車中泊旅行歴25年のクルマ旅専門家がまとめた、2023年9月現在の高野山・金剛峯寺のトリビアをご紹介。
「正真正銘のプロ」がお届けする、リアル車中泊歴史旅行ガイド
この記事は、車中泊関連の書籍を10冊以上執筆し、1000泊を超える車中泊を重ねてきた「クルマ旅専門家・稲垣朝則」がまとめた、「一度は訪ねてみたい日本の歴史舞台」を車中泊で旅するためのガイドです。
※ただし取材から時間が経過し、当時と状況が異なる場合がありますことをご容赦ください。
~ここから本編が始まります。~
今の「金剛峯寺」は、空海が生きていた時代にはなかったってホント!?
金剛峯寺 DATA
金剛峯寺
〒648-0211
和歌山県伊都郡高野町高野山132
☎0736-56-2011
拝観時間:8時30分~17時 (受付最終16時30分)
拝観料:おとな1000円
金剛峯寺の筆者の歴訪記録
※記録が残る2005年以降の取材日と訪問回数をご紹介。
2005.11.20
2010.02.28
2014.11.03
2023.08.20
※高野山での現地調査は、2023年8月が最新です。
金剛峯寺【目次】
明治までの「金剛峯寺」は、高野山の代名詞。
古来の「高野山」には「一山境内地」と呼ばれる、「高野山」全体がひとつのお寺の境内であるという考え方があった。
だが「高野山」は密教の修行に励む道場であって、「高野山寺」という「寺院」は存在しない。
そのため、なにがしかの理由から「高野山」を寺院として扱いたい際には、「空海」が「金剛峯楼閣 一切瑜伽瑜祇経(こんごうぶろうかく いっさいゆがゆぎきょう)」というお経から名付けたと伝わる「金剛峯寺」を、その代用としてきた。
その慣習は今でも残っており、近年は「総本山金剛峯寺」と呼んではいるが、そう呼ぶ場合は「高野山」全体を指し、本堂は壇上伽藍にある「金堂」としている。
ただその慣習は、今の「金剛峯寺」ができるまでの話というのが正しい。
現在の「金剛峯寺」は、1590年(天正18年)に豊臣秀吉が亡き母の菩提のために建立した「青巌寺」と、その左隣に建立された「興山寺」を明治維新後に併合して、新たに「金剛峯寺」と名付けられた寺院だ。
すなわち、空海が生きていた時代には存在していなかった。
つまり、寺院としては安土桃山時代からの歴史を持つものの、「金剛峰寺」としての寺歴はごくごく新しく、同じ「空海」ゆかりの寺院としては、京都の世界遺産「東寺」と比べ物にならない。
「高野山」で「空海」を感じられる空間は、「奥之院」の「大師御廟」になる。
とはいえ、
現在の「金剛峰寺」は、高野山真言宗の総本山として、「高野山」全体を司る宗務所が置かれ、真言宗の最高責任者が在籍する寺となっている。
だがネット上には、未だに「高野山」全域を「金剛峯寺」と紹介しているサイトが見受けられ、混乱を招いている。
察するに、このような「捻じれ」が続くのは、空海由来の真言宗に、いくつかの流派ができてしまったからなのだろう。
つまり今の「総本山金剛峰寺」は認めないが、昔の「金剛峯寺」がないと都合が悪い人たちがいるわけだ(笑)。
しかし旅人に”大人の都合”は関係ない。
令和の現在は、「金剛峯寺」は「高野山」全体の代名詞ではない。ここを履き違えると「高野山」がぼやけてくる。
現在の「金剛峯寺」の見どころ
さて。
「高野山」と切り離しても、「金剛峯寺」にはそれなりの見どころがある。
「金剛峯寺」の主殿は、東西 54 メートル・ 南北 63メートルに及ぶ書院づくりで、江戸時代末期の1863年(文久3年)に再建されたもの。
1984年(昭和59年)の弘法大師御入定1150年・御遠忌大法会の際に造園された「蟠龍庭(ばんりゅうてい)」は、国内最大級を誇る石庭で、雲海の中で向かって左に雄、向かって右に雌の一対の龍が向かい合い、奥殿を守っているように表現されているとのこと。
江戸時代以降、実際に大勢の僧侶の食事を賄ってきた庫裏(くり)。
約七斗(98キロ)の飯を炊くことができる大釜が三基並んでおり、3つで1度に2石(約2,000人分)の飯を炊いたというから驚きだ。
柱や梁はススで真っ黒になっており、当時の生活感が伺える。
なお「青巖寺」の時代には、「豊臣秀吉」の甥で当時関白職にあった「秀次」が、「秀頼」の誕生で邪魔となり、謀反の濡れ衣でここ幽閉され、自刃させられた暗い歴史を抱えている。
繰り返しになるが、現在の「金剛峯寺」は「秀吉」が生きていた時代は豊臣家ゆかりの「青巌寺」だったので、「秀次」を幽閉するのに何ら問題はなかった。
これで、”秀次を高野山に幽閉した謎”が解けた人もあるのでは…
筆者も長い間、「いくら関白殿下でも、空海ゆかりの金剛峯寺で殺生はできないだろう」と思っていたが、そりゃ「やりたい放題」だったわけだ(笑)。
「金剛峯寺」の駐車場と車中泊事情
クルマを停めるだけなら、写真の「金剛峯寺第1駐車場(金剛峯寺前駐車場)」が一番近くて便利だ。
ただ車中泊して朝から「壇上伽藍」と「金剛峯寺」を周りたい場合は、駐車場内に24時間使える公衆トイレがある「金剛峯寺第2駐車場」のほうがいい。
なお、「奥之院」までは歩くと遠いのでクルマで「中の橋駐車場」まで移動しよう。

ありがたいことに、いずれの駐車場も無料で利用できる。
「金剛峯寺」のアクセスマップ
ここでは、金剛峯寺の前にある駐車場にナビしてくれるマップを掲載。
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