気の毒すぎる(笑)。
2023年のリニューアルで多少は改善されたかと思ったが、筆者は以前のほうがまだマシだったように感じた。
ただこの話は、キャンプ場も含め、て最後にまとめて書こう。
それより何より、「白崎海洋公園」は景色が素晴らしい。
ただし「道の駅」周辺から、「エーゲ海」(笑)を望むことはできない。
そこで、2023年現在の”白崎海洋公園の絶景”を見る方法を紹介する。

出典:いこーよ
こちらが「白崎海洋公園」のイラストマップだが、現在のキャンプ場がこの通りなのかどうかまでは分からない。
復旧工事中は、徒歩ならキャンプ場の中の通路を突っ切って展望台まで行けたが、現在はそれもできなくなっているようだ。
もっともキャンパーの立場になれば、当然の措置だと思う。
代わりに現在は、展望台前の駐車場までクルマで行けるよう、ダイビングハウスの横に新しい導入路が整備されている。
以前は左の道をまっすぐ行けば、そのまま展望台の駐車場に行けたが、現在はここで右折して、マップの「デイキャンプ・フリーサイト専門」と書かれた未舗装の広場の中を通って、裏から駐車場に入ることができるようになっている。
ここがかつての「デイキャンプ・フリーサイト専門」だった広場。岩場の近くには遊歩道があり、奥の駐車場にクルマを駐めて、「シャクシの浜」まで散策に行くこともできる。
以前はよくダイビングの講習をしている姿を見かけた「シャクシの浜」。
だが2018年に、ここから台風の津波が押し寄せ、ダイビングのクラブハウスを再起不能になるまでぶっ壊した。
こちらが展望台の駐車場だが、近くにトイレがないのと夜間は閉鎖されるため、車中泊には使えない。
展望台はこの上にある。
螺旋階段を登って、最初に目にする景観。これだけでも日本じゃないみたいだ。
ほどなく最終目的地の展望台に到着。
そして誰もが、固唾をのむ…
だが、ここでよく考えてみてほしい。
「白崎海洋公園」が輝いて見えるのは、陽が高い時間帯だ。
であれば、朝日や夕陽にこだわる必要はなく、逆光になりにくい正午前後に訪ねればいいわけで、あえてここで車中泊をする理由は見当たらない。
しかも幹線道路から外れた、入浴・買物ともに不便な岬の先端部にあるため、利便性もよくない。
そもそも冷静に考えてみれば、もともと”道路利用者の休憩施設”という、道の駅の1丁目1番地ともいえる認可条件”を満たしてはいない立地にあるわけだ。
そこへもってきての津波による被災。
キャンプ場の存在も、ダイビング施設が使えることが前提のはずだが、「目的」となるアクティビティーがなくなった今、いくらブームが再燃しているからとはいえ、ダイバーの「宿泊手段」だった施設だけを残しているのも、おかしな話と云える。
正論からすると、台風による津波が生じることが明らかになった以上、今後はもっと台風の脅威が高まる可能性が高いことを考えると、道の駅もキャンプ場も廃業し、宿泊施設をなくした日帰りの「海洋公園」として、再構築するべきなのは明白だ。
キャンプサイトは、こんなふうにグランピングチックなBBQ場にして、コテージは解体して売却すればいい。籐のチェアなんて安いものだ(笑)。
逆にこれだけのロケーションを誇るだけに、前回の被害は20年に一度の未曾有の出来事で片付けてしまうのであれば、もっと本気で施設の充実を図ってほしい。
特に道の駅を兼ねた「パークセンター」は、少なくても3層にして、万一の際には3階に宿泊者が避難できるようにするのは、素人の筆者でさえもが思いつく。
にもかかわらずそうできないのは、台風災害の二の舞いを恐れてのことだと思うが、それは命の安全だけでなく、公共投資の面から見ても賢明な判断だ。
残された「白崎海洋公園」の施設は、東日本大震災でも使われた「震災遺構」としてそのまま残す方法もあろう。
日本は地震だけでなく台風の被害にも何度も遭わされてきたのだから。
なのにリゾートのようなところで、いつまでも被害者気分で中途半端な道の駅をやっているから、余計にマイナスイメージが膨らむのだ。今のままではスタッフにだって勤労意欲は湧くまい…
亡くなる人がでないうちに、そろそろシロクロをはっきりさせる頃合いだろう。
筆者はここを道の駅から外し、約17キロ・クルマで30分ほど離れた、湯浅の重伝建地区の近くにできた観光駐車場に少し手を加え、新たな道の駅にするほうが、旅人には喜ばれると思う。
なにより道の駅から外れれば、駐車場を24時間開けておく必要がなくなり、夜間はゲートを閉鎖できるので、車中泊に来る旅人もいなくなるし、いちいち施設を評価したがるブロガーの数も激減する(笑)。
かたや湯浅は既にRVパークまで設置しており、きっと大歓迎に違いない(笑)。
「道の駅 白崎海洋公園」の車中泊好適度
「道の駅 白崎海洋公園」のゴミに対する対応
可燃ゴミ:なし
缶・ビン・ペットボトル:自動販売機の横に設置
2023年7月現在。
実は指定管理業者が代わるまでは、館内の入口に可燃物のゴミ箱も置かれていた(2021年2月撮影)。
もっと遡ると、かつてはトイレの近くに置かれており、24時間利用することができた(2011年11月撮影)。
ということは…
指定管理業者の気分次第で、ゴミ箱の設置は”どうにでもなる”ということになるわけだが、果たしてそれが本当に許されることなのか…
そもそも、車中泊の旅行中に発生するゴミは「家庭ゴミ」ではない。
しかるに「家庭ゴミの持込み禁止」は地域住民に向けた正しい勧告ではあるが、車中泊の旅行中に発生するゴミは該当しない。
こう説明すれば分かりやすいと思う。
近くのスーパーで買ってきた「弁当」は、道の駅についた時点では「ゴミ」ではなく「食品」だ。
それを道の駅に駐めたクルマの中で食べると、残った容器がゴミになる。
ということは、正確には「道の駅で発生したゴミ」であって、
道の駅のスタッフが、出勤前にコンビニで買ってきた弁当を昼食に食べた後、その容器を事務所のゴミ箱に捨てるのと同じ話で、誰が食べたかは関係ない。
すなわち、「事業ゴミ」として道の駅が処分するのが筋ということになる。
明日帰る車中泊の旅行者が、それを「持ち帰り」するのは自由だが、それは「マナー」と呼ぶものではなく、あくまでも「道の駅の負担を軽減してあげるための協力」であって、基本は堂々と捨てさせてもらってかまわない。
車中泊旅行中のゴミの処分については、以下にもっと詳しい記事を記載しているので、時間があればぜひ。上に記した話が「自分勝手」かどうかは、法律に照らし合わせれば一目瞭然だ(笑)。
「道の駅 白崎海洋公園」の最寄りの温泉と周辺買い物施設
温泉館 海の里 みちしおの湯
道の駅から約13キロ・25分ほど
☎0738-64-2626
おとな600円
11時~21時(受付最終20時)・火曜定休
コンビニ
約8キロのところにローソンがある。
スーパーマーケット
「Aコープゆら」まで約8キロ。
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